after school rainy

闇猫古蝶

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Spirited

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昼休み。

空は次第に明るさを取り戻していた。

「ほら、はやくこいよ!」

あの女達が私の手を引いて体育館裏へと連れて行く。

女達の腕の中にはバスケットボール。

「顔面にはあてるなよー?」

「わかってるって!」

腕や腹にバスッという音をたててバスケットボールがあたる。

痛い…
それでも表情にはださずじっと耐え続けた。

しばらくして、昼休みもあとわずかというころ。

そんな私の反応がつまらない、というように女達はボールを残したまま教室へ帰って行った。

私は身体中を熱く鈍い痛みに襲われ、少しその場に座っていることにした。

この梅雨の時期には珍しく、太陽が頭上で輝いている。

「誰かいるの?」

ふと、男の声が聞こえる。

「あ、いた!って、すごい怪我…大丈夫?」

「大丈夫です」

「そう?ならよかった!」

茶色い髪に大きな明るい目が特徴的な男は、とても優しそうな笑顔をする。

「僕、明峰優希。君の名前は?」

「私は木崎歌音」

「歌音か…可愛い名前だね!そうだ、僕のことは優希って呼んでよ!敬語もいらないからね!」

一瞬戸惑ったけれど、嫌がる理由もないし…

「わかった」

私は目を見ると、大人しく頷いた。

「うん、これからよろしくね!」

「よろしく」

ほんの少しの自己紹介。

でもそれだけで、素直で優しい人なのだろうとわかる。

「僕昼休みとか放課後はよくここにいるから、いつでも遊びにおいでよ!」

昼休みも放課後もきっといじめられる。
だからきっと会いに来られない…

でも、いじめられるということをしられたくなかった私は

「これたらくる、ね」

そう言ったのだ。
少し俯きながらいう私を優希は怪訝そうにみる。

そんな視線から

「昼休み終わっちゃう…!えと、またね」

「うん、またね」

無理やり、逃げるように立ち去った。

まるで太陽みたいに暖かくて心地よい人。
きっと私みたいな人に関わるべきじゃない。

それでも、また会いたい。なんて思ってしまっていた。



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