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「キャー!」
数人の女子生徒の悲鳴が、廊下に響いた。
その方を見てみると、5人くらいの男子生徒が倒れていた。
その真ん中に見覚えのある、金色の髪の男の子が立っていた。
高校に入学する前のこと。
それは、塾の帰り道。
いきなり雨が降ってきて、屋根があるところに駆け込んだ。
鞄からタオルを出して、雨で濡れたところをふいていると、
「ニャー。」
猫の弱々しい鳴き声が、どこからか聞こえてきた。
「お前、一人なのか?」
続いて、男の子のそう言う声が聞こえてきた。
気になってそっちの方を見てみると…
毛布に包まれて、ダンボールの中にいる子猫に、輝く金色の髪の男の子がその子猫に話しかけていた。
「俺んち来るか?」
猫を優しく撫でながらそう言った。
「ニャー。」
それに答えるように、猫が鳴いた。
男の子は猫を抱いて、そのまま立ち去っていった。
(見た目によらず優しい人だな…。)
そんなことを思いながら、折り畳み傘をさして、家に向かって歩いて行った。
-それが、彼との出会いだった。その時から私は…-
(あの人、この前の…?)
でも、あんな目はしていなかった。
記憶の中の彼と、どこか違う。
優しい目をしていたのに、今は怒りに満ちた恐ろしい目をしていた。
でも、何かに怯えているようにも見えた。
しばらくして、周りの人は教室に行って、倒れていた5人と男の子は先生に怒られていた。
私はその光景を眺めていた。
気になっていた、あの男の子のことが…。
また会えて嬉しいんだ。
彼を見かけたときから、鼓動が速くなっていた。
すると、話を終えた男の子が私の方に近づいてきた。
「名前は、なんていうの?」
私の横を通りすぎようとしたときに、そう聞いた。
「…累野乱星。お前と同じクラスだ、松山令奈。」
(え…?)
累野くんはそう言って、教室とは反対の方向に向かって歩いて行った。
(なんで、私の名前を…?)
教室に行って、席についた。
授業が始まる直前になって、ふと気づいたことがあった。
それは、私の隣の席の人のこと。
その人は、今まで学校に来たことがなかった。
〔お前と同じクラスだ。〕
累野くんはそう言った。
あんな目立つ髪色をした人なんて、すぐ見つけられる。
でも、今まで見かけたことがなかった。
(もしかして、私の隣の人って-。)
ガタッ。
隣でイスを引く音がした。
その方を見ると、
(やっぱり…。)
累野くんが立っていて、ちょうど目が合った。
「何だよ…。」
「ぅ、ううん。」
さっきとは違う、近寄るなオーラみたいなのを感じた。
「あの、さ…。」
でも、どうしても聞きたいことがあった。
〔松山令奈〕
「どうして私の名前、知ってたの?」
「……。うるせぇな、黙ってろ。」
怒り混じりの声でそう言われた。
「あ、うん…ごめん。」
そう悲しそうに彼女が言った。
「あ…。」
言い過ぎたと思って、そう声をあげた。
でも、小さくて聞こえなかったのだろう。
それから松山は、黙って授業が始まるのを待っていた。
(俺は何も変われてねぇんだな…。)
結局あの日から、一歩も前に進めてない。
(俺は今まで、何を頑張ってきたんだろう…。)
こぼれそうになる涙をぐっとこらえた。
弱い自分を変えたくて、無理やり強くなった。
でも、俺のこの強さは、正しいのだろうか。
気にくわなかったら暴力をふる。
(それって…、あいつらと何も変わんないんじゃないか?)
俺は、そんな考えを全て押し殺した。
そうでもしなうと…
(俺が壊れちまう…。)
たった一つの進む道が、消えてなくなる…-
俺が松山の名前を知ってるのは、昔、あいつに救われたから。
数人の女子生徒の悲鳴が、廊下に響いた。
その方を見てみると、5人くらいの男子生徒が倒れていた。
その真ん中に見覚えのある、金色の髪の男の子が立っていた。
高校に入学する前のこと。
それは、塾の帰り道。
いきなり雨が降ってきて、屋根があるところに駆け込んだ。
鞄からタオルを出して、雨で濡れたところをふいていると、
「ニャー。」
猫の弱々しい鳴き声が、どこからか聞こえてきた。
「お前、一人なのか?」
続いて、男の子のそう言う声が聞こえてきた。
気になってそっちの方を見てみると…
毛布に包まれて、ダンボールの中にいる子猫に、輝く金色の髪の男の子がその子猫に話しかけていた。
「俺んち来るか?」
猫を優しく撫でながらそう言った。
「ニャー。」
それに答えるように、猫が鳴いた。
男の子は猫を抱いて、そのまま立ち去っていった。
(見た目によらず優しい人だな…。)
そんなことを思いながら、折り畳み傘をさして、家に向かって歩いて行った。
-それが、彼との出会いだった。その時から私は…-
(あの人、この前の…?)
でも、あんな目はしていなかった。
記憶の中の彼と、どこか違う。
優しい目をしていたのに、今は怒りに満ちた恐ろしい目をしていた。
でも、何かに怯えているようにも見えた。
しばらくして、周りの人は教室に行って、倒れていた5人と男の子は先生に怒られていた。
私はその光景を眺めていた。
気になっていた、あの男の子のことが…。
また会えて嬉しいんだ。
彼を見かけたときから、鼓動が速くなっていた。
すると、話を終えた男の子が私の方に近づいてきた。
「名前は、なんていうの?」
私の横を通りすぎようとしたときに、そう聞いた。
「…累野乱星。お前と同じクラスだ、松山令奈。」
(え…?)
累野くんはそう言って、教室とは反対の方向に向かって歩いて行った。
(なんで、私の名前を…?)
教室に行って、席についた。
授業が始まる直前になって、ふと気づいたことがあった。
それは、私の隣の席の人のこと。
その人は、今まで学校に来たことがなかった。
〔お前と同じクラスだ。〕
累野くんはそう言った。
あんな目立つ髪色をした人なんて、すぐ見つけられる。
でも、今まで見かけたことがなかった。
(もしかして、私の隣の人って-。)
ガタッ。
隣でイスを引く音がした。
その方を見ると、
(やっぱり…。)
累野くんが立っていて、ちょうど目が合った。
「何だよ…。」
「ぅ、ううん。」
さっきとは違う、近寄るなオーラみたいなのを感じた。
「あの、さ…。」
でも、どうしても聞きたいことがあった。
〔松山令奈〕
「どうして私の名前、知ってたの?」
「……。うるせぇな、黙ってろ。」
怒り混じりの声でそう言われた。
「あ、うん…ごめん。」
そう悲しそうに彼女が言った。
「あ…。」
言い過ぎたと思って、そう声をあげた。
でも、小さくて聞こえなかったのだろう。
それから松山は、黙って授業が始まるのを待っていた。
(俺は何も変われてねぇんだな…。)
結局あの日から、一歩も前に進めてない。
(俺は今まで、何を頑張ってきたんだろう…。)
こぼれそうになる涙をぐっとこらえた。
弱い自分を変えたくて、無理やり強くなった。
でも、俺のこの強さは、正しいのだろうか。
気にくわなかったら暴力をふる。
(それって…、あいつらと何も変わんないんじゃないか?)
俺は、そんな考えを全て押し殺した。
そうでもしなうと…
(俺が壊れちまう…。)
たった一つの進む道が、消えてなくなる…-
俺が松山の名前を知ってるのは、昔、あいつに救われたから。
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