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一章 クズな王太子と別れたい
16・世界一の黒幕様にもらわれました
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「私、ノア・リリタリオンはミリア・ロドムーシを貰いたくお願い申し上げます」
そう言ったノアをその場にいた全員が見つめ驚きで言葉を無くすが少しの沈黙の末先に口を開いたのは皇帝だった。
「ほう…何故、ミリア・ロドムーシを欲するのか聞いても良いか?」
その声にはどこか嬉しさが込められている様にも感じた。
「ミリア・ロドムーシ嬢を私の妻にと考えているからです」
「ミリアを‥っ!?」
「え‥!?」
ルーデンのみならずミリアまでもが驚きの声を上げた。
「女子に興味が無い公爵がミリア・ロドムーシを妻にするとな?あはははっ!そんなにミリア・ロドムーシが気に入ったのか?」
「彼女は私の研究に必要な人物です。それに、毒を飲まされ生死の境に彷徨った彼女には思い出して欲しい記憶があるのです」
「ふむ…どんな記憶だ?」
「気を失う際の記憶です」
「っ‥!?」
その瞬間、皇帝の傍らにいたルーデンの顔が歪んだ。
ミリアが気を失う際の記憶…床に零れ落ちる紅茶と冷たく見下ろす王太子ことルーデンの姿。その際、ルーデンはミリアに自分が毒を盛ったと言わんばかりの台詞を吐き捨てた。もし、それが公になれば…ううん、そうなっても…
「もし、ミリアが気を失う際の記憶を思い出しても証拠がなければそれは認められないのではないでしょうか?リリタリオン公爵」
ルーデンがノアに向けてそう言うとノアは微動だにせずさらりと返した。
「私はただ真実を全て知りたいだけですよ。少しの疑問さえも解決しなければ気が済まない性分なので。それに、本当に証拠が無ければですよね…?」
「っ…」
眼鏡越しに藍色の瞳が細められ言うノアにルーデンは息を呑んだ。
「さて、話を戻しましょう。陛下、簡潔に申しますとミリア・ロドムーシ嬢を私に下さい。それと、ロドムーシ家を私に買い取らせて下さい」
「ロドムーシ家を買うだと…?」
ノアの発言の意図はおそらくロドムーシ家が所有する鉱山を手に入れたいのだろう。ロドムーシ家は鉱山のおかげでその地位を確立したが、ロドムーシ侯爵が罪人となり家門が潰されるとなると鉱山は皇室のものになってしまうからノアはそれを防ぎたいのかもしれない…
「問題ないですよね?皇帝陛下…?」
眼鏡越しに皇帝を見上げながら圧を感じる様な言い方をするノアに一瞬、皇帝の顔が強ばった。
「うむ…だが、罪人である侯爵やそれに加担していた家門の者は見過ごす事は出来ん」
「私も同意見です。ですから、その者達は適切な処罰をお願い申し上げます。ミリア・ロドムーシ嬢を除いて」
「どういう意味だ?」
「ミリア・ロドムーシ嬢は私の妻になるので平民に戻しても意味はありません。私の妻になれば公爵夫人になるのですから」
「それもそうだな。公爵の言う通りだ。ミリア・ロドムーシ‥」
「はい」
「そなただけは平民への降格を取り止める事とする」
「陛下!?それは流石に‥っ!?」
「黙れ!ルーデン!我に口答えをする気か…?」
「いえ…」
皇帝がノアの言葉に従っている理由…それは、ノアに黒魔法をかけられ契約したのが理由だろう。だが、王太子であるルーデンはその事を知らない。心底歯がゆいだろうなぁ…
皇帝の傍らで苦虫を噛み潰したような顔をするルーデンを見上げながら内心少し清々した。
「だが、リリタリオン公爵。ミリア・ロドムーシがそなたの妻にならなかった場合は他の者と同様に平民に戻す事になるぞ」
「それは重々承知しております。その心配には及びませんのでご安心下さい」
「うむ」
「では、話をまとめましょう。ミリア・ロドムーシ嬢は貴族のまま私が貰い受けます。及び、ロドムーシ家は私が買い取らせて頂きます。そこに異論はありませんね?皇帝陛下」
「うむ…」
複雑そうな顔を浮かべる皇帝を見るなりノアは笑みを浮かべて口を開いた。
「ふむ…ならば、私の我儘を承諾して下さった代わりに今度の狩りに参加しましょう」
「何と‥っ!?」
ノアのその言葉に皇帝は驚きの声を上げた。
狩り…確か、皇室主催で毎年夏に行われる狩猟大会の事かな?小説にも狩猟大会の話があったけど、ノアが参加した事はなかったはず…
「私が参加するのは駄目でしょうか?」
「いや、公爵が参加してくれるのならこれ以上嬉しい事はない」
皇帝が無駄に嬉しそうなのって、その狩猟大会では魔法が禁止されてるから?んで、あわよくば、ノアの命を狙うつもりとか?まさかね…
嫌な考えが脳裏を過ぎるが、直ぐにただの推測だと切り捨てる。
「では、狩猟大会を楽しみにしています」
「うむ、我も公爵の活躍を期待しておる」
「…ミリア嬢」
「…‥」
皇帝から視線を外し床に跪いている私の方に近付くなり片膝をつき右手を差し出した。
結局、願っていた通り世界一の黒幕であるノアの妻になる事になったけどまんまとノアの手のひらの上で転がされたみたいで複雑…
「ミリア嬢…?」
「…‥」
眼鏡越しに覗く藍色の瞳を見ながら渋々差し出された手を握る。
グイッ!
「っ‥!?」
手を握った瞬間、ノアに強く引き寄せられ肩と足にそれぞれ手が回され横抱きにされたまま立ち上がった。
「最後に一つ良いですか?」
「…?」
「ミリア嬢はもう王太子殿下の妻ではありません。故に、私の妻を呼び捨てで呼ぶのは止めて頂きたく存じます」
「っ…」
眼鏡越しに鋭く睨み付けながら言うノアに、ルーデンは苦虫を噛み潰したような顔で黙り込んだ。
ノア…かっこ良すぎる…‥
そう言ったノアをその場にいた全員が見つめ驚きで言葉を無くすが少しの沈黙の末先に口を開いたのは皇帝だった。
「ほう…何故、ミリア・ロドムーシを欲するのか聞いても良いか?」
その声にはどこか嬉しさが込められている様にも感じた。
「ミリア・ロドムーシ嬢を私の妻にと考えているからです」
「ミリアを‥っ!?」
「え‥!?」
ルーデンのみならずミリアまでもが驚きの声を上げた。
「女子に興味が無い公爵がミリア・ロドムーシを妻にするとな?あはははっ!そんなにミリア・ロドムーシが気に入ったのか?」
「彼女は私の研究に必要な人物です。それに、毒を飲まされ生死の境に彷徨った彼女には思い出して欲しい記憶があるのです」
「ふむ…どんな記憶だ?」
「気を失う際の記憶です」
「っ‥!?」
その瞬間、皇帝の傍らにいたルーデンの顔が歪んだ。
ミリアが気を失う際の記憶…床に零れ落ちる紅茶と冷たく見下ろす王太子ことルーデンの姿。その際、ルーデンはミリアに自分が毒を盛ったと言わんばかりの台詞を吐き捨てた。もし、それが公になれば…ううん、そうなっても…
「もし、ミリアが気を失う際の記憶を思い出しても証拠がなければそれは認められないのではないでしょうか?リリタリオン公爵」
ルーデンがノアに向けてそう言うとノアは微動だにせずさらりと返した。
「私はただ真実を全て知りたいだけですよ。少しの疑問さえも解決しなければ気が済まない性分なので。それに、本当に証拠が無ければですよね…?」
「っ…」
眼鏡越しに藍色の瞳が細められ言うノアにルーデンは息を呑んだ。
「さて、話を戻しましょう。陛下、簡潔に申しますとミリア・ロドムーシ嬢を私に下さい。それと、ロドムーシ家を私に買い取らせて下さい」
「ロドムーシ家を買うだと…?」
ノアの発言の意図はおそらくロドムーシ家が所有する鉱山を手に入れたいのだろう。ロドムーシ家は鉱山のおかげでその地位を確立したが、ロドムーシ侯爵が罪人となり家門が潰されるとなると鉱山は皇室のものになってしまうからノアはそれを防ぎたいのかもしれない…
「問題ないですよね?皇帝陛下…?」
眼鏡越しに皇帝を見上げながら圧を感じる様な言い方をするノアに一瞬、皇帝の顔が強ばった。
「うむ…だが、罪人である侯爵やそれに加担していた家門の者は見過ごす事は出来ん」
「私も同意見です。ですから、その者達は適切な処罰をお願い申し上げます。ミリア・ロドムーシ嬢を除いて」
「どういう意味だ?」
「ミリア・ロドムーシ嬢は私の妻になるので平民に戻しても意味はありません。私の妻になれば公爵夫人になるのですから」
「それもそうだな。公爵の言う通りだ。ミリア・ロドムーシ‥」
「はい」
「そなただけは平民への降格を取り止める事とする」
「陛下!?それは流石に‥っ!?」
「黙れ!ルーデン!我に口答えをする気か…?」
「いえ…」
皇帝がノアの言葉に従っている理由…それは、ノアに黒魔法をかけられ契約したのが理由だろう。だが、王太子であるルーデンはその事を知らない。心底歯がゆいだろうなぁ…
皇帝の傍らで苦虫を噛み潰したような顔をするルーデンを見上げながら内心少し清々した。
「だが、リリタリオン公爵。ミリア・ロドムーシがそなたの妻にならなかった場合は他の者と同様に平民に戻す事になるぞ」
「それは重々承知しております。その心配には及びませんのでご安心下さい」
「うむ」
「では、話をまとめましょう。ミリア・ロドムーシ嬢は貴族のまま私が貰い受けます。及び、ロドムーシ家は私が買い取らせて頂きます。そこに異論はありませんね?皇帝陛下」
「うむ…」
複雑そうな顔を浮かべる皇帝を見るなりノアは笑みを浮かべて口を開いた。
「ふむ…ならば、私の我儘を承諾して下さった代わりに今度の狩りに参加しましょう」
「何と‥っ!?」
ノアのその言葉に皇帝は驚きの声を上げた。
狩り…確か、皇室主催で毎年夏に行われる狩猟大会の事かな?小説にも狩猟大会の話があったけど、ノアが参加した事はなかったはず…
「私が参加するのは駄目でしょうか?」
「いや、公爵が参加してくれるのならこれ以上嬉しい事はない」
皇帝が無駄に嬉しそうなのって、その狩猟大会では魔法が禁止されてるから?んで、あわよくば、ノアの命を狙うつもりとか?まさかね…
嫌な考えが脳裏を過ぎるが、直ぐにただの推測だと切り捨てる。
「では、狩猟大会を楽しみにしています」
「うむ、我も公爵の活躍を期待しておる」
「…ミリア嬢」
「…‥」
皇帝から視線を外し床に跪いている私の方に近付くなり片膝をつき右手を差し出した。
結局、願っていた通り世界一の黒幕であるノアの妻になる事になったけどまんまとノアの手のひらの上で転がされたみたいで複雑…
「ミリア嬢…?」
「…‥」
眼鏡越しに覗く藍色の瞳を見ながら渋々差し出された手を握る。
グイッ!
「っ‥!?」
手を握った瞬間、ノアに強く引き寄せられ肩と足にそれぞれ手が回され横抱きにされたまま立ち上がった。
「最後に一つ良いですか?」
「…?」
「ミリア嬢はもう王太子殿下の妻ではありません。故に、私の妻を呼び捨てで呼ぶのは止めて頂きたく存じます」
「っ…」
眼鏡越しに鋭く睨み付けながら言うノアに、ルーデンは苦虫を噛み潰したような顔で黙り込んだ。
ノア…かっこ良すぎる…‥
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