夢で逢えたら・・私の理想は細マッチョ

月夜(つきよ)

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ノアのだいじ

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葵視点

ベッドの上で抱きしめられていたら、
「お邪魔かな?」
と既にドアを開けて、ドア枠に寄りかかるのは昨日の黒髪の魔法使い。
声こそ優しげだが、こちらを見つめる視線はブリザード級に冷たい。
また変な魔法をかけられないかとピャッとノアさんの後ろに隠れると、
半裸のノアさんの背中にどきりとする。
鋼の身体は分厚く、それでいて余分な脂肪もなくしなやかで、まるでヒョウとかライオンみたいだ。

「マドック、やめないか。大人げない。」
ノアさんが魔法使いにいうと、
「この短時間で貴方がそうも肩を持つのが不思議でならないのですよ。」
と疑心感たっぷりの目線を向けられた私たちはしぶしぶ夢の話をすることになった。


「ふーん、夢ですか。。お告げ的なものと捉えるか、そのアオイとかいう男が時間をかけて夢に入り込んできたという可能性も捨てきれませんが。」
・・疑り深いなー、絶対彼氏にしたくないタイプだ。
顔はかなり綺麗だが、性格めっちゃ悪い魔法使いマドックは私の中で関わりたくない人ナンバーワンだ。
「他人を助けるために命を投げ出す男が悪人だとは思えない。」
ノアさんは艶々の銀髪をさらっとなびかせながらそう言った。
ノアさんっ!超良い人!イケメンなのに優しいって素晴らしい!!
そう私がベッドに正座し感動していたら、
「・・お前はなんともないのか?」
魔法使いマドックがベッドから1メートルほど離れた位置から眉間にしわを寄せ聞いてきた。
なんとも?とは一体?
「えっと・・特には。」
と言った瞬間、

グー・・
と無情にも鳴り響く私のお腹。

「す、すみません。」
赤くなる顔の熱を感じながらもなんでこのタイミングでと思わずにはいられないが、昨日の朝食べたきり何も食べていない今、お腹が空いて死んでしまいそうだった。
「・・食堂に行くか。」
半裸なノアさんがふわっと口元を緩めご飯のお誘いをしてきた。
くっ、イケメンからのお食事のお誘い!
やっとハードモードからの脱却か!と色めくと、
「ぜんっぜん納得いかないけど、今の団長の状態でとなりにいてもお腹を鳴らせるってよっぽど鈍感か・・。」
今の団長?ノアさんの事?
「馬鹿でしょうね。」
ふんっとこちらに笑うマドックに思わずけっ!と舌打ちをする。(心の中)
「ああ、それなんだが、アオイは俺の魔力を感じられないみたいだ。おそらくは、魔力がないためだと思う。」
普通、、地球にいたら誰でもそうだと思うけど、この世界では異端なんでしょうか、私。
「通常黒髮や黒い瞳は魔力の多さを表すもののはずなのに・・異界では異なるというのか。。」
なにやら考え込んでるマドック。
美人さんが魔法使いらしくローブを着て考え込んでいる姿は様になる。
「・・異界においても役立たずの可能性もあるな。」
くっと笑ったマドックに、やっぱりお前ムカツク!!と魔法が怖いので内心毒づいた。

ノアさんとマドック(呼び捨て)が話しているのを聞いていると、ノアさんは第三騎士団の団長さんだということ、マドックは第三騎士団専属の魔術師、しかもかなり優秀ということが分かった。

ノアさんとか呼んだらダメじゃん。
二人ともかなりお偉いさんだよ。

そんな二人のやりとりを聞きつつ、自分の個人情報をどうするかって事が頭の痛いところだ。
なんとなく二人とも私を未成年者として認識している風だ。さすがチャラ男天使、色白高校生細マッチョな設定はこの二人にも通じているようだ。
まあ、今はこっちの世界じゃナヨッて見えても細マッチョな私が実は女の子なんですぅ!なんてこれ以上の疑惑は増やさない方がいいに決まっている。
そんな中、
「で、アオイとやら年は?」
とマドックに聞かれ
「17・・さい。」
とドキドキと答えた。
こ、これど、どうでしょう??
いや、8才もサバ読んでるけどそこはね?
東洋人って事でどうにかどうにかっ!!
と内心ガクブルしていると、
「まあそんなとこだろうな。お前の国じゃ知らんが、ここでは18才から成人と見なされる。
・・俺としては身元不詳な人物など騎士団に置いておくわけにもいかないから、とっとと街にでも送り届けたい。」

年はスルーでも、私を置き去りにするつもりか、この男!

「マドック。未成年を街に一人置き去りにしたらどうなるかぐらい分かるだろう。」
と、ノアさん。
街に?どうなるんですか??とハラハラと二人を見つめると、

「娼婦、、君は男だから男娼だろうな。」
とマドック。

しょ、娼婦!!
なんつうハードモード!
今この身が色白高校生風で中身は25才そこそこ経験アリであっても、それはちょっと無い、いやだいぶ無い!!
万が一にでも男の身でそんなことされちゃったら、
女に戻ってしまう、、そして行き着く先は、「俺の魔力に染め上げてやるっ!」とか言っちゃうヤンデレエンドまっしぐら。

ひいぃぃっ!!

「む、無理無理無理!!」
私の貞操をかけ、隣に座る半裸のノアさんの逞しい二の腕に縋り付いた。

「ノ、・・団長さんっ!なんでもしますっ!ですからどうかここに置いて下さいっ!!」
私の勢いに圧倒されたように黙りこくり眉間にシワを寄せたノアさんは、しばらくすると私と反対側に目線をずらし、
「先程、約束しただろう。・・ここにいてくれと。」
と言い、そっと縋り付いた私の手に手を重ねた。
!!
ノアさんのぬくもりにドクンっと胸が高鳴った。
い、いけない。
今男子なのに、イケメンにときめいてしまってはっ!

「・・団長。彼をどうするつもりです?」
はっと正気に戻ると、腕を組み仁王立ちしたマドックがこちらを見下ろす。

「彼を第3騎士団に配属させる。」
「「!!」」
騎士団入っちゃうの、私!?
「な、それはっ!確かに彼は一人であの魔物を倒すほどに力はあるようですが・・。身元の保証はどうするんです!?」
と叫ぶマドックに、あの魔物ってそんなにやばいやつだったの?と不安になる。
あのチャラ男天使、ちょっとずれちゃったじゃないんじゃない!?今度会ったら、シメなきゃっ!と思っていると、

「俺が『コントス』を結ぶ。」
とノアさんが威厳たっぷりに言った。
「本気ですかっ!?」
と焦るマドック。
「?」
ついていけない私。

コントスって一体?


そして、今腹ペコな私は食堂へと向かっていた。
しかし黒目、黒髪だった容姿は、藍色の瞳と茶色の髪に。
ノアさんの彼シャツ状態だった服は、マドックさんが魔法でぴったりサイズにしてくれた白いシャツに、
首から銀のネックレス、そのトップにはノアさんの瞳と同じ緑の石が光っていた。
そう、このネックレスがコントス。
これってどんな意味があるかって?
「こいつは俺のモノ。」というアツアツな恋人に贈ったり、もしくは小さな子供の保護のためのものだそうな。
何故なら、GPSみたいに送り主はつけている者の居場所が常にわかり、ついでにこの送り主の魔力を纏った魔石が、つけている者の魔力を管理できる。つまり、私は本当は魔力はないけど、「今はコントス付けてるから、魔力を管理されてる為私の魔力は感じません」と擬態出来るそうな。
本来は、嫉妬深い?いや、アツアツカップルが君の魔力は美味しい?から他の男に感じさせないでくれっていうめっちゃ束縛感強い代物みたいなんだけど・・。
魔力が一般化しているこの世界では、少なすぎるのも多過ぎてコントロールできないのも問題だそうで、コントロールできない人も自分より魔力のある人間につけてもらっている場合もあるみたい。

歩くたびにチャリチャリと揺れるネックレスになんだか非常に重いものを感じる。。
いいんだろうか私こんなのつけちゃって。
まあ、不審者として怪しまれても、これで居場所ばれちゃうからね、安心してもらえるだろうし。
魔力ないのバレないし。
団長の保護下ってある意味最強だし?
でもこれ・・女の子だったら、
「私ったら団長のモノ!?いやーん、困るう!(喜)」とかいう実に美味しい展開。
現在、男の私がつけていると、、

「ん、おいあれ見ろよ。」
「っまじか!?」
「あの色、ハヴェス団長!?」
食堂に入るなり、ハヴェス団長とマドックの後ろに隠れるようにしていても注目を浴びてしまう。
なぜなら・・。

「「どんだけ強いんだっ!?」」

すみません、誤解です。

そう言いたいが言えずに食堂の端にヒョコっと座り、ガチマッチョな男たちからの熱い視線にさらされていると、

「ほら、食べろ。」
俯いていた視線を上げると、そこには銀髪イケメン。
表情こそ硬いが少し口元が緩み優しそうに見えるが、問題はそこではない。
目の前にはてんこ盛りの皿が三つほど並ぶ。
皿に乗せられているのは大量の肉、肉、肉。
肉のピラミッドが三つ鎮座している。
「あ、あのこんなに・・。」
こんなに食えるかっ!と言いたいのを堪えて控えめに言おうとしたところ、
「アオイ、その細い身体では戦えない。筋肉をもっと増やさねば。」
「え、、でも(肉をこんなに食えない)」
戸惑う私に、ノアさんはため息をついて、おもむろに肉をナイフで切ると、肉をフォークに刺してこちらに差し出すと、
「・・口を開けろ。」
無表情でそう言った。
「!」
固まる私と
「お前・・。」
頭を抱えるマドック。
お口にアーンは25才女子にはしんどいっ!と狼狽えていると、だんだんと顔が赤くなっていくノアさん。
あ、これなんかおかしいと気がついたけど、引っ込みつかない的な?
イケメンの赤ら顔に勇気をもらい、パクッとかぶりつきましたよ、ノアさんのフォークに。
「お、おいひぃです。。」
私は男。
17才。
大丈夫、まだギリギリ許されるって。
誰に何を許してもらえるのかは分からないが、無心で肉を食いまくりました。。
本心は、いや戦いたくないんですが!と思っても。
私女子なんでガチな筋肉はいらない(泣)と思ってもだ。


おまけ

無心で皿を空にするとマドックが、
「では、訓練に早速コイツを連れていく。まあ、早々にリタイアしそうだがな。」
とアオイを連れ第3騎士団の練習場所へと連れて行った。
その後ろ姿を見ていると、どうにも体内の魔力が落ち着かず攻撃的な威圧を与える気配を感じた為、執務室へと戻った。

パタンと自室のドアを閉め、結界魔法をかける。これで室内と廊下は完全に分離された。

「あ゛あ゛~っ!」
俺は大理石の床に膝をつき、心置きなく絶叫をし髪を掻きむしった。
なんなんだっ!
一体俺はどうしたっていうんだ!!
あの白い肌に濡れたような黒い瞳のアオイが街でうろつけば、あっと言う間にロクでもない奴らに慰み者にされてしまうと思い、騎士団に入れるために、コントスを結んだ。
それは、アオイを守る為に必要だから当然だ。
だが、アオイのほっそりとした首元に俺の色を模したネックレスがアオイが動くたびに揺れるのを見ると・・。
言いようの無い気分にさせられ、同時にこんな細い身体じゃ騎士団では辛いと思ったんだ。
それなのに。
気がつけば、アオイに向かい口を開けるよう命令していた。。

バリバリ
パリン

部屋中の物が俺の暴れ出した魔力で吹き飛び壊れて転がる。

恥ずかしそうに顔を染めて肉を頬張る姿は、なんとも可愛らしく、その後も両頬を膨らませて食べる姿はまるでリスのようだった。

もう一度、食べさせてやろうかと思うほどっ・・。
バタンッと本棚が倒れ、バサバサと書類が飛び散る。

「はぁっ・・。守るのがこんなに難しいとは・・。」
くしゃくしゃになった頭を抱えて、ためいきをつく。
今まで陰口を叩かれる、魔力におそれをなして逃げられることはあっても、側にいたいと縋られる事も、顔を赤く染められる事など一度もなかった。
このかき乱されるような気持ちをもて余してしまう。
アオイの前では、このような無様な姿は見せられない。憧れられ尊敬されるような人物に
ならなければっ!

と、初めての庇護欲にかられ悶えるノアであった。。
その庇護欲、、ノアをどう変えるのか(ニヤ)













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