迷惑嫌いの魔術師さん

ましら

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現代に暮らす魔術師さん

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私は数少ない魔術師の末裔として生まれ、側から見れば普通の女性だ。今のこの世の中で魔術なんて使わなくても生きていけるし表立って人に見せつけようなど少しも思わない。そう、ある事を除いては...
私は雑貨屋を営んでおり、アクセサリーに気付かないほどの魔除けや治癒などの魔力を込めて販売している。自宅から店までは電車とバスでだいたい1時間。家と店とを分けたのは魔術師という事をバレないようにするため。今日も早朝の通勤ラッシュにのまれながら私は店へと向かう。そこでよく遭遇することといえば堂々と大きなリュックを車内で背負った学生。優先席に座りスマホやパソコンをいじるサラリーマン。そう、私は人の迷惑に遭遇するのが大嫌いだ。日本はおもてなしの国だ気遣いや優しさの国だ言うけれど、その言葉の裏側に多くの迷惑も存在する。そんな時、私は迷うことなく人知れず魔術を使う。
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