迷惑嫌いの魔術師さん

ましら

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通勤する魔術師さん

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バスで通勤中また私の目の前に巨大なリュックを背負った学生がいた。電車やバスではバックは手に持つか棚の上と毎日のようにアナウンスが鳴るが聞かない奴の気がしれない。私はとりあえずバス停で人の乗り降りが起こるとその学生のバックを軽くつついた。これで鞄を下ろしてくれるならまだ良い方だろう。だが今回の学生は下ろすどころか私に寄りかかるように鞄をぶつけてきた。明らかに学生の前には人1人分のスペースはある。これはやるしかないとタイミングを伺っているとそろそろ終点だ。私は気づかれないよう学生の鞄に触れると呪文を囁く。終点となり乗客が次々に降りようとするなか、先程まで鞄をぶつけてきた学生はおろおろとして降りようとしない。バスの運転手も学生が他の乗客の下車を妨げていたため進むように指摘する。しかし彼は赤っ恥をかいたように今まで背負っていた鞄をはなして引っ張っていた。そう、私は魔術で鞄の紐を手すりに巻き付けたのだった。鞄の紐をほどくとそそくさと運転手に定期を見せる学生。降りぎはに車内では鞄を下ろしなさいと運転手に注意され周りの冷ややかな目に晒された学生は私に軽く会釈して去っていった。別に私は制裁を下したいとか反省させたいとは思っていない。迷惑を見るのが嫌いなだけ。後日同じバスに乗ってきた例の学生はしっかりと鞄を下ろして足に挟んでいた。
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