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第五章 魔法の入門4 魔法属性

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 フレンテール魔法学院。
 ミライと話をしていたところに丁度、ルリンド教師の声でびっくりしてミウは逃げるように教室から飛び出した。その学院専用の教科書魔法書を他人が解読しても大丈夫のかと心配していたからだ。
(ユナアとラルドは何処?)
 と、考えながら走り続けながら探し始めた。ミウの足音が廊下に鳴り響いていた。
 ふと三階に行ってから、グラウンドに居るのかと思えて来る。この魔法学院では超能力は禁止されていて、不便に感じた。元々、ミウは魔法と超能力の能力は無縁だ。
 三階から、薄茶色の髪を再びなびかせながら一気にかいだんを下り、一階に到着してそこからスタートを切るようにグラウンドへ駆けて行った。息を切らしながらも着く。
 そこまでしたからには、ユナアとラルドがいて欲しい。
 寝ぼけたように視界が悪くても周囲を見渡す。赤茶色の猫と灰色の猫がぼんやりとミウ目に映った。二匹で何かの話しをしている様子だった。
「い、いた!」
 目が大きく開かれたら、視界が良くなった。
 大きな黒いリボンを首の後ろに付けている、赤茶の毛色の雌猫、ユナアは何事かと苦笑いする。
「何を慌ててるの? 何か変なことでもあった?」
「大変なことにならないよね!?」
「大変? どうしたの?」
 一方、ミウは心配して言ったけれど灰色の毛色の雄猫、ラルドは口角が上がっているけれど気さくに言った。
 ユナアは静かに顔をしかめる。
「まさか……」
「ミライって言う女の子が、教科書を勝手に一人で解読しちゃって大丈夫なのかな!? わたし、何もやっていないんだけど……」
 ミライと言う少女は、髪と瞳の色は黄を帯びた金色で、顔が美しいけれど性格がきつそうな特長だ。
「か、解読――!?」
 ラルドが驚けば間違いなく本当に大変な事件なのだろうと、ミウは読んだ。
「ミライが!?」
 ユナアも驚いていた。
 確実に、一人で解読する立場だった。もう、後戻りは出来そうにない。もし、二匹はまだ解読をしていなかったら交換したい。でも、名前が魔力の固定で刻まれていたから上書き出来なかった。ここの魔法学院に入るには難易度が高い。これから、どんな仕打ちが待っているのかが分からなかった。
 すると、ラルドがとんでもない事を言う。
「そのことについて、皆に内緒にしておこうよ! その方が冒険的でスリル・・・あって楽しいよ・・・・
 素直に不正しましたと言う善意の心であることが必須であったが、ラルドは余計に心配してさらにとんでもないことが続く。例の案件をこれから実行するから、正論を出来なかった。
「大丈夫だよ。ボクは大きな嘘と小さな嘘の区別が分かるから気にしないで。嘘も時には方便だから、良いことだよ?」
 しかし、ミウ達は本当は嘘が基本的に嫌いだったけれど、
「……」
「…………」
 ミウとユナアは無言。ミウは、そうしようと決めてしまった。それは錯覚だった。ユナアもこれから先の自分の案件があるから、何も言えなかった。
 今、問題児が誕生したが誰も知るよしもなかった。
「あれ、ユナア達はミライのこと知っているような感じだけど……?」
 ミウが話題を変えた。
「ボク、知らないよその人」
「ワタシも知らない」
「そう、なのね?」
 ミウは残念そうでも、心の奥底では教科書魔法書のことは一人だけの秘密ではないので心強いと思い安心していた。そして、
「あ! ユナア、前に話しがしたいって言ってたよね?」
「うん」
「ここで話す?」
「大事な話しだから、人がいない所で話すね」
 
 ――一時間後が過ぎた。

 ミウ達は見習い室1ーA教室に戻り、魔法の勉強に励む。
 アクが言った通り魔法は、不思議な事を起こす能力で危険だ。
 
 フレンテール魔法学院、専用の教科書魔法書には、一頁目。
 それぞれの魔力の種類がある。一つは『無の魔法』これは誰にでも使える日常の魔法である。
 次に、少し変わった魔法がある。
『火の魔法』『水の魔法』『風の魔法』『地の魔法』『闇の魔法』『光の魔法』
 と、いったものがあり、それらを合成させることが出来る。
『火、風、闇の魔法』で『雷の魔法』
『水、闇の魔法』で『氷の魔法』
『水、地、光の魔法』で『草の魔法』
 このような、混合魔法の出来映えになる。

 二頁目。
『無の魔法』は技を習得すれば普通に出せる、透明な魔法の光だ。

 ミウの頭の中を見てみると、アクが使った魔法は『再生ヒール』『操作アペレイシャン』『照明ライト』この三つだ。
再生ヒール操作アペレイシャン』は『無の魔法』
照明ライト』は『光の魔法』ということになるはずだ。

 教科書魔法書に目を移す。
 ただし、『火、水、風、地、闇、光』は覚えられる者と覚えられない者もいる。

 魔法について二。
 自分の持てる限り強い魔力を出すと、自分の目の色と同じ、瞳孔が明るく光る。
 魔法を出す時は、自分の目の色と同じに合わせて光が出る。
 魔法の光を出す、種類が五つある。
明色魔法めいしょくまほう
淡白魔法たんぱくまほう
粒状魔法りゅうじょうまほう
直線魔法ちょくせんまほう
煙霧魔法えんむまほう

 ミウの頭の中。
(明色は明るい光。淡白は淡い光。粒状は光の粒。直線は光のスプレー。煙霧は……光の煙?)
 後は、魔法の使い方を覚えるだけだ。
 読むだけでは魔法は身につかないから、自らやって行くしかなさそうだった。
「はい、そこまで!」
 ルリンド教師の声で授業は終わった。

 それから、皆で魔法で掃除をし、ユナアとラルドは熱心にこれからの先についてのお喋りが煩かった。
 ユナアとラルドと仮なのか分からないけれど、パートナーになった。本当の仲間にミウはなれそうな予感がする。ユナアとラルドと一緒に旅をしてみたい。黒猫のアクのように旅をしてみたい。
 黒猫のアクと旅をした事は、短い間だったが楽しかった。逸れるまでは。黒猫のアクは赤くて邪悪な目付きでも優しくて好きだ。アクが自分に超能力を分け与えてくれた。ミウのことが好きなのか、手助けをしてあげたのだろうか。考えは色々あるから複雑で計り知れない。そこまでしても、アクの心は読み取っていない。いや、読み取れなかった。超能力を弾き飛ばされるように壁か何かで防御しているかのように感じたミウ。アクは超能力を無効化にする能力があるのだろうか。
(……あの時、アクはわたしのこと嫌いになったのかな?)
 それは、水晶玉があった魔法洞窟のことだ。
 そして、掃除が魔法の力ですぐ終わり、帰りの身支度をして帰りの挨拶に入った。
 やはり、この魔法学院の契約をするから、ミウとユナア、ラルドは教室に残された。
「これから多分、校長室に行くと思うよ。ところで、ミウは寄宿舎に入るの?」
 ラルドに言われ、寄宿舎に入るかとうか迷う。
「ユナアとラルドは入るの?」
「入るよ」
 ユナアがきっぱりと言った。
 その言葉で寄宿舎に入る判断が決まる。
「じゃあ、わたしも入るよ!」
 最初からミウは決めていた。ユナアとラルドがもし寄宿舎に入らないとなると、入らなかった。自分で判断をある意味していない事になる。
 すると、放送が効果音のピンポンパンポーンと流れ出す。
『ミウさんとユナアさんとラルド君は四階にある校長室まで来て下さい。もう一度、繰り返します。ミウさんとユナアさんとラルド君は四階にある校長室まで来て下さい。以上です』
 と、ルリンド教師の声で放送が切れた。
 行かないと大変なことになりだそうから、ミウ達は四階までエレベーターを使わずに上って校長室の扉をノックした。その扉は凄く豪奢で複雑な模様のデザインで偉い人だなと感じるほどだ。
(さすが、校長先生学院師長!)
 ラルドは認めたような内心に思った。ユナアは偉い人は良いなと憧れている。
 ルリンド教師は校長室の扉から顔を見せてくれる。
「来ましたね。それでは入って下さい」
 ミウは僅かに緊張していた。ユナアとラルドは緊張しているのだろうと様子を見ると、少し嬉しそうな二匹の猫の顔がいた。

 その後、魔法でありえない速さで瞬く間に契約を終えた。
 ルリンド教師に、寄宿舎を案内してもらった。フレンテール魔法学院の右隣にある。外へ出て、距離は歩いて三分。ミウ達の部屋へと案内された。パートナーがいると、一緒に生活することが出来る。パートナーと言っても、同性でないといけない。しかし、良いことに猫は許可してもらえた。
 部屋に入ると、けっこう広かった。二十畳くらいある大きさだ。ベッドが三つあり、机も三つある。言わば三人部屋だ。ここならば、ユナアとラルドの大事な話しが出来そうだ。ミウの大事な話だったら、剣を失くした事しかない。
 ルリンド教師が居なくなったら、ラルドはベッドに乗っかりトランポリンみたいにジャンプして遊び始めた。
「……」
 ミウは無言のまま、両手に抱えていた教科書魔法書を机に置いた。二匹は、教科書魔法書を学院の1ーA教室に置いてきたのだろうか。
 でも、ユナアとラルドと一緒にいればこれから楽しくなりそうだ。ミウは思いを詰めて、覚悟を決める。
「……ねぇ。大事な話してもいいんじゃない?」
 ラルドはベッドトランポリンに夢中で話を聞いていなかった。
「…………」
 またミウは無言になった。ユナアはラルドに関してあきれていた。
 いつになったら、遊ぶのをやめるのだろうか。この調子だとずっと遊んでるに過ぎない。
 ミウは椅子に座り、机に俯いた。そして、何気に教科書魔法書の頁を開く。

 ――その本の詳しい中身。

 【魔法属性は、魔法の効果や性質を分類するための概念】
 
『火の魔法』は熱や炎を扱う魔法。
『水の魔法』は水の流れを扱う魔法。
『風の魔法』は空気や風を扱う魔法。
『地の魔法』は土や岩を扱う魔法。
『闇の魔法』は暗闇や影を扱う魔法
『光の魔法』は光や輝きを扱う魔法。

 魔法属性は、それぞれに相性や特徴がある。
 『火の魔法』は『水の魔法』に弱く、『風の魔法』に強い。
 『水の魔法』は『火の魔法』に強く、『草の魔法』に弱い。 
 『風の魔法』は『火の魔法』に弱く、『雷の魔法』に強い。
 『地の魔法』は『雷の魔法』に弱く、『草の魔法』に強い。
 『闇の魔法』は『光の魔法』に弱く、『氷の魔法』に強い。
 『光の魔法』は『闇の魔法』に弱く、『火の魔法』に弱い。

 これらの属性を組み合わせることで、新たな属性を生み出すことが出来る。
 
『火と風と闇』を組み合わせると『雷の魔法』が出来る。雷の魔法は電気や稲妻を扱う魔法であり、高い威力と速さを持つが、不安定で制御が難しいという欠点もある。

『水と闇』を組み合わせると『氷の魔法』が出来る。『氷の魔法』は冷気や凍結を扱う魔法であり、低温や硬度を利用して敵を攻撃したり防御したり出来るが、温度変化によって効果が変わったり消えたりすることもある。

『水と地と光』を組み合わせると『草の魔法』が出来る。草の魔法は植物や自然治癒を扱う魔法であり、回復や補助に優れているが、攻撃力は低く、火や水などに対して脆弱。

 

 【魔法の光の性質の概念】

明色魔法めいしょくまほう』は、光の波長を短くして、高いエネルギーを持つ光を出す魔法。この光は、目に見える範囲だけでなく、紫外線やX線などの不可視光も含む。明色魔法は、強い照明や信号に使えるだけでなく、暗闇を照らしたり、物質を透視したり、切断したりすることも出来る。ただし、明色魔法は、目や皮膚にダメージを与えたり、発がん性があったりする危険性もある。

淡白魔法たんぱくまほう』は、光の波長を長くして、低いエネルギーを持つ光を出す魔法。この光は、目に見える範囲だけでなく、赤外線や電波などの不可視光も含む。淡白魔法は、目立たないけど優しい雰囲気を作ることが出来る。花や絵に色を付けたりするのにも使える。また、淡白魔法は、温度や振動や電気信号などに影響されることもある。

粒状魔法りゅうじょうまほう』は、光の振幅を小さくして、点状に分散した光を出す魔法。この光は、目に見える範囲だけでなく、レーザーやホログラムなどの特殊な光も含む。粒状魔法は、粒の大きさや形や色を自由に変えることが出来る。模様や文字や図形を作ったりするのにも使える。また、粒状魔法は、干渉や回折や偏光などの現象を利用することも出来る。

直線魔法ちょくせんまほう』は、光の位相を揃えて、一方向に伸びた光を出す魔法。この光は、目に見える範囲だけでなく、レーザーやホログラムなどの特殊な光も含む。直線魔法は、直線や曲線や波線など様々な軌跡を描くことが出来る。飾りや罠や攻撃にも使える。また、直線魔法は、反射や屈折や散乱などの現象によって軌道が変わることもある。

煙霧魔法えんむまほう』は、光の位相を乱して、拡散した光を出す魔法。この光は、目に見える範囲だけでなく、レーザーやホログラムなどの特殊な光も含む。煙霧魔法は、煙の量や密度や色を自由に変えることが出来る。隠れたり迷わせたりするのにも使える。また、煙霧魔法は、光の強度や方向や偏光などによって見え方が変わることもある。

 ミウはそれを少し読んで、じっと時を待った。まだまだ、この熱い解説の教科書魔法書の展開が続きそうだ。多くの頁数は自分のことを書くメモが直接ある。そのメモに【自分の魔力の強さはどれくらいなのだろうか】と書いて置いた。



 

 


 
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