からだからでもいい?

長月〜kugatu〜

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<栗栖>

栗栖

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悠歩の後ろ姿を見送ってから座っていた場所を見ると、コースターに5千円札が挟まれていた。
カクテルの代金にはすこし多いが、それに関しては後で返せばいい。
それよりも何も言わずに席を立ったことが気がかりだ。

「栗栖、悠歩はどうしたんだ?」

「急用が出来たみたいだよ、それよりも今日は郷の部屋に泊まっていい?」

急用?こんな時間から?

「郷ってばっ!」話の途中で考え事をする郷にイライラして思わず大きな声がが出る。

「悪い、どうした?」

「だからぁ郷の部屋に泊まっていい?」

「ダメだ、南方が部屋をとっているんじゃないのか?」

「東馬はフランス。今回は僕一人で来たし郷が泊めてくれると思ってホテルなんてとってないし」


「じゃあ、今からでも泊まれそうな所を探すか」

思い通りの答えを言わない郷に栗栖はムッとする。
栗栖のまわりの人間は常に栗栖が欲しい答えを出してくれるのに、郷は栗栖の欲しい答えをくれない。
そこがかっこよくて、でも悔しい

「嫌だ!郷の部屋に泊まるって言ってるだろ」さらに声を張り上げる

郷は両手を肩の高さまでてを広げて上げ”降参”のポーズをした。

「じゃあ、こうしよう悠歩に連絡を取ってからな」

悠歩の名前を持ち出されてイラっとするも、従うしかない

郷は仕事が終わってから悠歩に電話をすると、呼び出し音がむなしく響くだけだった。
少し間をおいて、再度かけ直してみると今度は「はい・・・」と悠歩の声が聞えたがその声はかすかに震えているように感じた

「今日は急にどうしたの?」

「別に・・・ただ、他の人に誘われていたのを思い出しただけ」

「他の人?」

「あの・・・切ります」

腑に落ちないことばかりだが悠歩が何も言わないし、言いそうもないのでこういう時はきちんと会って話さないとダメだ。


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