からだからでもいい?

長月〜kugatu〜

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<謝罪>

謝罪

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買ってきたカップスープにお湯をいれてかき混ぜ、サラダとサンドウィッチをテーブルの上に並べる。

「髙橋酒店がコンビニになったのよ。悠歩の同級生がフランチャイズを始めたのよ」

一瞬、ピクりとなる。あの一連の噂話の相手が髙橋であることまでは母親は知らない。
ただ、仲がよく遊びに来ていたのに悠歩がゲイだと陰口を言われるようになったから遊びに来なくなったというふうに思っていたようだ。

「さっきレジに居たよ」

「どうしたらいいか分らなくて、いつも届いてもそのままにしていたものがあって」

「なに?」

「同窓会のハガキ、今年も来てるけど」

本当に送ってきてはいたんだ。でも、どんな顔して出ろっていうんだ?
「いらないよ、どうせ出られないから」

ぴんぽ~ん
来客を知らせるチャイムがなる。

「郷さんかな?」
いそいで玄関に行きドアを開けるとそこには髙橋が立っていた。

「何?俺はもう何も話すことはないし、話したいとも思わないけど」

髙橋はまっすぐ悠歩の目を見て

「おれが椎崎を好きだったんだ」


母親にはやはり聞かれたくないので高橋を押し出すような形で外にでた。

「今更何の話?それを今言われても、昔のことを謝罪されても俺は何も思わないしそもそも高校時代に戻れるわけじゃない」

「申し訳ない」と言って頭を下げる

「謝る必要な無いよ、俺が男にしか恋愛感情を持たないのは当たっているから」

悠歩の言葉に驚いて頭を上げる高橋の背後に郷のすがたが見える。

悠歩の顔が晴れやかになり「郷さん」と今までの声とは全く違っていた。

「お客さん?」

「もう話は終わったから、母さんが待ってる」

郷は高橋に軽く会釈をすると悠歩の隣に並んで玄関に向かう。

「クラス会には一生行くことは無いから、高橋も俺について何も話す必要はないから」
扉を開ける寸前に、悠歩は振り返りはっきりとした発音で高橋に伝えた。
そして郷と悠歩は一瞬見つめ合ってから扉の向こうへ消えていった。


高橋は二人の姿を見ながら考える。もしあの時不用意に悠歩を試す様なことをしなければ、そして翌日きちんとクラスの人たちから悠歩を守っていれば郷の位置はおれだったんだろうか・・・


人生にIFはない、思い出はセピア色にくすんでいくが今の悠歩は鮮麗だ。



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