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プロローグ
しおりを挟む今日でこことはお別れだ。顔も思い出せなくなったあの人が来なくなって5年。あの人がここに来るのを今か今かと待ち続けてもう5年という時が過ぎてしまった。
きっとこのまま私は自らなにかしなければ、きっとここに取り憑かれたままになってしまう。そう思い、大学を近所のところから東京の大学へ大幅な進路変更をした。高三の夏から猛勉強し、ギリギリ合格の切符を手に入れたのだった。
白いレースのワンピースにつばが広い麦わら帽子。そして自分で持っていきたいものを小さなキャリーバッグに詰めてあそこに向かった。
鐘を大きく鳴らしたあと
「ごめんなさい。」
の一言を残したあと、あの人が表れないことを確認してから夜の新幹線に乗った。
東京についた時にはもう終電がなくなっていたため、駅近くのホテルで1泊した。次の日、午前10時頃私の新居に向かった。
このマンションを管理する大家さんに部屋の鍵を貰い、部屋の場所も教えて貰った。
「502号室か、、、。」
この荷物では階段ではとても無理そうだった。エレベーターのボタンを押すと、すぐにエレベーターは開いた。1階にはキャリーバッグの転がるタイヤの音だけが廊下に響いていた。
新しい生活に対する不安と興奮の混ざりあった感情を抑えながら5階のボタンを押し、エレベーターは扉が閉まった。
茶色と肌色の2色を用いた、6階建てのマンション。廊下もそのような色だと思っていた。
エレベーターがもう一度開くと、春らしい風にゆられる草原が一面に広がっていた。
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