同僚がヴァンパイア体質だった件について

真衣 優夢

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小ネタ かわいい生き物

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※ 本編の時間軸より前のお話です


 とある日。
 令一の部屋でのできごとです。


 僕は令一の部屋で待ち合わせをしていました。
 令一が帰ってきたので、僕は玄関で令一に飛びつきました。


「おかえり、令一!」

「うわあっ!?」


 令一は目を白黒させてから、僕を抱きつぶさんばかりに抱きしめました。
 ちょっと死ぬかと思いました。


「悪い桐生。いきなり可愛い生き物が出迎えてきたからつい……。
 しかしお前、なんでコウモリなんだ」

「シャワー浴びさせてもらったんだ。勝手に使ってごめんね。
 服を洗濯機に入れた後、着替えがないって気づいて」

「まだ濡れてるぞ」


 令一は肌触りのいいタオルを持ってきて、僕の髪といい体といい翼といい、細部まで丁寧に拭いてくれました。
 とても嬉しそうでした。


「体くらい自分で拭くよ?」

「いいからじっとしてろ」

「うん……」

「(わしゃわしゃわしゃわしゃ)」


 それからしばらくして。


「桐生。
 何故、そんな遠いところにぶらさがっている?」

「コウモリの姿は、この体勢が楽なんだよね。
 部屋でぶら下がれるところって、カーテンレールくらいしかないから」


 令一は、せっせと部屋に洗濯ロープを張り巡らせました。


「これでいい。
 好きなだけぶらさがれ」

「……。
 ありがとう」


 僕は洗濯ロープに飛んでいって、ぶら下がろうとしました。
 そしたら、爪がつるっとすべって、ソファに転がり落ちてしまいました。


「あっ」

「桐生! 大丈夫か!?」

「洗濯ロープって、思ったよりすべるんだね。
 失敗失敗」

「………」


 令一は無言で買い出しに行きました。


「令一、何買ってきたの?」

「ボアスリッパだ。コンビニにあった」

「ねえ、どうしてスリッパを洗濯ロープに……?
 ボアスリッパはぶら下げるものではなくて履くものだと思うんだ……?」

「遠慮するな」


 令一の目が、問答無用で促していました。
 僕は仕方なく、ボアスリッパに入ってみることにしました。


 ぱたぱたぱた。ぽすっ。


「うわあ、あったかい! 気持ちいい! 上向いてても体が固定できちゃう。
 ボアスリッパすごいね!」


 顔だけ出して令一に笑いかけると、令一も満面の笑顔で……
 僕に向かってスマホのカメラを連写していました。


「令一のところのドラム乾燥機、早いね。
 すぐ服乾いてよかった。
 やっと人間の姿になれたよ」

「………………」

「なんで不服そうなの!?」


 最近僕は、どことなくペット扱いされている気がしてなりません。
 令一の部屋に行くたび、コウモリ姿を催促されます。
 しかも、洗濯ロープに下がるおもちゃが増えているんです。
 ロープに留まろうとして、うっかりおもちゃにしがみつくと、令一がスマホを構えているんです。


「令一……。
 僕は恋人であって、ペットじゃないよね」

「当たり前のことを聞くな」

「じゃあ、コウモリの姿にならなくてもいいよね」

「………………」

「なんでショックな顔してるの!?」


 令一は、もふもふした生き物が好きです。
 それはよく知っています。


 でもね、恋人と二人きり、僕はコウモリだけど全裸なわけで。
 僕の気持ちもわかって欲しいな。


 でないと、襲っちゃうよ?




     小ネタおわり
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