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第58話 「君の嘘を許して」
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午前10時の相談所。
透は郵便受けを開けた。
一通の手紙。
見覚えのある字。
美月の字だ。
◆
五路交差点発、哲学者のほろにがログ。第58話。
透の心臓が跳ねる。
手紙を開く。
便箋には、美月の丸い文字でこう書かれていた。
『藤原さんへ
嘘をついていました。
私は、雪ちゃんと直接会ったことはありません。
ただ、雪ちゃんの描いたイラストを見ただけです。
3年前、私が描いたイラストで傷ついた人がいました。
その人が、雪ちゃんのイラストを持っていました。
だから、私は雪ちゃんと繋がっていると思いました。
でも、それは勘違いでした。
雪ちゃんと私は、繋がっていません。
ただ、同じような罪を抱えているだけです。
嘘をついて、ごめんなさい。
でも、これが真実です。
私は、藤原さんを傷つけたくなかった。
だから、嘘をつきました。
許してください。
星野美月』
透の手が震える。
「嘘……」
透は小さく呟く。
「美月さんは……嘘をついていた……」
透は涙を流す。
でも、怒りはない。
ただ、悲しみだけ。
「美月さん……」
透は小さく呟く。
「君は……俺を守ろうとしていたのか……」
透は手紙を握りしめる。
「嘘をついてまで……」
透は机に向かう。
そして、便箋を取り出す。
透は、丁寧な文字で書き始めた。
『美月さんへ
嘘を、許します。
君が俺を守ろうとしていたこと、分かります。
君が俺を傷つけたくなかったこと、分かります。
だから、許します。
でも、一つだけ言わせてください。
君の嘘より、君がいないことの方が、俺を傷つけます。
君が逃げることの方が、俺を苦しめます。
だから、戻ってきてください。
嘘をついてもいい。
秘密を持っていてもいい。
ただ、そばにいてください。
それだけで、俺は幸せです。
君を、許します。
君の嘘を、許します。
君の過去を、許します。
君のすべてを、許します。
だから、戻ってきてください。
藤原透』
透は手紙を封筒に入れる。
でも、宛先が分からない。
透は封筒を机に置く。
「美月さん……」
透は小さく呟く。
「君の嘘を許して……」
「だから、戻ってきて……」
◆
午後3時の相談所。
透は窓の外を見ていた。
空が青い。
雲が流れる。
でも透の心は暗い。
その時、ドアが開く。
透は振り向く。
美月が立っている。
透の心臓が跳ねる。
「美月さん……!」
美月は涙を流している。
「藤原さん……」
透は立ち上がる。
「美月さん……」
美月は一歩前に出る。
「手紙、読みました……」
透はうなずく。
「俺も、君の手紙を読んだ……」
美月は涙を拭う。
「ごめんなさい……嘘をついて……」
透は首を振る。
「謝らないでくれ……」
「俺は、君を許してる……」
美月は泣き崩れる。
「でも……私は……」
透は美月に近づく。
「美月さん……」
美月は顔を上げる。
「私は、藤原さんを傷つけました……」
「雪ちゃんのことで、藤原さんを苦しめました……」
「だから……」
透は美月の手を取る。
「だから、何だ?」
美月は涙を流す。
「だから……私は……」
透は美月を抱きしめる。
「君は、何も悪くない」
「君は、俺を守ろうとしただけだ」
「それは、愛だ」
美月は透の胸で泣く。
「藤原さん……」
透は美月の頭を撫でる。
「俺は、君を許してる」
「君の嘘を、許してる」
「君の過去を、許してる」
「君のすべてを、許してる」
美月は透を見上げる。
「本当に……?」
透はうなずく。
「本当だ」
美月は涙を流す。
「ありがとうございます……」
透は美月を抱きしめる。
「戻ってきてくれて、ありがとう」
二人は、しばらく抱き合っている。
言葉はいらない。
ただ、温もりだけ。
◆
午後11時の相談所。
透と美月は、机を挟んで座っていた。
美月が話す。
「3年前、私が描いたイラストで、一人の女性が傷つきました」
「その女性は、自殺未遂をしました」
「でも、生きています」
「その女性が、雪ちゃんのイラストを持っていました」
「だから、私は雪ちゃんと繋がっていると思いました」
透は頷く。
「でも、繋がっていなかった……」
美月はうなずく。
「はい……ただの偶然でした……」
透は美月の手を取る。
「でも、君は罪悪感を抱えていた」
美月は涙を流す。
「はい……ずっと……」
透は美月の手を握る。
「俺も、罪悪感を抱えていた」
「雪を救えなかった罪悪感を」
美月は透を見る。
「藤原さん……」
透は小さく笑う。
「俺たちは、似てるんだ」
「だから、惹かれ合ったんだ」
美月は涙を拭う。
「でも……それでいいんでしょうか……」
透は頷く。
「いいんだ」
「俺たちは、お互いを救い合える」
「それが、愛だから」
美月は透の手を握り返す。
「藤原さん……ありがとうございます……」
透は美月を見る。
「君の嘘を許して……」
「だから、もう逃げないでくれ……」
美月は頷く。
「はい……もう逃げません……」
二人は、手を繋いだまま、星空を見る。
雪が、見守っている気がした。
(第58話完 次話へ続く)
次回、透は「君と歩く未来」を見る。
そして、透の希望が——君の想像する「光」に、変わる——。
透は郵便受けを開けた。
一通の手紙。
見覚えのある字。
美月の字だ。
◆
五路交差点発、哲学者のほろにがログ。第58話。
透の心臓が跳ねる。
手紙を開く。
便箋には、美月の丸い文字でこう書かれていた。
『藤原さんへ
嘘をついていました。
私は、雪ちゃんと直接会ったことはありません。
ただ、雪ちゃんの描いたイラストを見ただけです。
3年前、私が描いたイラストで傷ついた人がいました。
その人が、雪ちゃんのイラストを持っていました。
だから、私は雪ちゃんと繋がっていると思いました。
でも、それは勘違いでした。
雪ちゃんと私は、繋がっていません。
ただ、同じような罪を抱えているだけです。
嘘をついて、ごめんなさい。
でも、これが真実です。
私は、藤原さんを傷つけたくなかった。
だから、嘘をつきました。
許してください。
星野美月』
透の手が震える。
「嘘……」
透は小さく呟く。
「美月さんは……嘘をついていた……」
透は涙を流す。
でも、怒りはない。
ただ、悲しみだけ。
「美月さん……」
透は小さく呟く。
「君は……俺を守ろうとしていたのか……」
透は手紙を握りしめる。
「嘘をついてまで……」
透は机に向かう。
そして、便箋を取り出す。
透は、丁寧な文字で書き始めた。
『美月さんへ
嘘を、許します。
君が俺を守ろうとしていたこと、分かります。
君が俺を傷つけたくなかったこと、分かります。
だから、許します。
でも、一つだけ言わせてください。
君の嘘より、君がいないことの方が、俺を傷つけます。
君が逃げることの方が、俺を苦しめます。
だから、戻ってきてください。
嘘をついてもいい。
秘密を持っていてもいい。
ただ、そばにいてください。
それだけで、俺は幸せです。
君を、許します。
君の嘘を、許します。
君の過去を、許します。
君のすべてを、許します。
だから、戻ってきてください。
藤原透』
透は手紙を封筒に入れる。
でも、宛先が分からない。
透は封筒を机に置く。
「美月さん……」
透は小さく呟く。
「君の嘘を許して……」
「だから、戻ってきて……」
◆
午後3時の相談所。
透は窓の外を見ていた。
空が青い。
雲が流れる。
でも透の心は暗い。
その時、ドアが開く。
透は振り向く。
美月が立っている。
透の心臓が跳ねる。
「美月さん……!」
美月は涙を流している。
「藤原さん……」
透は立ち上がる。
「美月さん……」
美月は一歩前に出る。
「手紙、読みました……」
透はうなずく。
「俺も、君の手紙を読んだ……」
美月は涙を拭う。
「ごめんなさい……嘘をついて……」
透は首を振る。
「謝らないでくれ……」
「俺は、君を許してる……」
美月は泣き崩れる。
「でも……私は……」
透は美月に近づく。
「美月さん……」
美月は顔を上げる。
「私は、藤原さんを傷つけました……」
「雪ちゃんのことで、藤原さんを苦しめました……」
「だから……」
透は美月の手を取る。
「だから、何だ?」
美月は涙を流す。
「だから……私は……」
透は美月を抱きしめる。
「君は、何も悪くない」
「君は、俺を守ろうとしただけだ」
「それは、愛だ」
美月は透の胸で泣く。
「藤原さん……」
透は美月の頭を撫でる。
「俺は、君を許してる」
「君の嘘を、許してる」
「君の過去を、許してる」
「君のすべてを、許してる」
美月は透を見上げる。
「本当に……?」
透はうなずく。
「本当だ」
美月は涙を流す。
「ありがとうございます……」
透は美月を抱きしめる。
「戻ってきてくれて、ありがとう」
二人は、しばらく抱き合っている。
言葉はいらない。
ただ、温もりだけ。
◆
午後11時の相談所。
透と美月は、机を挟んで座っていた。
美月が話す。
「3年前、私が描いたイラストで、一人の女性が傷つきました」
「その女性は、自殺未遂をしました」
「でも、生きています」
「その女性が、雪ちゃんのイラストを持っていました」
「だから、私は雪ちゃんと繋がっていると思いました」
透は頷く。
「でも、繋がっていなかった……」
美月はうなずく。
「はい……ただの偶然でした……」
透は美月の手を取る。
「でも、君は罪悪感を抱えていた」
美月は涙を流す。
「はい……ずっと……」
透は美月の手を握る。
「俺も、罪悪感を抱えていた」
「雪を救えなかった罪悪感を」
美月は透を見る。
「藤原さん……」
透は小さく笑う。
「俺たちは、似てるんだ」
「だから、惹かれ合ったんだ」
美月は涙を拭う。
「でも……それでいいんでしょうか……」
透は頷く。
「いいんだ」
「俺たちは、お互いを救い合える」
「それが、愛だから」
美月は透の手を握り返す。
「藤原さん……ありがとうございます……」
透は美月を見る。
「君の嘘を許して……」
「だから、もう逃げないでくれ……」
美月は頷く。
「はい……もう逃げません……」
二人は、手を繋いだまま、星空を見る。
雪が、見守っている気がした。
(第58話完 次話へ続く)
次回、透は「君と歩く未来」を見る。
そして、透の希望が——君の想像する「光」に、変わる——。
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