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第3章:青春の残酷さ(スクールカーストと幼馴染)
#9:友達のままでいたかった Ep.02
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2月14日、当日。
私は学校を休んだ。
熱はない。体調も悪くない。
ただ、「美咲ちゃんが翔にチョコを渡す瞬間」を目撃したくなかっただけだ。
そして、翔から「チョコもらった!」という報告を、笑顔で聞く自信がなかったからだ。
『大丈夫か? 風邪?』
昼過ぎに翔からLINEが来た。
優しい。
そういうところが好きなんだよ、バカ。
『ちょっと熱っぽいかも。今日は寝てる』
『そっか。お大事にな。プリン買ってこうか?』
『うつると悪いからいい。玄関に置いといて』
距離を置く。
もし彼が来たら、会いたくなってしまう。
会ったら、泣いてしまうかもしれない。
「誰にも渡さないで」って縋り付いてしまうかもしれない。
そんなの、私のキャラじゃない。
布団の中で丸まりながら、学校の様子を想像する。
今頃、放課後だ。
美咲ちゃんは翔を呼び出しただろうか。
体育館裏か、屋上か。
「ずっと見てました」とか言うのかな。
翔はなんて答えるのかな。
「マジで? ありがとう」って、あのニカッとした笑顔を見せるのかな。
想像するだけで、胃液が逆流しそうだ。
私は今まで何をしてたんだろう。
一番近くにいたのに。
誰よりも彼のことを知っているのに。
「好き」の一言が言えないだけで、ぽっと出の美咲ちゃんに全部持っていかれる。
「……あー、気持ち悪」
本当に具合が悪くなってきた気がする。
病は気からと言うけど、恋の病は物理的に内臓を蝕むらしい。
スマホの通知音が鳴るたびにビクッとする。
翔からの「付き合うことになった」報告だったらどうしよう。
見たくない。
今日はもう、スマホの電源を切ろう。
外から、近所の子供のはしゃぐ声が聞こえる。
世界はいつも通り回っている。
私一人が、布団というシェルターの中で、時間の流れに逆らおうと必死になっているだけだ。
(つづく)
私は学校を休んだ。
熱はない。体調も悪くない。
ただ、「美咲ちゃんが翔にチョコを渡す瞬間」を目撃したくなかっただけだ。
そして、翔から「チョコもらった!」という報告を、笑顔で聞く自信がなかったからだ。
『大丈夫か? 風邪?』
昼過ぎに翔からLINEが来た。
優しい。
そういうところが好きなんだよ、バカ。
『ちょっと熱っぽいかも。今日は寝てる』
『そっか。お大事にな。プリン買ってこうか?』
『うつると悪いからいい。玄関に置いといて』
距離を置く。
もし彼が来たら、会いたくなってしまう。
会ったら、泣いてしまうかもしれない。
「誰にも渡さないで」って縋り付いてしまうかもしれない。
そんなの、私のキャラじゃない。
布団の中で丸まりながら、学校の様子を想像する。
今頃、放課後だ。
美咲ちゃんは翔を呼び出しただろうか。
体育館裏か、屋上か。
「ずっと見てました」とか言うのかな。
翔はなんて答えるのかな。
「マジで? ありがとう」って、あのニカッとした笑顔を見せるのかな。
想像するだけで、胃液が逆流しそうだ。
私は今まで何をしてたんだろう。
一番近くにいたのに。
誰よりも彼のことを知っているのに。
「好き」の一言が言えないだけで、ぽっと出の美咲ちゃんに全部持っていかれる。
「……あー、気持ち悪」
本当に具合が悪くなってきた気がする。
病は気からと言うけど、恋の病は物理的に内臓を蝕むらしい。
スマホの通知音が鳴るたびにビクッとする。
翔からの「付き合うことになった」報告だったらどうしよう。
見たくない。
今日はもう、スマホの電源を切ろう。
外から、近所の子供のはしゃぐ声が聞こえる。
世界はいつも通り回っている。
私一人が、布団というシェルターの中で、時間の流れに逆らおうと必死になっているだけだ。
(つづく)
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