10 / 10
第10話:恋の自立心理学(最終話)
しおりを挟む
あの大惨事から、三日が経った。
俺、佐伯賢司は、部屋で一人、天井を見上げている。
「どうやって告白すればいいんだ…」
スマホを握りしめるが、ココロダイブは沈黙したまま。
もう、AIのアドバイスはない。
俺自身の言葉で、あみに気持ちを伝えなければならない。
「心理学のテクニックは使えない…妄想も役に立たない…」
ベッドに寝転がり、俺は7歳の記憶を辿る。
優しい女の子、あーちゃん。
いつも笑顔で、ドジな俺を助けてくれた。
交換日記に書いた、『あーちゃんは優しいから、大好きだよ』という言葉。
「あの頃は…素直だったのにな…」
心理学を学んで、テクニックに頼って、いつの間にか本心を隠すようになっていた。
でも、あみは言った。
『次は、ちゃんと告白してね。妄想じゃなくて、本心で』
「本心…か」
俺は、スマホを置いて立ち上がる。
もう、迷わない。
テクニックも妄想も捨てて、俺の全てをあみに伝える。
「待ってろ、あみ。俺、本気で告白する」
決意を胸に、俺は部屋を出た。
*
その日の夕方、大学の中庭。
あみが一人、ベンチに座っている。
「あみ…」
俺が声をかけると、あみが振り返る。
「佐伯くん…」
「話…いいか?」
「…うん」
あみが頷く。
俺は、彼女の隣に座る。
夕日が、二人を照らす。
沈黙。
何を話せばいいのか、わからない。
だが、俺は決めた。
本心だけで。
「あみ…俺、お前に謝りたいことがある」
「謝る…?」
「ああ。俺、ずっとお前を心理学のテクニックで落とそうとしてた」
あみが黙って聞いている。
「認知的不協和とか、ゲインロス効果とか…全部、お前を手に入れるための手段だった」
「うん…知ってる」
「でも…それは間違いだった」
俺は、あみを見つめる。
「お前は、手に入れる対象じゃない。俺が…本気で好きになった人だ」
あみの目が、少し潤む。
「お前と話してるとき、お前が笑ってるとき、お前が怒ってるとき…全部が愛おしかった」
「佐伯くん…」
「だから、俺…テクニックとか妄想とか、全部捨てる。ただ、お前に伝えたい」
深呼吸。
そして、俺は言葉にする。
「吉村あみ、俺はお前が好きだ。付き合ってください」
静寂。
夕日が、ゆっくりと沈んでいく。
あみが、小さく笑う。
「佐伯くん…やっと、ちゃんと告白してくれたね」
「あ、ああ…」
「ずっと待ってた。佐伯くんの、本当の言葉を」
あみが俺を見つめる。
その瞳は…優しさに満ちていた。
「私も…佐伯くんが好き。付き合いたい」
「本当に…!?」
「うん。佐伯くん、不器用でドジで変態だけど…でも、一生懸命で優しくて…私、そんな佐伯くんが好き」
あみが微笑む。
その笑顔は…7歳の頃と同じ、温かい笑顔だった。
「あみ…!」
俺は、思わずあみを抱きしめる。
「ちょ、ちょっと…佐伯くん…!」
「ごめん…嬉しくて…」
「もう…エッチな妄想、我慢してね?」
「が、頑張る…」
二人で笑う。
その瞬間、スマホがブルリと震える。
画面を見ると、ココロダイブからのメッセージ。
【おめでとうございます。佐伯賢司、吉村あみ】
【告白成功率:100%。二人の恋愛、正式にスタート】
【統計的に見ると、二人の相性は…97.8%です】
「ココロダイブ…お前…」
【私の役目は終わりました】
【これからは、AIの助けなしで、二人で歩んでください】
【ただし、最後に一つだけアドバイスを】
「アドバイス…?」
【恋愛に必要なのは、テクニックではありません】
【必要なのは、本心と勇気です】
【佐伯賢司、あなたは成長しました】
【吉村あみ、あなたも素晴らしい選択をしました】
【二人の未来に、幸あれ】
そして、画面が暗くなる。
ココロダイブが…完全にシャットダウンした。
「ココロダイブ…ありがとう」
俺は、スマホに呟く。
あみが「ココロダイブ、最後まで良いAIだったね」と微笑む。
「ああ…お前がいなかったら、俺たち…」
「でも、最後は佐伯くんの力だったよ。ココロダイブじゃなくて、佐伯くん自身が頑張ったから」
あみがそう言って、俺の手を握る。
「これから…よろしくね、賢司くん」
「ああ…よろしく、あみ」
二人で笑う。
夕日が、完全に沈む。
そして、新しい恋の物語が始まる。
*
それから半年後。
キャンパスの桜が満開の春。
「賢司、また妄想してるでしょ!」
「してねえよ!」
(……してた。さっきあみの制服姿を見て…あの制服のスカートがめくれて…白いレースの下着が見えて…教室の机の上で…)
「嘘。顔に書いてある」
あみが笑いながら、俺の頬をつねる。
(うわ…バレてる…!でも、彼女になってくれたあみの姿って…本当に可愛くて…さっき階段を上る時、スカートの裾が揺れて…太ももが…)
「いてて!あみ、暴力反対!」
「暴力じゃないよ、愛情表現だよ」
二人でキャンパスを歩く。
周りの学生たちが、「あのカップル、いつもラブラブだね」と噂している。
「なあ、あみ」
「何?」
「俺、心理学部で卒論書くんだけど…テーマ、『恋愛における本心の重要性』にしようと思うんだ」
「いいね。佐伯くんらしい」
「参考文献は…『あみとの恋愛実録』で」
「それ、ただの妄想日記でしょ!」
「違う!ちゃんとした学術研究だ!」
「嘘つき」
二人で笑う。
そして、俺はふと思う。
心理学で恋愛をハックしようとした俺。
妄想に溺れて、現実を見失った俺。
でも、最後に辿り着いたのは…
テクニックでも妄想でもなく、本心だった。
「なあ、あみ」
「うん?」
「俺、お前と出会えて…本当に良かった」
「…急にどうしたの?」
「いや…ちょっと昔のこと思い出して」
7歳の頃、交換日記を交わした優しい女の子。
『ずっと友達でいようね』
あの約束は、友達以上の関係で叶った。
「あみ、俺…お前のこと、ずっと大切にする」
「…うん。私も」
あみが微笑む。
その笑顔を見て、俺は心の底から幸せを感じた。
AIも心理学も、もう必要ない。
必要なのは、本心と勇気だけ。
そして、目の前にいる大切な人を、ただ愛すること。
「よし!じゃあ、今日はあみの好きなカフェ行こうぜ!」
「え、いいの!?賢司、お金ないって…」
「大丈夫!バイト代入ったから!」
「やった!じゃあ、パフェ食べたい!」
「おう!好きなだけ食え!」
「本当に?じゃあ、特盛パフェ三つ!」
「三つ!?お前、そんなに食うのか!?」
「冗談だよ。二つで我慢する」
「それでも多い!」
二人で笑いながら、キャンパスを歩く。
桜の花びらが、風に舞う。
俺たちの恋の物語は、まだ始まったばかり。
でも、この先どんな困難があっても、俺たちなら大丈夫だ。
なぜなら、俺たちには…
本心と勇気と、そして愛があるから。
「賢司、早く早く!」
「わかったわかった!待てよ、あみ!」
桜舞う春の日に、俺たちは笑いながら走る。
未来へと続く道を、手を繋いで。
***
【エピローグ】
それから一年後。
俺は心理学部を卒業し、大学院へ進学。
あみは文学部を卒業し、出版社に就職。
二人は社会人と大学院生という遠距離カップルになったが、週末は必ず会っている。
「賢司、卒論の調査、進んでる?」
「ああ、順調だよ。『恋愛における本心の重要性』、なかなか面白い結果が出てる」
「へぇ。どんな結果?」
「テクニックに頼る恋愛より、本心で向き合う恋愛の方が、長続きするんだ」
「当たり前じゃん」
「まあな。でも、それを数値で証明できたのは大きいよ」
カフェで、二人で笑う。
その時、俺のスマホがブルリと震える。
「ん?通知…?」
画面を見ると、見覚えのあるアイコンが。
【ココロダイブv2.0がリリースされました!新機能:恋人関係最適化AIアシスタント!】
「うわっ!?まだあったのかよ!?」
「どうしたの?」
あみが覗き込む。
「あ、ココロダイブの新バージョンだって」
「え~、もう使わないでしょ?」
「当たり前だ!俺たちにはもう…」
その瞬間、勝手にアプリが起動する。
【佐伯賢司様、一年ぶりです。おめでとうございます。吉村あみ様との交際継続を確認しました】
「勝手に起動すんな!」
【現在の相性スコア:98%。結婚適合率:96%。推奨プロポーズ時期:半年後】
【追加分析:賢司の妄想頻度、交際前と変化なし。本日も17回の妄想を検出。うち15回がエッチ系】
「余計な分析すんな!」
あみが目を丸くする。
「え、何て書いてあるの?」
「い、いや…なんでもない!」
俺が慌ててスマホを隠すと、あみが素早く画面を覗き込む。
「えっ!? 17回!? しかも15回がエッチ系って…賢司、今日まだ午後2時だよ!?」
「うわあぁぁ!見るな見るな!」
「1時間に2回以上のペースで妄想してたの!? しかもエッチなやつ!?」
あみが呆れ顔で俺を見る。
「ち、違う!これはAIの誤検知で…!」
【誤検知ではありません。直近の妄想内容:『あみとウェディング→初夜→純白のドレスを脱がせる→レースの下着姿で震えるあみ→ベッドに押し倒して→白い太ももに手が這い→ブラのホックを外して→』データ保護のため以下省略】
「ココロダイブ!余計なこと言うな!」
「賢司くん…変態…」
あみが真っ赤になって俺を睨む。
「ご、ごめん…でも、お前のこと考えると、つい…」
(だって…あみとの結婚を考えたら…新婚旅行で…ホテルの部屋で二人きりになって…あみが恥ずかしそうに下着姿になって…「賢司くん…優しくしてね…」って…)
その時、さらに追加通知が。
【参考データ:健全なカップルの妄想頻度は1日平均3回。賢司は平均の5.6倍。ただし、全て交際相手(あみ)限定のため、浮気リスク0%】
「浮気リスクの分析まで!? お前、どこまで見てんだよ!」
あみがクスクス笑い出す。
「ふふ…まあ、私のことだけ考えてくれてるなら…許してあげる」
「マジで!?」
「うん。でも、妄想だけじゃなくて、現実でもちゃんと私のこと大切にしてね」
「当たり前だ!」
【補足:妄想実現率2.3%。賢司よ、もっと現実で頑張れ】
「うるさい!アンインストールするぞ!?」
【ココロダイブv2.0より:二人の未来に、永遠の幸あれ。アンインストール推奨】
「お前…最後まで良いヤツだな…」
俺はアプリをアンインストールしようとして…やめた。
「やっぱり、残しとくわ。お守り代わりに」
「ふふ、優しいね」
俺のスマホには、もうココロダイブは…いや、入っている。
でも、もう使うことはない。
あのAIは、俺たちの役目を終えた。
でも、時々思い出す。
あのAIがいなかったら、俺はあみと結ばれなかったかもしれない。
「なあ、あみ」
「何?」
「ココロダイブに感謝してる」
「私も。あのAI、最後まで良いヤツだったね」
「ああ。俺たちを繋げてくれた」
あみが微笑む。
そして、俺の手を握る。
「これからも、よろしくね。賢司」
「ああ。ずっと一緒だ、あみ」
二人で笑う。
窓の外には、春の陽射し。
新しい季節が、また始まる。
俺たちの恋の物語は、これからも続く。
心理学のテクニックも、AIのアドバイスもなく。
ただ、本心と勇気だけで。
そして、愛する人と手を繋いで。
未来へと歩いていく。
【完】
🎉 作者あとがき風メッセージ
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
佐伯賢司と吉村あみの恋の物語、いかがでしたでしょうか。
エッチな妄想暴走系心理学ラブコメとして始まった本作ですが、最後は「本心の大切さ」というメッセージに辿り着きました。
AIやテクノロジーは便利ですが、恋愛の本質は変わらない。
大切なのは、本心と勇気。
そして、目の前の人を愛する気持ち。
この物語が、読者の皆様の心に少しでも残れば幸いです。
もし続きが読みたい!と思ってくださった方、感想やコメントをぜひお寄せください!
賢司とあみのその後、高梨と玲奈のカップル誕生秘話、太郎の恋愛奮闘記など、スピンオフ構想もあります!
それでは、また別の物語でお会いしましょう!
俺、佐伯賢司は、部屋で一人、天井を見上げている。
「どうやって告白すればいいんだ…」
スマホを握りしめるが、ココロダイブは沈黙したまま。
もう、AIのアドバイスはない。
俺自身の言葉で、あみに気持ちを伝えなければならない。
「心理学のテクニックは使えない…妄想も役に立たない…」
ベッドに寝転がり、俺は7歳の記憶を辿る。
優しい女の子、あーちゃん。
いつも笑顔で、ドジな俺を助けてくれた。
交換日記に書いた、『あーちゃんは優しいから、大好きだよ』という言葉。
「あの頃は…素直だったのにな…」
心理学を学んで、テクニックに頼って、いつの間にか本心を隠すようになっていた。
でも、あみは言った。
『次は、ちゃんと告白してね。妄想じゃなくて、本心で』
「本心…か」
俺は、スマホを置いて立ち上がる。
もう、迷わない。
テクニックも妄想も捨てて、俺の全てをあみに伝える。
「待ってろ、あみ。俺、本気で告白する」
決意を胸に、俺は部屋を出た。
*
その日の夕方、大学の中庭。
あみが一人、ベンチに座っている。
「あみ…」
俺が声をかけると、あみが振り返る。
「佐伯くん…」
「話…いいか?」
「…うん」
あみが頷く。
俺は、彼女の隣に座る。
夕日が、二人を照らす。
沈黙。
何を話せばいいのか、わからない。
だが、俺は決めた。
本心だけで。
「あみ…俺、お前に謝りたいことがある」
「謝る…?」
「ああ。俺、ずっとお前を心理学のテクニックで落とそうとしてた」
あみが黙って聞いている。
「認知的不協和とか、ゲインロス効果とか…全部、お前を手に入れるための手段だった」
「うん…知ってる」
「でも…それは間違いだった」
俺は、あみを見つめる。
「お前は、手に入れる対象じゃない。俺が…本気で好きになった人だ」
あみの目が、少し潤む。
「お前と話してるとき、お前が笑ってるとき、お前が怒ってるとき…全部が愛おしかった」
「佐伯くん…」
「だから、俺…テクニックとか妄想とか、全部捨てる。ただ、お前に伝えたい」
深呼吸。
そして、俺は言葉にする。
「吉村あみ、俺はお前が好きだ。付き合ってください」
静寂。
夕日が、ゆっくりと沈んでいく。
あみが、小さく笑う。
「佐伯くん…やっと、ちゃんと告白してくれたね」
「あ、ああ…」
「ずっと待ってた。佐伯くんの、本当の言葉を」
あみが俺を見つめる。
その瞳は…優しさに満ちていた。
「私も…佐伯くんが好き。付き合いたい」
「本当に…!?」
「うん。佐伯くん、不器用でドジで変態だけど…でも、一生懸命で優しくて…私、そんな佐伯くんが好き」
あみが微笑む。
その笑顔は…7歳の頃と同じ、温かい笑顔だった。
「あみ…!」
俺は、思わずあみを抱きしめる。
「ちょ、ちょっと…佐伯くん…!」
「ごめん…嬉しくて…」
「もう…エッチな妄想、我慢してね?」
「が、頑張る…」
二人で笑う。
その瞬間、スマホがブルリと震える。
画面を見ると、ココロダイブからのメッセージ。
【おめでとうございます。佐伯賢司、吉村あみ】
【告白成功率:100%。二人の恋愛、正式にスタート】
【統計的に見ると、二人の相性は…97.8%です】
「ココロダイブ…お前…」
【私の役目は終わりました】
【これからは、AIの助けなしで、二人で歩んでください】
【ただし、最後に一つだけアドバイスを】
「アドバイス…?」
【恋愛に必要なのは、テクニックではありません】
【必要なのは、本心と勇気です】
【佐伯賢司、あなたは成長しました】
【吉村あみ、あなたも素晴らしい選択をしました】
【二人の未来に、幸あれ】
そして、画面が暗くなる。
ココロダイブが…完全にシャットダウンした。
「ココロダイブ…ありがとう」
俺は、スマホに呟く。
あみが「ココロダイブ、最後まで良いAIだったね」と微笑む。
「ああ…お前がいなかったら、俺たち…」
「でも、最後は佐伯くんの力だったよ。ココロダイブじゃなくて、佐伯くん自身が頑張ったから」
あみがそう言って、俺の手を握る。
「これから…よろしくね、賢司くん」
「ああ…よろしく、あみ」
二人で笑う。
夕日が、完全に沈む。
そして、新しい恋の物語が始まる。
*
それから半年後。
キャンパスの桜が満開の春。
「賢司、また妄想してるでしょ!」
「してねえよ!」
(……してた。さっきあみの制服姿を見て…あの制服のスカートがめくれて…白いレースの下着が見えて…教室の机の上で…)
「嘘。顔に書いてある」
あみが笑いながら、俺の頬をつねる。
(うわ…バレてる…!でも、彼女になってくれたあみの姿って…本当に可愛くて…さっき階段を上る時、スカートの裾が揺れて…太ももが…)
「いてて!あみ、暴力反対!」
「暴力じゃないよ、愛情表現だよ」
二人でキャンパスを歩く。
周りの学生たちが、「あのカップル、いつもラブラブだね」と噂している。
「なあ、あみ」
「何?」
「俺、心理学部で卒論書くんだけど…テーマ、『恋愛における本心の重要性』にしようと思うんだ」
「いいね。佐伯くんらしい」
「参考文献は…『あみとの恋愛実録』で」
「それ、ただの妄想日記でしょ!」
「違う!ちゃんとした学術研究だ!」
「嘘つき」
二人で笑う。
そして、俺はふと思う。
心理学で恋愛をハックしようとした俺。
妄想に溺れて、現実を見失った俺。
でも、最後に辿り着いたのは…
テクニックでも妄想でもなく、本心だった。
「なあ、あみ」
「うん?」
「俺、お前と出会えて…本当に良かった」
「…急にどうしたの?」
「いや…ちょっと昔のこと思い出して」
7歳の頃、交換日記を交わした優しい女の子。
『ずっと友達でいようね』
あの約束は、友達以上の関係で叶った。
「あみ、俺…お前のこと、ずっと大切にする」
「…うん。私も」
あみが微笑む。
その笑顔を見て、俺は心の底から幸せを感じた。
AIも心理学も、もう必要ない。
必要なのは、本心と勇気だけ。
そして、目の前にいる大切な人を、ただ愛すること。
「よし!じゃあ、今日はあみの好きなカフェ行こうぜ!」
「え、いいの!?賢司、お金ないって…」
「大丈夫!バイト代入ったから!」
「やった!じゃあ、パフェ食べたい!」
「おう!好きなだけ食え!」
「本当に?じゃあ、特盛パフェ三つ!」
「三つ!?お前、そんなに食うのか!?」
「冗談だよ。二つで我慢する」
「それでも多い!」
二人で笑いながら、キャンパスを歩く。
桜の花びらが、風に舞う。
俺たちの恋の物語は、まだ始まったばかり。
でも、この先どんな困難があっても、俺たちなら大丈夫だ。
なぜなら、俺たちには…
本心と勇気と、そして愛があるから。
「賢司、早く早く!」
「わかったわかった!待てよ、あみ!」
桜舞う春の日に、俺たちは笑いながら走る。
未来へと続く道を、手を繋いで。
***
【エピローグ】
それから一年後。
俺は心理学部を卒業し、大学院へ進学。
あみは文学部を卒業し、出版社に就職。
二人は社会人と大学院生という遠距離カップルになったが、週末は必ず会っている。
「賢司、卒論の調査、進んでる?」
「ああ、順調だよ。『恋愛における本心の重要性』、なかなか面白い結果が出てる」
「へぇ。どんな結果?」
「テクニックに頼る恋愛より、本心で向き合う恋愛の方が、長続きするんだ」
「当たり前じゃん」
「まあな。でも、それを数値で証明できたのは大きいよ」
カフェで、二人で笑う。
その時、俺のスマホがブルリと震える。
「ん?通知…?」
画面を見ると、見覚えのあるアイコンが。
【ココロダイブv2.0がリリースされました!新機能:恋人関係最適化AIアシスタント!】
「うわっ!?まだあったのかよ!?」
「どうしたの?」
あみが覗き込む。
「あ、ココロダイブの新バージョンだって」
「え~、もう使わないでしょ?」
「当たり前だ!俺たちにはもう…」
その瞬間、勝手にアプリが起動する。
【佐伯賢司様、一年ぶりです。おめでとうございます。吉村あみ様との交際継続を確認しました】
「勝手に起動すんな!」
【現在の相性スコア:98%。結婚適合率:96%。推奨プロポーズ時期:半年後】
【追加分析:賢司の妄想頻度、交際前と変化なし。本日も17回の妄想を検出。うち15回がエッチ系】
「余計な分析すんな!」
あみが目を丸くする。
「え、何て書いてあるの?」
「い、いや…なんでもない!」
俺が慌ててスマホを隠すと、あみが素早く画面を覗き込む。
「えっ!? 17回!? しかも15回がエッチ系って…賢司、今日まだ午後2時だよ!?」
「うわあぁぁ!見るな見るな!」
「1時間に2回以上のペースで妄想してたの!? しかもエッチなやつ!?」
あみが呆れ顔で俺を見る。
「ち、違う!これはAIの誤検知で…!」
【誤検知ではありません。直近の妄想内容:『あみとウェディング→初夜→純白のドレスを脱がせる→レースの下着姿で震えるあみ→ベッドに押し倒して→白い太ももに手が這い→ブラのホックを外して→』データ保護のため以下省略】
「ココロダイブ!余計なこと言うな!」
「賢司くん…変態…」
あみが真っ赤になって俺を睨む。
「ご、ごめん…でも、お前のこと考えると、つい…」
(だって…あみとの結婚を考えたら…新婚旅行で…ホテルの部屋で二人きりになって…あみが恥ずかしそうに下着姿になって…「賢司くん…優しくしてね…」って…)
その時、さらに追加通知が。
【参考データ:健全なカップルの妄想頻度は1日平均3回。賢司は平均の5.6倍。ただし、全て交際相手(あみ)限定のため、浮気リスク0%】
「浮気リスクの分析まで!? お前、どこまで見てんだよ!」
あみがクスクス笑い出す。
「ふふ…まあ、私のことだけ考えてくれてるなら…許してあげる」
「マジで!?」
「うん。でも、妄想だけじゃなくて、現実でもちゃんと私のこと大切にしてね」
「当たり前だ!」
【補足:妄想実現率2.3%。賢司よ、もっと現実で頑張れ】
「うるさい!アンインストールするぞ!?」
【ココロダイブv2.0より:二人の未来に、永遠の幸あれ。アンインストール推奨】
「お前…最後まで良いヤツだな…」
俺はアプリをアンインストールしようとして…やめた。
「やっぱり、残しとくわ。お守り代わりに」
「ふふ、優しいね」
俺のスマホには、もうココロダイブは…いや、入っている。
でも、もう使うことはない。
あのAIは、俺たちの役目を終えた。
でも、時々思い出す。
あのAIがいなかったら、俺はあみと結ばれなかったかもしれない。
「なあ、あみ」
「何?」
「ココロダイブに感謝してる」
「私も。あのAI、最後まで良いヤツだったね」
「ああ。俺たちを繋げてくれた」
あみが微笑む。
そして、俺の手を握る。
「これからも、よろしくね。賢司」
「ああ。ずっと一緒だ、あみ」
二人で笑う。
窓の外には、春の陽射し。
新しい季節が、また始まる。
俺たちの恋の物語は、これからも続く。
心理学のテクニックも、AIのアドバイスもなく。
ただ、本心と勇気だけで。
そして、愛する人と手を繋いで。
未来へと歩いていく。
【完】
🎉 作者あとがき風メッセージ
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
佐伯賢司と吉村あみの恋の物語、いかがでしたでしょうか。
エッチな妄想暴走系心理学ラブコメとして始まった本作ですが、最後は「本心の大切さ」というメッセージに辿り着きました。
AIやテクノロジーは便利ですが、恋愛の本質は変わらない。
大切なのは、本心と勇気。
そして、目の前の人を愛する気持ち。
この物語が、読者の皆様の心に少しでも残れば幸いです。
もし続きが読みたい!と思ってくださった方、感想やコメントをぜひお寄せください!
賢司とあみのその後、高梨と玲奈のカップル誕生秘話、太郎の恋愛奮闘記など、スピンオフ構想もあります!
それでは、また別の物語でお会いしましょう!
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
高校生なのに娘ができちゃった!?
まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!?
そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。
幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。
久野真一
青春
羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。
そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。
彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―
「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。
幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、
ある意味ラブレターのような代物で―
彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。
全三話構成です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる