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3章 仲直りはご飯と共に
04 王子様との会食
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「俺様ながら完璧なチョイス」
「………僕は、ジャストフィットサイズの服を用意したキミが怖い」
「はっ、麗しい令嬢のサイズぐらい、おおよそ把握してこその紳士だろ」
「いやむしろ変態というか。どんな特技だよそれ……」
さて、僕は今、この国で一番高級と言われる場所にいる。
いやぁ……うん、凄いね。
東京のビルみたいな高さはないけど、明らかに一般人は来ないよここ。
調度品が凄い、絵も見ただけで何か違うって思える出来。
床は大理石っぽい何かだしで……本当にお金持ち、VIP御用達みたいな場所だ。
そんな場所で食べるものは当然ながら、フルコースであって。
「こちら、食前酒となります」
優雅に一礼したウエイターが去ったあと、僕は頬を引きつらせつつ、
「あの、僕、テーブルマナーとか、そういうのは全然」
「安心しろ。この部屋はプライベートにしたから、お前の所作の悪さは誰も気にしねぇ」
「眼前に王子がいます!」
「今の俺様は冒険者(兼、諸事情により盗賊)だぜ。おあいこってな」
うわー、ズルい。
「で、だ。ここなら多少、個人的な会話も問題はないワケで」
僕は早速、食前酒に手を伸ばす。
こういうの、お酒っていうけど、実際にはそこまでだしね。
サクッと飲んで、ちゃちゃっと料理を……と、口をグラスのふちにつけた瞬間。
「チカ。お前、異世界の人間だよな?」
げほっ! ごほ、ごほ、ごほっ!
喉を通りかけた食前酒で、むせてしまった。
「その反応は、本当っぽいな」
「り、リベールから聞いたんですか!?」
「いや、聞くわけねーだろ。あんな兄上、俺様知らねー!……って、ことにしといてくれ」
あ、本当は仲がいいなこれ。
うーん、ここまで知った情報から、あえて、そうしていた方が都合がいいんだろうな。
実際、マッドサイエンティストもそれで油断していた部分があったわけだし。
「そっか、例の研究に僕の転移が関わっているんだから、わかるよね」
「となると、元の世界に帰る方法を模索中ってわけか」
「うん。ギルマスさんが、リベールと一緒に調査してくれている」
どんなアイテムが必要になるのか。
場合によっては、僕自身も遠征しなければいけないだろう。
そのための軍資金集めも兼ねて、受付嬢(坊ちゃん)をやっているわけだし。
「まっ、この件に関わっている兄上なら、確かに情報は入手しやすいな」
「とりあえず、お金稼がないと!」
「息抜きもやらねーとな。つーわけで、今日は楽しんで食べろよ。ここのはめっちゃ美味いからな!」
そりゃ高級レストランだもん!
美味しくなかったら意味ないというか。
「でもって、こっちでも料理名は超長くてなにがなにやら」
パルマンティエ
アンクルート
ヴァシュラン
ミニャルディーズ
謎の文字が羅列され、なんか高級っぽい雰囲気を演出している。
フルコース料理のメニュー表あるある。
一人納得していると、部屋のドアがノックされた。
ガチャリと開くと、料理を乗せたワゴンと共に、ウェイターが入室してくる。
「こちら、前菜の小魚のエスカベッシュ。フォリタルイカのタルタル。スープのパルマンティエとなります」
わ、わお……
お上品な盛り付けに、物足りない量だ。
スープは、じゃがいも?
ちょっと、ドロッとした感じがするし。
一通りの説明を終え、ウェイターは食前酒のグラスを下げ退出してゆく。
(なんとも、味が薄そうな料理だ……)
とはいえ、せっかくアフェクのおごりなわけだし。
「いただき、ます」
意を決して、ナイフとフォークを手に取る。
小魚をいい感じにカットして、そのまま口に入れたのだが……
「…………」
フォークとナイフを落とさなかった僕を、褒めて欲しい。
やっぱり無味!
高級料理でコレだと、自腹だと絶対に泣きたくなる!
「うん。アスパラガスはシャキシャで、バターの味もしっかりしているぜ」
どこが!?
「小鮎の苦みと酸味も絶妙。これぞ大人の味って感じだな」
どこが!?
「イカのタルタルも、マスタードが良いアクセントを……」
「アフェクは高級舌を持ってるよ、絶対ぃぃ」
「え、最高じゃんか」
「庶民の食べ物、口にしたことないでしょ!?」
「失礼だな!? 盗賊やってる時は、モンスターの肉も食べてるぞ!」
うっそだー!?
絶対に、他の連中に隠れて高級品を食べてるよ、間違いないって!
しばし、僕とアフェクは無言で睨み合う。
「……チカ、ちょっと俺様に聞かせて欲しいんだがよ」
「はい、なんでしょうか」
「白状しろ。元の世界での食生活、そのすべてを」
「………僕は、ジャストフィットサイズの服を用意したキミが怖い」
「はっ、麗しい令嬢のサイズぐらい、おおよそ把握してこその紳士だろ」
「いやむしろ変態というか。どんな特技だよそれ……」
さて、僕は今、この国で一番高級と言われる場所にいる。
いやぁ……うん、凄いね。
東京のビルみたいな高さはないけど、明らかに一般人は来ないよここ。
調度品が凄い、絵も見ただけで何か違うって思える出来。
床は大理石っぽい何かだしで……本当にお金持ち、VIP御用達みたいな場所だ。
そんな場所で食べるものは当然ながら、フルコースであって。
「こちら、食前酒となります」
優雅に一礼したウエイターが去ったあと、僕は頬を引きつらせつつ、
「あの、僕、テーブルマナーとか、そういうのは全然」
「安心しろ。この部屋はプライベートにしたから、お前の所作の悪さは誰も気にしねぇ」
「眼前に王子がいます!」
「今の俺様は冒険者(兼、諸事情により盗賊)だぜ。おあいこってな」
うわー、ズルい。
「で、だ。ここなら多少、個人的な会話も問題はないワケで」
僕は早速、食前酒に手を伸ばす。
こういうの、お酒っていうけど、実際にはそこまでだしね。
サクッと飲んで、ちゃちゃっと料理を……と、口をグラスのふちにつけた瞬間。
「チカ。お前、異世界の人間だよな?」
げほっ! ごほ、ごほ、ごほっ!
喉を通りかけた食前酒で、むせてしまった。
「その反応は、本当っぽいな」
「り、リベールから聞いたんですか!?」
「いや、聞くわけねーだろ。あんな兄上、俺様知らねー!……って、ことにしといてくれ」
あ、本当は仲がいいなこれ。
うーん、ここまで知った情報から、あえて、そうしていた方が都合がいいんだろうな。
実際、マッドサイエンティストもそれで油断していた部分があったわけだし。
「そっか、例の研究に僕の転移が関わっているんだから、わかるよね」
「となると、元の世界に帰る方法を模索中ってわけか」
「うん。ギルマスさんが、リベールと一緒に調査してくれている」
どんなアイテムが必要になるのか。
場合によっては、僕自身も遠征しなければいけないだろう。
そのための軍資金集めも兼ねて、受付嬢(坊ちゃん)をやっているわけだし。
「まっ、この件に関わっている兄上なら、確かに情報は入手しやすいな」
「とりあえず、お金稼がないと!」
「息抜きもやらねーとな。つーわけで、今日は楽しんで食べろよ。ここのはめっちゃ美味いからな!」
そりゃ高級レストランだもん!
美味しくなかったら意味ないというか。
「でもって、こっちでも料理名は超長くてなにがなにやら」
パルマンティエ
アンクルート
ヴァシュラン
ミニャルディーズ
謎の文字が羅列され、なんか高級っぽい雰囲気を演出している。
フルコース料理のメニュー表あるある。
一人納得していると、部屋のドアがノックされた。
ガチャリと開くと、料理を乗せたワゴンと共に、ウェイターが入室してくる。
「こちら、前菜の小魚のエスカベッシュ。フォリタルイカのタルタル。スープのパルマンティエとなります」
わ、わお……
お上品な盛り付けに、物足りない量だ。
スープは、じゃがいも?
ちょっと、ドロッとした感じがするし。
一通りの説明を終え、ウェイターは食前酒のグラスを下げ退出してゆく。
(なんとも、味が薄そうな料理だ……)
とはいえ、せっかくアフェクのおごりなわけだし。
「いただき、ます」
意を決して、ナイフとフォークを手に取る。
小魚をいい感じにカットして、そのまま口に入れたのだが……
「…………」
フォークとナイフを落とさなかった僕を、褒めて欲しい。
やっぱり無味!
高級料理でコレだと、自腹だと絶対に泣きたくなる!
「うん。アスパラガスはシャキシャで、バターの味もしっかりしているぜ」
どこが!?
「小鮎の苦みと酸味も絶妙。これぞ大人の味って感じだな」
どこが!?
「イカのタルタルも、マスタードが良いアクセントを……」
「アフェクは高級舌を持ってるよ、絶対ぃぃ」
「え、最高じゃんか」
「庶民の食べ物、口にしたことないでしょ!?」
「失礼だな!? 盗賊やってる時は、モンスターの肉も食べてるぞ!」
うっそだー!?
絶対に、他の連中に隠れて高級品を食べてるよ、間違いないって!
しばし、僕とアフェクは無言で睨み合う。
「……チカ、ちょっと俺様に聞かせて欲しいんだがよ」
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