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5章 ギルド内攻防戦
外伝 恋愛事情を弟たちにつつかれる兄の図
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「……警戒すると動きがないっつーのは、よくある話だよな」
「えぇ、その通りですね。実に嵐の前の静けさです」
「だよなー……しかし、暇だと何かおもしれーことをしたくなる」
「同意いたします。というわけで、アフェク兄様」
「おう、ディル」
「「リベール兄上(兄様)で、遊ぼうぜ(びましょう)」」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
―――数分後
「……で、なんで用事もないのにオレを呼んだ。チカの護衛をさぼらせて」
不運なおもちゃが、暇を持て余す悪ガキ(※弟たち)の元へやってきた。
「いやー、本日もお日柄がよくってか?」
「アフェク。冗談を言うなら帰るぞ」
「お待ちください兄様。はい、こちら。お好きなシフォンをご用意いたしました」
コトリ、とリベールの前に置かれたのは、シフォンケーキと紅茶。
それを見て、彼はため息を吐く。
「お前らな、オレのご機嫌伺いにとりあえずシフォンはヤメロ」
「おや? お気に召さなかったのですが。せっかく、最近人気のお店で購入してきたのですよ」
「……嫌味だな、それ」
どこの店かを遠回しに提示され、頭を抱えたくなったリベール。
(これは、さっさと本題を話させないと埒があかないな)
紅茶が入ったカップを手に取り、自分の口に運びながら
「で? 話はなんだ」
悪ガキな弟たちへと問いかけた。
すると、2人は意地の悪い笑みを浮かべて言い放つ。
「何もなくて暇だからさ~」
「兄様の恋事情でも、赤裸々に吐かせようかと」
ぶふっ!
他人に対しては品行方正で、常時王子様モードのようにお行儀がよい典型的な彼としては、珍しい光景だった。
「いやー、俺様たち以外ではとんとよい子ちゃんな兄上が、あそこまで独占欲があるとは」
「げほっ、げほっ」
「惜しむべきは、向けられているチカ嬢は『これが普通』認定してしまっていることでしょうか」
「ごほっ、ごほっっ!!」
「あ~、わかる! たぶん、最初期しか見てねーだろ他人行儀という名のお人好しモード」
「~~~~、アフェク!? ディル!」
むせていたリベールが、ようやく調子を取り戻したらしい。
顔を赤くしながら叫んでいるが、迫力は皆無だ。
あと、年長者としての尊厳も吹っ飛んでいる。
「お前たち、まさか今日オレを呼んだのは……」
「臆病でまだ手え出せてないであろう兄上を、いじる……ごほん! アドバイスするため」
「そうです。こんな面白……こほん、兄様の初々しい恋愛は応援したくなります」
「本音漏れてるぞ、お前ら」
頬を引きつらせて、怒りを抑えきれない雰囲気がにじみ出ている。
しかし、そこは慣れた弟たち。
兄のキレるラインは重々承知しているので、さっさと本題を口にした。
「それで? まだチカに告白出来てないんだろ」
「……遊んでいたお前と一緒にするな。物事には順番があるだろ……同性同士なら余計に」
「シンプルに、リベール兄上が恋愛慣れしてねーだけじゃん」
グサリッ、とリベールの胸に見えない刃が突き刺さる。
「まぁ、兄様は第一王子として自由恋愛はほぼ絶望的だったわけですから、そのあたりに疎いのは仕方ありません」
グサグサッ、とさらに追い打ちがかかる。
リベールは立場が立場なせいで、例え王位継承権が兄弟平等とはいえ、他国はそうは思わない。
高い確率での次期国王。
そうでなくても、国の中心に最も近い王族。
これだけで、彼に対する見合いの話は腐るほどあった。
「しかたないだろ……! オレが好きな奴と結婚とか、恋愛とか考えられる立場じゃないんだ!」
「その点は俺様たちも心の底から同情するぜ」
「ですね。私たちはかなり自由にやらせてもらっておりますし」
さすがにこれは本心のようだ。
これまでの、リベールで遊んでやろう、という雰囲気は一切ない。
むしろ同情の気配すらあった。
「なぁ、リベール兄上。さっさと告白した方がいいって」
「そうですね。チカ嬢が元の世界に戻る前に引き留めないと、一生会えない可能性すらあります」
「……」
2人の言葉に、リベールは沈黙する。
「まだ、オレ自身も心の整理ができてないんだ」
「気持ちはわからんでもねーけどよ、いつかはチカも、元の世界に帰るんだろ」
「……それは間違いない。本人も、宣言していたし」
月明かりの夜に聞いた、チカの決意。
逃げないために、1度戻ると決めた彼の顔を思い出し、リベールは眉を顰める。
「帰って欲しくはない、というのが、今は精一杯だった」
「そこはさぁ『お前が好きだから、この世界に残って欲しい!』とか」
「……『愛している。ずっとオレの傍にいてくれ』とか、典型文でもよいのではないでしょうか」
「他人事だと思ってホントお前ら……ッ」
はぁ、と疲れがにじみ出た吐息を吐き、リベールは天を仰ぐ
「むっずかしーな、恋愛って。王族として振る舞う方が楽だとは、思わなかったよ」
「えぇ、その通りですね。実に嵐の前の静けさです」
「だよなー……しかし、暇だと何かおもしれーことをしたくなる」
「同意いたします。というわけで、アフェク兄様」
「おう、ディル」
「「リベール兄上(兄様)で、遊ぼうぜ(びましょう)」」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
―――数分後
「……で、なんで用事もないのにオレを呼んだ。チカの護衛をさぼらせて」
不運なおもちゃが、暇を持て余す悪ガキ(※弟たち)の元へやってきた。
「いやー、本日もお日柄がよくってか?」
「アフェク。冗談を言うなら帰るぞ」
「お待ちください兄様。はい、こちら。お好きなシフォンをご用意いたしました」
コトリ、とリベールの前に置かれたのは、シフォンケーキと紅茶。
それを見て、彼はため息を吐く。
「お前らな、オレのご機嫌伺いにとりあえずシフォンはヤメロ」
「おや? お気に召さなかったのですが。せっかく、最近人気のお店で購入してきたのですよ」
「……嫌味だな、それ」
どこの店かを遠回しに提示され、頭を抱えたくなったリベール。
(これは、さっさと本題を話させないと埒があかないな)
紅茶が入ったカップを手に取り、自分の口に運びながら
「で? 話はなんだ」
悪ガキな弟たちへと問いかけた。
すると、2人は意地の悪い笑みを浮かべて言い放つ。
「何もなくて暇だからさ~」
「兄様の恋事情でも、赤裸々に吐かせようかと」
ぶふっ!
他人に対しては品行方正で、常時王子様モードのようにお行儀がよい典型的な彼としては、珍しい光景だった。
「いやー、俺様たち以外ではとんとよい子ちゃんな兄上が、あそこまで独占欲があるとは」
「げほっ、げほっ」
「惜しむべきは、向けられているチカ嬢は『これが普通』認定してしまっていることでしょうか」
「ごほっ、ごほっっ!!」
「あ~、わかる! たぶん、最初期しか見てねーだろ他人行儀という名のお人好しモード」
「~~~~、アフェク!? ディル!」
むせていたリベールが、ようやく調子を取り戻したらしい。
顔を赤くしながら叫んでいるが、迫力は皆無だ。
あと、年長者としての尊厳も吹っ飛んでいる。
「お前たち、まさか今日オレを呼んだのは……」
「臆病でまだ手え出せてないであろう兄上を、いじる……ごほん! アドバイスするため」
「そうです。こんな面白……こほん、兄様の初々しい恋愛は応援したくなります」
「本音漏れてるぞ、お前ら」
頬を引きつらせて、怒りを抑えきれない雰囲気がにじみ出ている。
しかし、そこは慣れた弟たち。
兄のキレるラインは重々承知しているので、さっさと本題を口にした。
「それで? まだチカに告白出来てないんだろ」
「……遊んでいたお前と一緒にするな。物事には順番があるだろ……同性同士なら余計に」
「シンプルに、リベール兄上が恋愛慣れしてねーだけじゃん」
グサリッ、とリベールの胸に見えない刃が突き刺さる。
「まぁ、兄様は第一王子として自由恋愛はほぼ絶望的だったわけですから、そのあたりに疎いのは仕方ありません」
グサグサッ、とさらに追い打ちがかかる。
リベールは立場が立場なせいで、例え王位継承権が兄弟平等とはいえ、他国はそうは思わない。
高い確率での次期国王。
そうでなくても、国の中心に最も近い王族。
これだけで、彼に対する見合いの話は腐るほどあった。
「しかたないだろ……! オレが好きな奴と結婚とか、恋愛とか考えられる立場じゃないんだ!」
「その点は俺様たちも心の底から同情するぜ」
「ですね。私たちはかなり自由にやらせてもらっておりますし」
さすがにこれは本心のようだ。
これまでの、リベールで遊んでやろう、という雰囲気は一切ない。
むしろ同情の気配すらあった。
「なぁ、リベール兄上。さっさと告白した方がいいって」
「そうですね。チカ嬢が元の世界に戻る前に引き留めないと、一生会えない可能性すらあります」
「……」
2人の言葉に、リベールは沈黙する。
「まだ、オレ自身も心の整理ができてないんだ」
「気持ちはわからんでもねーけどよ、いつかはチカも、元の世界に帰るんだろ」
「……それは間違いない。本人も、宣言していたし」
月明かりの夜に聞いた、チカの決意。
逃げないために、1度戻ると決めた彼の顔を思い出し、リベールは眉を顰める。
「帰って欲しくはない、というのが、今は精一杯だった」
「そこはさぁ『お前が好きだから、この世界に残って欲しい!』とか」
「……『愛している。ずっとオレの傍にいてくれ』とか、典型文でもよいのではないでしょうか」
「他人事だと思ってホントお前ら……ッ」
はぁ、と疲れがにじみ出た吐息を吐き、リベールは天を仰ぐ
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