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8話
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ホールは逃げ惑う人とその人達を襲う人
逃げようとする人々達は入り口に密集しているがおいそれと出す訳には行かず、避難が難航していた。
襲われている人は首筋や腕を食い千切られて血を流していた。
その光景はまさに地獄絵図。
「なんでここに奴等が?」
アレンは思わずそう呟いた。
腰に手を遣るも夜会の為、いつも身に付けている剣はそこにはなかった。
思わず舌打ちを溢す。
グレイシアは周りを見渡して、陛下と王妃と王太子は父と母の近くに居るのを目に留めてほっと息を吐いた。
「アレン様、銃はお使いになります?」
「…え?い、いや、基本は剣のみだ」
「それでは心許ないでしょうが、こちらをお使い下さい」
そう言ってグレイシアはスリット部分を開けてナイフを一本取り出してそれをアレンに渡した。
「なんでナイフを…」
「そのお話は後でいたしましょう」
グレイシアはホールに走りながらナイフを両手に構えて手近に居るゾンビに斬りかかる。
剣とは違い短いナイフだからこそ確実に頭のみを斬りつける。
後ろから来たゾンビには回し蹴りをして倒れたところを片足で頭を押さえてもう片方の足で肩を反対方向に押す。
ゴキンッと大きな音が鳴り、頸椎が折れるのがわかった。
そのまま動かなくなるゾンビ。
襲われそうな人が少し遠くに見えて手に持っていたナイフをスッと投げるとゾンビの頭に刺さってそのまま倒れる。
「キリがないですわね」
またスリットを開いて両腿のホルダーに収まっている小銃を左右それぞれ持ち動き回るゾンビ達を撃ちまくる。
バンバン撃っているが遊びの弾はなく、確実にゾンビの頭を狙い撃つ。
最後の弾を撃ち終えた時、辺りはシンっと静まりかえった。
空の薬莢がカランと床を鳴らした。
「これで終わりかしら?」
王達を守っていた父と母もゾンビをなぎ倒していたがほとんどはグレイシアが倒した。
貴族達は自分が助かったことにホッとしながらもグレイシアの先程の闘いを見て頼もしいやら情けないやらで複雑な表情をしている。
アレンはグレイシアのその姿を見て呆けていた。
勿論、自分に近付いてきたゾンビはグレイシアから渡されたナイフで倒してはいたがグレイシアの見事な闘いっぷりはしっかりと目に焼き付けていた。
-アレンSide-
ホールで突如起こった喧騒にいち早く行動を起こしたグレイシア。
ドレスにスリットがあったのも驚いたが、そのスリット部分を開いて太もものホルダーからナイフを渡してきた。
その時に小銃があるのも確認出来た。
何故、令嬢が夜会で武器の所持をしているのか?
それを聞く暇もなく、グレイシアは駆けて行った。
思ったよりも多いゾンビの数だった。
グレイシアに駆け寄ろうとすれば襲って来るゾンビ。
いつもの剣とは違い、リーチが短いナイフは的確に急所を狙わねばならない。
粗方片付いたところでグレイシアを見遣ると、グレイシアの後ろからゾンビが襲ってくるところだった。
間に合わない、そう思ったのも束の間でグレイシアは後ろを見る事もなく目の前のゾンビの頭を刺した後そのまま回し蹴りをしてナイフも使う事なく、頸椎を折りゾンビを動けないようにした。
「これはすごいな…」
口から出たのは純粋な賞賛だった。
貴族令嬢がこんな芸当を出来るだなんて思ってもみなかったのだ。
そして、グレイシアが辺境の地に行く事に何の問題もないと言っていた事の意味が漸く分かった。
グレイシアは守られるつもりはないんだな。
普通の貴族令息であれば忌避するような事かもしれないが、俺にとってはまさにうってつけの令嬢だ。
最初は令嬢達に立ち向かうその姿勢が凛としていて容姿も相まって美しく、見惚れた。
だが、今は血飛沫を浴びながらも華麗に舞うその姿に何よりも美しく思う。
中央の貴族令息達は勿体無い事をしている。
こんなに強くて美しい令嬢は他にいないというのに。
その後も小銃を使っているグレイシアから目が離せなかった。
逃げようとする人々達は入り口に密集しているがおいそれと出す訳には行かず、避難が難航していた。
襲われている人は首筋や腕を食い千切られて血を流していた。
その光景はまさに地獄絵図。
「なんでここに奴等が?」
アレンは思わずそう呟いた。
腰に手を遣るも夜会の為、いつも身に付けている剣はそこにはなかった。
思わず舌打ちを溢す。
グレイシアは周りを見渡して、陛下と王妃と王太子は父と母の近くに居るのを目に留めてほっと息を吐いた。
「アレン様、銃はお使いになります?」
「…え?い、いや、基本は剣のみだ」
「それでは心許ないでしょうが、こちらをお使い下さい」
そう言ってグレイシアはスリット部分を開けてナイフを一本取り出してそれをアレンに渡した。
「なんでナイフを…」
「そのお話は後でいたしましょう」
グレイシアはホールに走りながらナイフを両手に構えて手近に居るゾンビに斬りかかる。
剣とは違い短いナイフだからこそ確実に頭のみを斬りつける。
後ろから来たゾンビには回し蹴りをして倒れたところを片足で頭を押さえてもう片方の足で肩を反対方向に押す。
ゴキンッと大きな音が鳴り、頸椎が折れるのがわかった。
そのまま動かなくなるゾンビ。
襲われそうな人が少し遠くに見えて手に持っていたナイフをスッと投げるとゾンビの頭に刺さってそのまま倒れる。
「キリがないですわね」
またスリットを開いて両腿のホルダーに収まっている小銃を左右それぞれ持ち動き回るゾンビ達を撃ちまくる。
バンバン撃っているが遊びの弾はなく、確実にゾンビの頭を狙い撃つ。
最後の弾を撃ち終えた時、辺りはシンっと静まりかえった。
空の薬莢がカランと床を鳴らした。
「これで終わりかしら?」
王達を守っていた父と母もゾンビをなぎ倒していたがほとんどはグレイシアが倒した。
貴族達は自分が助かったことにホッとしながらもグレイシアの先程の闘いを見て頼もしいやら情けないやらで複雑な表情をしている。
アレンはグレイシアのその姿を見て呆けていた。
勿論、自分に近付いてきたゾンビはグレイシアから渡されたナイフで倒してはいたがグレイシアの見事な闘いっぷりはしっかりと目に焼き付けていた。
-アレンSide-
ホールで突如起こった喧騒にいち早く行動を起こしたグレイシア。
ドレスにスリットがあったのも驚いたが、そのスリット部分を開いて太もものホルダーからナイフを渡してきた。
その時に小銃があるのも確認出来た。
何故、令嬢が夜会で武器の所持をしているのか?
それを聞く暇もなく、グレイシアは駆けて行った。
思ったよりも多いゾンビの数だった。
グレイシアに駆け寄ろうとすれば襲って来るゾンビ。
いつもの剣とは違い、リーチが短いナイフは的確に急所を狙わねばならない。
粗方片付いたところでグレイシアを見遣ると、グレイシアの後ろからゾンビが襲ってくるところだった。
間に合わない、そう思ったのも束の間でグレイシアは後ろを見る事もなく目の前のゾンビの頭を刺した後そのまま回し蹴りをしてナイフも使う事なく、頸椎を折りゾンビを動けないようにした。
「これはすごいな…」
口から出たのは純粋な賞賛だった。
貴族令嬢がこんな芸当を出来るだなんて思ってもみなかったのだ。
そして、グレイシアが辺境の地に行く事に何の問題もないと言っていた事の意味が漸く分かった。
グレイシアは守られるつもりはないんだな。
普通の貴族令息であれば忌避するような事かもしれないが、俺にとってはまさにうってつけの令嬢だ。
最初は令嬢達に立ち向かうその姿勢が凛としていて容姿も相まって美しく、見惚れた。
だが、今は血飛沫を浴びながらも華麗に舞うその姿に何よりも美しく思う。
中央の貴族令息達は勿体無い事をしている。
こんなに強くて美しい令嬢は他にいないというのに。
その後も小銃を使っているグレイシアから目が離せなかった。
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