6 / 9
6 丑の守
しおりを挟む
亜麻色の長い髪に頬を擽られて目を覚ました五百枝は、ひと伸びして慣れ親しんだ寝床を抜け出した。
いつもと違うのは、猫のくせにずっと主に忠実に付き従ってきた精霊と同化している点と、昨夜出会ったばかりの女が心地よさそうに尾長天竺鼠を抱きしめ、己の布団に寝ていることだ。
(無用心ってか、俺が猫になると思って舐めてるな)
由良は檜皮として布団の隅を少しばかり借りたつもりだろうが、昼前には女に戻る。ずっと出ずっぱりで疲労が貯まっていたのだから致し方無いし、入れ違いで鼠と猫になると互いに油断していたのも否めない。
だが、ここまで無防備に寛がれ、尚且つ、また生成の中に入れられれば、どうしようもない苛立ちが湧いてくる。
「由良! 俺の布団だ、少しは遠慮しろ!」
五百枝は人形《ひとがた》に戻った由良に、猫パンチを何発も叩き込んだ。
「ううん、やめて。くすぐったい」
「早く起きやがれ!」
さらにドスを聞かせた声を上げれば、やっと由良は寝ぼけ眼を擦りはじめた。
「生成じゃなくて、五百枝か。おはよう。寝坊したかな? ごめんね」
「さっさと支度しろ。店が忙しくなる前に、丑の守に会いに行くぞ」
「五百枝は本当に、他者への気遣いが細やかだよね」
善い人扱いされ、五百枝は目を丸くして閉口した。なんとも調子が狂う女だ。
由良が檜皮と出掛ける支度をすると言うので、五百枝は土間に行き、香箱座りで待機した。
(なんで俺がこんな目に……)
三毛猫の背中から、哀愁が立ち昇っている。
『そこで結んで、余った帯の端を突っ込んじゃえば様になるよ』
「これでいいかな?」
甲斐甲斐しく檜皮が由良の支度を手助けし、なんとか着付けられたのを察した。
(子の精霊檜皮か……。いつからニニギと通じていた? 何を企んでいる?)
種族を代表し精霊となって十二支を務める檜皮が、由良に傅いているのには裏があるからではないかと考えていたが、聞こえてくる呑気な声に毒気を抜かれる。
「和装って背筋が伸びるし、心も引き締まっていいかも」
『由良、とっても似合ってるよ~。五百枝も贈り物のセンスがあるね~』
大層あざとい鼠だと訝しんで一瞥するも、はしゃぎながら庭に出てきた子の守とその精霊は、長い時を孤独の中で過ごしてきた五百枝の心に、こそばゆさを与えてきた。
「お待たせ五百枝。着物は成人式以来で――」
――眠っているうちに隠に来たのなら、着ている濃紺の変わった着物は寝間着なのだろう。人形になれば草履も必要になる――
そう考えて着物を買ったのだが、丈も合っていたし、やはり帯には慣れていないようで、今の隠の流行りではないが、結びやすい細帯を選んで良かったと胸を撫で下ろす。
「こんなにも素敵な品を、本当にありがとう……」
「目立って面倒だから買ったまでだ」
そう。単純にこれ以上の面倒事を起こしたくないから、必要な措置をとっただけ。
だから、手近で目についたその柄を指差した。――だけのはずなのに、微かに揺れる桜文が、ツキンと頭の奥を突き刺す。
春は……桜は嫌いだ……。五百年前、本当の名前をニニギに奪われた季節だったから――
二人で人形をとることに決め、忙しくなる前にと訪ねた『すなっく和美』の中には、デデンと店内に黒毛の牛が鎮座していた。
「ンモーーーー!『いらっしゃーい。まあ、干支守仲間ねー。ゆっくりしてってー』」
鳴き声のンモーは誰にでも聞こえるだろうが、いらっしゃい以降の言葉は、精霊を伴う者にしか理解できない。
しかし、こんなにも愛想良く看板牛に出迎えられたなら、全て分からずとも、誰もがこの『すなっく』に通いつめたくなるだろう。
「そりゃ、有名店になる」
「牛って、すごく優しい瞳をしてるんだね。可愛い」
穏やかな眼差しで『お上手ね。私、墨っていうの』と名乗った丑の精霊と互いに挨拶を交わしていると、店の奥からとびきり明るい声がした。
「ちょいと、まだ開店前だよ! 随分せっかちなお客さんだねぇ。今日だけは特別だよ?」
和牛と言うより、華やかさと人懐こさのあるジャージー牛といった雰囲気の女が、しゃもじを握ったまま顔を出す。
年齢はかさねても、愛嬌ある魅力的な容姿と懐の深さで、隠の地で店を繁盛させていたのが、現丑の守の和美だ。
「あんたが今の丑の守か?」
「ああ、なんかそうらしいけど、この商売が楽しくて、そっちはさっぱりなんだけどね」
「私たち、和美さんと墨さんにお会いするために来たんです」
「そうかい。なら、ちょっとだけ待ってておくれよ」
落ち着くのを待っていると、仕込みを一段落させた和美が、四角い卓を拭きながら応じる。
「それで、どうしたんだい?」
「干支守の儀式を近い内にするから、そん時は顔を出して欲しいって話だ。連絡があった時は、協力してくれないか?」
今度は大皿に盛ったお番菜を次々と並べる和美を見て、由良は「私も運びます」と手伝いを申し出た。
看板にはスナックとあるが、家庭料理を味わいながら一杯できる店で、由良は益々興味を惹かれる。
「ありがとう、お嬢さん。協力するのは勿論構わないよ。随分と暇な役目を与えられたのに、ただお給金をもらうのは悪いと思っていたからね」
「えっ!? 干支守って、お給料がでるの?」
「おや? お嬢さんは子の干支守だよね? 最近こっちに来たのかい?」
「はい。実は昨日、隠に来たばかりで……」
「そうかい、そうかい。平成からここに来たなら、きっと驚いただろう?」
開店準備を終え、やっと小上がりになった畳の上に腰を下ろした和美に、平成の次の令和から来たと伝えると、大きな瞳をパチクリとさせて驚き、それからはおおいに話が弾んだ。
「生きたままここに連れて来られるなんて、よっぽどワケアリなんだね」
「大丈夫ですよ。こうして親切にしてくれる五百枝や和美さんともお会いできましたし、なんとかやれそうです」
「そうかい、そうかい。由良ちゃんとはまだまだ話し足りないねぇ。そうだ。寅の守もたまに店に来るから、あたしからもこの話はしとくよ」
二、三日中には寅の守に会うだろうから、明々後日にでもまたおいでと言った和美だったが、何かを思い出して表情を曇らせた。
「実はね、ここ最近、盗みが増えてるらしくて、ちょっとばかし物騒なんだよ」
「心配しなくて良い。由良は俺が何とでもする」
「アハハハッ。イケメンのボディーガード付かい。なら安心だ。さあ、これを持って行きな。由良ちゃんのパワーストーンも、大切にしっかり持っとくよ」
あたしは簪で纏めるのに慣れたから、そう言って和美は由良に黒いヘアゴムを渡した。
「ありがとう、和美さん。寝ているうちに隠に来たから、何も持っていなくて……。髪を結べるのは助かります。私も大切に使いますね」
「じゃ、明々後日また来る」
墨の頬をトントンと叩いて別れの挨拶をし、客が入り始めた『すなっく和美』をあとにした。
夜の紅蛍に出て、何故ここが紅蛍と名付けられたのか由良は理解した。
細長くて紅い漆塗りの灯籠に灯された明かりが、まるで蛍の短い命のように、儚げに、妖しげに、隠の繁華街の夜を照らしていたのだ。
「幻想的なんだけれど、この辺はまだちょっと緊張する」
やはり大通りを外れれば蛍の光も届かず、そちらの方からは、立君が男を誘う声も聞こえてくる。
『由良には僕がついてるよ~。さっきは僕が墨と話してるうちに、五百枝がかっこつけてたみたいだけどさ~』
『小娘ごときに五百枝様の力を使うまでもない』
生成は由良に厳しい。どうしてそんなに毛嫌いするのか、負けじと由良は生成に直球で聞いてみたのだが、鼻で笑われ答えは返ってこなかった。
「生成はそもそもそういう性格だ。それに、馴れ馴れしすぎる檜皮もどうかと思うが。兎に角、俺や檜皮から絶対離れるなよ。人じゃないモノも混ざったりするからな」
『危険なのは、あやかしとか妖怪って呼ばれるモノの中でも、質の悪いのが入ってしまった時だよ。でも、大抵は楽しむために隠に来ているから、悪さはしないんだ』
五百枝と生成と話しをしながら、商店街の方まで戻って来た。紅蛍に反して、こちらは店が閉められ賑わいも去っている。
「お前がボサボサしてるから盗られたんだぞ!」
「いいえ。あなたが浮かれていたのが悪い。私のせいにするのはお門違いだ!」
人通りの少ない大通りで、若い男二人がギャーギャーと言い争っていた。近づくにつれ、十代とおぼしき青年が、今にも取っ組み合いの喧嘩をおっ始めようとしていて、大変目立つ。
「祝いの金を失くすなんて、志津摩の間抜けにもほどがある!」
「だから、盗まれたって言ってんだろ! 織部だって、最近盗みが多いって聞いてただろ?」
避けて通り過ぎるぞと五百枝に目配され、素通りしようとしたが、和美から盗っ人の話を聞いたばかりの由良は、二人が気になった――
「五百枝、あれって――」
青年たちの足元で、互いに睨みを効かせる猿と犬が見える。
「……。猿と犬の精霊だな……」
諦めた五百枝がウンザリしながらも、二人に声をかけた。
いつもと違うのは、猫のくせにずっと主に忠実に付き従ってきた精霊と同化している点と、昨夜出会ったばかりの女が心地よさそうに尾長天竺鼠を抱きしめ、己の布団に寝ていることだ。
(無用心ってか、俺が猫になると思って舐めてるな)
由良は檜皮として布団の隅を少しばかり借りたつもりだろうが、昼前には女に戻る。ずっと出ずっぱりで疲労が貯まっていたのだから致し方無いし、入れ違いで鼠と猫になると互いに油断していたのも否めない。
だが、ここまで無防備に寛がれ、尚且つ、また生成の中に入れられれば、どうしようもない苛立ちが湧いてくる。
「由良! 俺の布団だ、少しは遠慮しろ!」
五百枝は人形《ひとがた》に戻った由良に、猫パンチを何発も叩き込んだ。
「ううん、やめて。くすぐったい」
「早く起きやがれ!」
さらにドスを聞かせた声を上げれば、やっと由良は寝ぼけ眼を擦りはじめた。
「生成じゃなくて、五百枝か。おはよう。寝坊したかな? ごめんね」
「さっさと支度しろ。店が忙しくなる前に、丑の守に会いに行くぞ」
「五百枝は本当に、他者への気遣いが細やかだよね」
善い人扱いされ、五百枝は目を丸くして閉口した。なんとも調子が狂う女だ。
由良が檜皮と出掛ける支度をすると言うので、五百枝は土間に行き、香箱座りで待機した。
(なんで俺がこんな目に……)
三毛猫の背中から、哀愁が立ち昇っている。
『そこで結んで、余った帯の端を突っ込んじゃえば様になるよ』
「これでいいかな?」
甲斐甲斐しく檜皮が由良の支度を手助けし、なんとか着付けられたのを察した。
(子の精霊檜皮か……。いつからニニギと通じていた? 何を企んでいる?)
種族を代表し精霊となって十二支を務める檜皮が、由良に傅いているのには裏があるからではないかと考えていたが、聞こえてくる呑気な声に毒気を抜かれる。
「和装って背筋が伸びるし、心も引き締まっていいかも」
『由良、とっても似合ってるよ~。五百枝も贈り物のセンスがあるね~』
大層あざとい鼠だと訝しんで一瞥するも、はしゃぎながら庭に出てきた子の守とその精霊は、長い時を孤独の中で過ごしてきた五百枝の心に、こそばゆさを与えてきた。
「お待たせ五百枝。着物は成人式以来で――」
――眠っているうちに隠に来たのなら、着ている濃紺の変わった着物は寝間着なのだろう。人形になれば草履も必要になる――
そう考えて着物を買ったのだが、丈も合っていたし、やはり帯には慣れていないようで、今の隠の流行りではないが、結びやすい細帯を選んで良かったと胸を撫で下ろす。
「こんなにも素敵な品を、本当にありがとう……」
「目立って面倒だから買ったまでだ」
そう。単純にこれ以上の面倒事を起こしたくないから、必要な措置をとっただけ。
だから、手近で目についたその柄を指差した。――だけのはずなのに、微かに揺れる桜文が、ツキンと頭の奥を突き刺す。
春は……桜は嫌いだ……。五百年前、本当の名前をニニギに奪われた季節だったから――
二人で人形をとることに決め、忙しくなる前にと訪ねた『すなっく和美』の中には、デデンと店内に黒毛の牛が鎮座していた。
「ンモーーーー!『いらっしゃーい。まあ、干支守仲間ねー。ゆっくりしてってー』」
鳴き声のンモーは誰にでも聞こえるだろうが、いらっしゃい以降の言葉は、精霊を伴う者にしか理解できない。
しかし、こんなにも愛想良く看板牛に出迎えられたなら、全て分からずとも、誰もがこの『すなっく』に通いつめたくなるだろう。
「そりゃ、有名店になる」
「牛って、すごく優しい瞳をしてるんだね。可愛い」
穏やかな眼差しで『お上手ね。私、墨っていうの』と名乗った丑の精霊と互いに挨拶を交わしていると、店の奥からとびきり明るい声がした。
「ちょいと、まだ開店前だよ! 随分せっかちなお客さんだねぇ。今日だけは特別だよ?」
和牛と言うより、華やかさと人懐こさのあるジャージー牛といった雰囲気の女が、しゃもじを握ったまま顔を出す。
年齢はかさねても、愛嬌ある魅力的な容姿と懐の深さで、隠の地で店を繁盛させていたのが、現丑の守の和美だ。
「あんたが今の丑の守か?」
「ああ、なんかそうらしいけど、この商売が楽しくて、そっちはさっぱりなんだけどね」
「私たち、和美さんと墨さんにお会いするために来たんです」
「そうかい。なら、ちょっとだけ待ってておくれよ」
落ち着くのを待っていると、仕込みを一段落させた和美が、四角い卓を拭きながら応じる。
「それで、どうしたんだい?」
「干支守の儀式を近い内にするから、そん時は顔を出して欲しいって話だ。連絡があった時は、協力してくれないか?」
今度は大皿に盛ったお番菜を次々と並べる和美を見て、由良は「私も運びます」と手伝いを申し出た。
看板にはスナックとあるが、家庭料理を味わいながら一杯できる店で、由良は益々興味を惹かれる。
「ありがとう、お嬢さん。協力するのは勿論構わないよ。随分と暇な役目を与えられたのに、ただお給金をもらうのは悪いと思っていたからね」
「えっ!? 干支守って、お給料がでるの?」
「おや? お嬢さんは子の干支守だよね? 最近こっちに来たのかい?」
「はい。実は昨日、隠に来たばかりで……」
「そうかい、そうかい。平成からここに来たなら、きっと驚いただろう?」
開店準備を終え、やっと小上がりになった畳の上に腰を下ろした和美に、平成の次の令和から来たと伝えると、大きな瞳をパチクリとさせて驚き、それからはおおいに話が弾んだ。
「生きたままここに連れて来られるなんて、よっぽどワケアリなんだね」
「大丈夫ですよ。こうして親切にしてくれる五百枝や和美さんともお会いできましたし、なんとかやれそうです」
「そうかい、そうかい。由良ちゃんとはまだまだ話し足りないねぇ。そうだ。寅の守もたまに店に来るから、あたしからもこの話はしとくよ」
二、三日中には寅の守に会うだろうから、明々後日にでもまたおいでと言った和美だったが、何かを思い出して表情を曇らせた。
「実はね、ここ最近、盗みが増えてるらしくて、ちょっとばかし物騒なんだよ」
「心配しなくて良い。由良は俺が何とでもする」
「アハハハッ。イケメンのボディーガード付かい。なら安心だ。さあ、これを持って行きな。由良ちゃんのパワーストーンも、大切にしっかり持っとくよ」
あたしは簪で纏めるのに慣れたから、そう言って和美は由良に黒いヘアゴムを渡した。
「ありがとう、和美さん。寝ているうちに隠に来たから、何も持っていなくて……。髪を結べるのは助かります。私も大切に使いますね」
「じゃ、明々後日また来る」
墨の頬をトントンと叩いて別れの挨拶をし、客が入り始めた『すなっく和美』をあとにした。
夜の紅蛍に出て、何故ここが紅蛍と名付けられたのか由良は理解した。
細長くて紅い漆塗りの灯籠に灯された明かりが、まるで蛍の短い命のように、儚げに、妖しげに、隠の繁華街の夜を照らしていたのだ。
「幻想的なんだけれど、この辺はまだちょっと緊張する」
やはり大通りを外れれば蛍の光も届かず、そちらの方からは、立君が男を誘う声も聞こえてくる。
『由良には僕がついてるよ~。さっきは僕が墨と話してるうちに、五百枝がかっこつけてたみたいだけどさ~』
『小娘ごときに五百枝様の力を使うまでもない』
生成は由良に厳しい。どうしてそんなに毛嫌いするのか、負けじと由良は生成に直球で聞いてみたのだが、鼻で笑われ答えは返ってこなかった。
「生成はそもそもそういう性格だ。それに、馴れ馴れしすぎる檜皮もどうかと思うが。兎に角、俺や檜皮から絶対離れるなよ。人じゃないモノも混ざったりするからな」
『危険なのは、あやかしとか妖怪って呼ばれるモノの中でも、質の悪いのが入ってしまった時だよ。でも、大抵は楽しむために隠に来ているから、悪さはしないんだ』
五百枝と生成と話しをしながら、商店街の方まで戻って来た。紅蛍に反して、こちらは店が閉められ賑わいも去っている。
「お前がボサボサしてるから盗られたんだぞ!」
「いいえ。あなたが浮かれていたのが悪い。私のせいにするのはお門違いだ!」
人通りの少ない大通りで、若い男二人がギャーギャーと言い争っていた。近づくにつれ、十代とおぼしき青年が、今にも取っ組み合いの喧嘩をおっ始めようとしていて、大変目立つ。
「祝いの金を失くすなんて、志津摩の間抜けにもほどがある!」
「だから、盗まれたって言ってんだろ! 織部だって、最近盗みが多いって聞いてただろ?」
避けて通り過ぎるぞと五百枝に目配され、素通りしようとしたが、和美から盗っ人の話を聞いたばかりの由良は、二人が気になった――
「五百枝、あれって――」
青年たちの足元で、互いに睨みを効かせる猿と犬が見える。
「……。猿と犬の精霊だな……」
諦めた五百枝がウンザリしながらも、二人に声をかけた。
0
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる