[完結]女番長だった私は、令嬢に生まれ変わっても、ムカつく奴らを論破して、やられたらやり返します!

風見鳥

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1話 異世界転生

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「ちょっとやり過ぎたかしら?」

 私は軽くため息をつくと、肩についた埃を手で払った。足元には金属バットを持った男や、ゴリゴリのマッチョが白目を剥いて倒れている。

 あれは数分前の事だ……痴漢をされたと叫んだ女子2人が、路地裏に連れていかれるのを見てしまった。それで後を追いかけて、乱闘に発展して今に至る。

「助けていただきありがとうございました!」

「このご恩は一生忘れません!」

 黒髪ロングのいかにも清楚な女子2人が私にお礼を述べる。思わず守ってあげたくなる様な可愛らしさに胸がときめく。それとは対照的に傷だらけの自分の姿を見ると、またため息が出る。

(どうして私はいつも……)

 百戦錬磨の戦う女と言われ、うざい奴らは蹴散らしてきた。気がついたら不良の女ボスまで上りつめていたが、正直そんな事はどうでもいい……

「この辺は治安が悪いから気をつけるのよ」

 清楚な女子たちは何度も頭を下げてお礼を言うと去って行った。

「はぁ……制服にも穴が空いちゃったな……なんて説明しようかな……」

 路地裏を出て夜道を進むと信号に引っかかった。青になるまで車の流れをぼんやりと眺めていると、1匹の白猫が道路に飛び出した。

「あっ、危ない!」

 気がつくと私も道路に飛び出して猫を抱き抱えていた。そこにトラックが突っ込んでくる。これはやばい!

(せめて猫だけでも!)

 全力で投げ飛ばした時、ふと猫と目が合った。その瞳は金色と青色のオッドアイをしている。

「綺麗……」

 それが最後にこぼした言葉だった。私の体は鉄の塊に吹き飛ばされて宙に舞う。そして生暖かい血が広がった。指先の感覚が無くなって今度は寒くなってくる……

(嘘でしょ?……私死ぬの?)

 しばらくすると遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた。でもそれ以上に耳鳴りが煩い。なんだが意識が朦朧としてきた……

(はぁ……私の夢……叶わなかったなぁ……)

 ヨーロッパみたいな貴族が居そうな世界に行って、大きなお屋敷に住んでドレスを着る。そして素敵な王子様と結婚する。とても人に言えないけど、それが私の夢だった。



──お嬢様……どうかお目覚め下さい! お嬢様!

 ふと、耳元で知らない人の声が聞こえてくる。お嬢様? 何を言っているの?

──お嬢様? よかった……意識はある様ですね。私の事が見えますか?

 さっきから一体何を言っているの? いよいよ頭がおかしくなったのかな?

──お嬢様! 返事をして下さい!

 誰かが私の体を大きく揺らす。こっちは死にかけてるのよ? さっきから誰なのよ!

──お嬢様!

「そんなに大声を出さなくても聞こえているわよ!」

 無理やり体を起こすと、メイド服を着た若い女性が突っ立っていた。えっ……なに? コスプレ?

「お嬢様! よかった……お嬢様がお目覚めになられました!」

 メイドらしき人は泣きながら部屋を出て誰かを呼びに行ってしまった。

「なっ……なんなのよこれ……」

 1人取り残された私はベットから降りて周辺を探索してみた。足元には高そうな絨毯が敷いてあって、壁には絵が飾ってある。そしてクローゼットの中に大量のドレスが入っていた。まさかここは!?

 窓を開けると中世ヨーロッパの様な建物がずらりと広がっていた。ドレスを着ている女性や鎧を纏った兵士もいる。これは間違いない!

「私の望む世界が、今目の前にある!」

 感動のあまり思わず涙が溢れ出る。ここは私が夢にまで描いた世界だ! 貴族やお姫様がいそうな中世ヨーロッパの雰囲気が漂っている。

 ふと鏡を見てみると、そこには可愛らしい女の子が立っていた。

(えっ、これが私!?)

 整った顔立ちにきめ細かな白い肌。そして金色に輝く長い髪はとても似合っている。エメラルドを彷彿させる様な深い緑色の瞳はとても魅力的だ。

「ロレッタ、目が覚めたんだな!」

「ロレッタ、心配したのよ!」

 自分の容姿に惚れ惚れしていると、両親らしき人が部屋に入ってきた。ロレッタ……それが私の名前なの? いい響き~ ロレッタお嬢様ってことよね?

「心配したんだぞ、ロレッタ」

 お父さん……お父様と呼ぶべきかな? 背が高くて戦士の様なゴリゴリのマッチョな体型をしている。
 
 その隣にいるのはお母様? 華奢な体型に金色の長い髪をしている。多分私はお母様に似たんだと思う。こんな事を言ったら失礼だけどお父様似じゃなくてよかった~ あんなゴツい見た目にはなりたくない。

「えっと、お父様、お母様、私はもう大丈夫です。ですから……明日から学校に通います!」
 
「何を言ってるんだ。もう少し休んでいた方が……」

「そうよロレッタ。無理は良くないわ」

 2人は必死に止めようとするが、私は大きく首を横に振った。
 
「大丈夫です! 心配しないでください!」

 私は期待に胸を膨らませて元気よく返事をした。でもこの時の私はまだ知らなかった。

 うざい奴らを返り討ちにして、無能な王子を論破して、この国の王妃として成り上がっていくという事を……
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