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33話 番外編③
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カトリーヌ視点
「ねぇ、どうしてこんな事をしたの⁉︎」
私はライアンを睨みつけて問い詰めた。
「違う、ボクは何もしていない!」
「じゃあ、何をしてるの?」
「えっと……コレはその……あれだよ、ちょっとした人体実験だよ」
「じゃあ、どうして私の薬を持っているの?」
ライアンが持っている薬はさっきユーゴが毒味をしたものだった。本人も『しまった……』と言いたげな表情で顔を歪める。
「あなたが私の薬に毒を入れたのね?」
「待ってくれよ、ボクじゃない可能性もあるだろ? ほら……他の生徒の可能性も……」
「この研究所を使えるのは私とあなたと隣のクラスの数名よ」
「だったらその隣のクラスの奴がやったんだろ!」
ライアンは勢いに任せて逆ギレする。でも隣のクラスの子がやった可能性はない。だって……
「あいにく隣のクラスは薬草を取りに外出しているから不可能よ! あなたしか毒を入れられないわ」
「そっ、そんなの知らないよ! 劇薬の事なんて!」
ライアンは激しく首を横に振って言い逃れをする。でも大きなミスをしていた。それは……
「ねぇ、さっきからどうして混入したものが劇薬だと分かるの? 私は毒としか言っていないわよ?」
ライアンは慌てて口を閉ざすと、狼狽しながら反論してきた。
「に、似たようなものだろ!」
「いいえ違います。劇薬よりも約10倍効力が強いものが毒です。今日の授業で習いましたよね?」
もう言い返すことが出来ないのか、ライアンは顔を赤く染めると、悔しそうに歯軋りをする。
「今回の事は学園長に報告させてもらいます。あなたのしたことは王妃に対する反逆行為です。退学処分を受ける事も覚悟しておいて下さい」
私はキッパリと宣言をした。あれ? もしあのままロレッタが薬を飲んでいたら大変だったわ……お腹の子に何かあったら取り返しがつかない……
それに私が疑われていたよね? そしたらきっと退学処分を受けるのは私だわ……
背中に冷たい汗がすーっと流れる。もしかしてユーゴは……私を庇うために薬を飲んで平気なふりをしていたの?
「クソ……あの男さえいなければよかったのに……」
「一体何を仕込んだの⁉︎ 答えなさい!」
私の剣幕におされ、ライアンは渋々答えた。
「ボクが作った劇薬さ、一口飲むだけで死ぬ……」
「えっ、死ぬ⁉︎」
メラメラと体の奥から激しい怒りが湧き起こる。私が加害者になるのを防ぐためにユーゴが死ぬなんて嫌だ! そんなの絶対に認めない!
「許せない……」
私は杖を取り出すと、自衛のために教わった攻撃魔法の呪文を唱えた。戦いは得意ではないけど、今なら負ける気がしない。
「待て、待て、待て、あれは死ぬほど苦しいだけで本当に死ぬ事はない!」
「じゃあ、ユーゴは無事なの?」
「あぁ……本当だ。だから杖をしまってくれ!」
正直本当かどうか疑わしいけど、今はユーゴの元に一刻も早く向かいたい。私は杖をしまうと、研究室を後にした。
* * *
ユーゴ視点
「ここはどこだ?」
気がつくとそこは医務室のベットの上だった。誰かが俺の手を握っている。
「ユーゴ? 大丈夫?」
カトリーヌは真剣な表情で俺の目を見つめる。
「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら? どうして毒味をした時にすぐに吐き出さなかったの? もしかして私を庇うためだったの?」
「まぁ……そんなところだな」
俺はポリポリと顔を掻きながら答えた。すると、カトリーヌの小さくて柔らかい手に力が入った。
「どうしてそんな無茶をするの!」
カトリーヌは声を震わせながら尋ねる。その表情は少しだけ怒っているように見えた。
「…………悪い、カトリーヌが疑われたらマズイと思ったんだよ……」
「…………気持ちは嬉しいけど……ユーゴにもしもの事があったら私……」
カトリーヌの瞳からポタポタと涙がこぼれ落ちる。憂いを帯びたその表情はドキッとするほど美しかった。
「でも、私を庇ってくれてありがとね……ユーゴ……」
カトリーヌが両手を広げて俺の胸に飛び込んできた。長い髪が鼻に当たってくすぐったい。それにいい匂いがする。
「すごく心配したのよ……」
「あぁ……すまなかった」
俺はそっとカトリーヌの背中に腕を回して抱きしめた。今まで感じた事のない不思議な心地良さと人肌の温もりを感じる。
体格差もあってか、ちょうど俺の胸元にカトリーヌの頭が収まっている。恐る恐る手を伸ばして長い髪を撫でてみると、微笑んでくれた。
「ユーゴ、気分はどう?」
「ユーゴ、お見舞いに来てあげたわよ!」
ガチャンと扉が開いてロレッタ姉さんとバーバラが医務室に入ってくる。そして俺たちを見ると、顔を赤らめてピタッと足を止めた。
「えっと……お邪魔だったかしら?」
「そうみたいね……」
ロレッタ姉さんとバーバラは回れ右をすると、医務室を出て行こうとする。
「まっ待ってくれ! コレは違うんだ!」
「そっそうよ、お願い2人とも行かないで!」
カトリーヌも慌てて俺から離れて呼び止めた。でも、必死に言い訳をするほど、2人の頬がニターと緩む。
「まぁ、それだけイチャイチャ出来るのなら元気そうね。カトリーヌも意外と積極的じゃない!」
バーバラは俺の隣に来ると肘で軽く突く。隣にいるカトリーヌも俯いていた。
「ねぇ、ロレッタ、その……今回の事件はどうなるの?」
カトリーヌが無理やり話を変える。平然を装っているように見えたが、耳まで真っ赤になっていた。
「そうね……学園長とお話をしてみたけど……退学させる事が決まったわ。その後の事なんだけど……」
ロレッタ姉さんが隣に視線を送ると、バーバラが頷いて続きを話した。
「ちょうどハタマ村に男手が欲しかったのよ~ だから私の元で働いてもらう事にするわ!」
バーバラは新しいオモチャをもらった子供のようにイタズラっぽい笑みを浮かべた。少しだけ犯人の事がかわいそうに思えてくる……
「じゃあ私たちはもう行くね」
ロレッタ姉さんとバーバラは俺たちに手を振ると、医務室を出て行った。
「あの……私も授業のレポートを提出しないといけないから……」
カトリーヌもあたふたとしながら部屋を飛び出していく。
1人医務室に取り残された俺は窓から外を見つめて軽く息を吐いた。今日のカトリーヌはいつもと違ったな……あんなに可愛かったっけ? 次に会う時は一体どう接すればいいんだ?
「ねぇ、どうしてこんな事をしたの⁉︎」
私はライアンを睨みつけて問い詰めた。
「違う、ボクは何もしていない!」
「じゃあ、何をしてるの?」
「えっと……コレはその……あれだよ、ちょっとした人体実験だよ」
「じゃあ、どうして私の薬を持っているの?」
ライアンが持っている薬はさっきユーゴが毒味をしたものだった。本人も『しまった……』と言いたげな表情で顔を歪める。
「あなたが私の薬に毒を入れたのね?」
「待ってくれよ、ボクじゃない可能性もあるだろ? ほら……他の生徒の可能性も……」
「この研究所を使えるのは私とあなたと隣のクラスの数名よ」
「だったらその隣のクラスの奴がやったんだろ!」
ライアンは勢いに任せて逆ギレする。でも隣のクラスの子がやった可能性はない。だって……
「あいにく隣のクラスは薬草を取りに外出しているから不可能よ! あなたしか毒を入れられないわ」
「そっ、そんなの知らないよ! 劇薬の事なんて!」
ライアンは激しく首を横に振って言い逃れをする。でも大きなミスをしていた。それは……
「ねぇ、さっきからどうして混入したものが劇薬だと分かるの? 私は毒としか言っていないわよ?」
ライアンは慌てて口を閉ざすと、狼狽しながら反論してきた。
「に、似たようなものだろ!」
「いいえ違います。劇薬よりも約10倍効力が強いものが毒です。今日の授業で習いましたよね?」
もう言い返すことが出来ないのか、ライアンは顔を赤く染めると、悔しそうに歯軋りをする。
「今回の事は学園長に報告させてもらいます。あなたのしたことは王妃に対する反逆行為です。退学処分を受ける事も覚悟しておいて下さい」
私はキッパリと宣言をした。あれ? もしあのままロレッタが薬を飲んでいたら大変だったわ……お腹の子に何かあったら取り返しがつかない……
それに私が疑われていたよね? そしたらきっと退学処分を受けるのは私だわ……
背中に冷たい汗がすーっと流れる。もしかしてユーゴは……私を庇うために薬を飲んで平気なふりをしていたの?
「クソ……あの男さえいなければよかったのに……」
「一体何を仕込んだの⁉︎ 答えなさい!」
私の剣幕におされ、ライアンは渋々答えた。
「ボクが作った劇薬さ、一口飲むだけで死ぬ……」
「えっ、死ぬ⁉︎」
メラメラと体の奥から激しい怒りが湧き起こる。私が加害者になるのを防ぐためにユーゴが死ぬなんて嫌だ! そんなの絶対に認めない!
「許せない……」
私は杖を取り出すと、自衛のために教わった攻撃魔法の呪文を唱えた。戦いは得意ではないけど、今なら負ける気がしない。
「待て、待て、待て、あれは死ぬほど苦しいだけで本当に死ぬ事はない!」
「じゃあ、ユーゴは無事なの?」
「あぁ……本当だ。だから杖をしまってくれ!」
正直本当かどうか疑わしいけど、今はユーゴの元に一刻も早く向かいたい。私は杖をしまうと、研究室を後にした。
* * *
ユーゴ視点
「ここはどこだ?」
気がつくとそこは医務室のベットの上だった。誰かが俺の手を握っている。
「ユーゴ? 大丈夫?」
カトリーヌは真剣な表情で俺の目を見つめる。
「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら? どうして毒味をした時にすぐに吐き出さなかったの? もしかして私を庇うためだったの?」
「まぁ……そんなところだな」
俺はポリポリと顔を掻きながら答えた。すると、カトリーヌの小さくて柔らかい手に力が入った。
「どうしてそんな無茶をするの!」
カトリーヌは声を震わせながら尋ねる。その表情は少しだけ怒っているように見えた。
「…………悪い、カトリーヌが疑われたらマズイと思ったんだよ……」
「…………気持ちは嬉しいけど……ユーゴにもしもの事があったら私……」
カトリーヌの瞳からポタポタと涙がこぼれ落ちる。憂いを帯びたその表情はドキッとするほど美しかった。
「でも、私を庇ってくれてありがとね……ユーゴ……」
カトリーヌが両手を広げて俺の胸に飛び込んできた。長い髪が鼻に当たってくすぐったい。それにいい匂いがする。
「すごく心配したのよ……」
「あぁ……すまなかった」
俺はそっとカトリーヌの背中に腕を回して抱きしめた。今まで感じた事のない不思議な心地良さと人肌の温もりを感じる。
体格差もあってか、ちょうど俺の胸元にカトリーヌの頭が収まっている。恐る恐る手を伸ばして長い髪を撫でてみると、微笑んでくれた。
「ユーゴ、気分はどう?」
「ユーゴ、お見舞いに来てあげたわよ!」
ガチャンと扉が開いてロレッタ姉さんとバーバラが医務室に入ってくる。そして俺たちを見ると、顔を赤らめてピタッと足を止めた。
「えっと……お邪魔だったかしら?」
「そうみたいね……」
ロレッタ姉さんとバーバラは回れ右をすると、医務室を出て行こうとする。
「まっ待ってくれ! コレは違うんだ!」
「そっそうよ、お願い2人とも行かないで!」
カトリーヌも慌てて俺から離れて呼び止めた。でも、必死に言い訳をするほど、2人の頬がニターと緩む。
「まぁ、それだけイチャイチャ出来るのなら元気そうね。カトリーヌも意外と積極的じゃない!」
バーバラは俺の隣に来ると肘で軽く突く。隣にいるカトリーヌも俯いていた。
「ねぇ、ロレッタ、その……今回の事件はどうなるの?」
カトリーヌが無理やり話を変える。平然を装っているように見えたが、耳まで真っ赤になっていた。
「そうね……学園長とお話をしてみたけど……退学させる事が決まったわ。その後の事なんだけど……」
ロレッタ姉さんが隣に視線を送ると、バーバラが頷いて続きを話した。
「ちょうどハタマ村に男手が欲しかったのよ~ だから私の元で働いてもらう事にするわ!」
バーバラは新しいオモチャをもらった子供のようにイタズラっぽい笑みを浮かべた。少しだけ犯人の事がかわいそうに思えてくる……
「じゃあ私たちはもう行くね」
ロレッタ姉さんとバーバラは俺たちに手を振ると、医務室を出て行った。
「あの……私も授業のレポートを提出しないといけないから……」
カトリーヌもあたふたとしながら部屋を飛び出していく。
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