落ちこぼれ精霊使いの英雄譚

朧月

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第2章 旅立ち

冒険者

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 ようやく街のすぐ近くまでたどり着いた2人。

 2人の目には、とても大きな塀が映った。

「この街はこんな辺境なのに大きな塀で囲まれているんだな」

素直に疑問をぶつけるレイにペルは、

「ここは最も未開の地に近い場所ですからね。いつ魔物が攻めてきても大丈夫なように、こうしているんじゃないですか?」

 なるほど、さすがペルは物知りだ。

「それにしても、なんでペルはそんなに物知りなんだ?」

「レイと出会ってから勉強をしてきたって言うのもあるんですけど、なんか、わかるんですよ。何故か、わかるんです」

 と、何かよくわからないことを言い出す。

「わかる?わかるのか?」


どういうことだ?  なんで勉強してないのにわかるんだ?  精霊だからか?

 答えの出ない問をずっと1人で考え続けるレイ。

「そんなことより、早くあそこの門から入りましょう」

 そう言うとペルは、考え中のレイの手を引っ張って門に向かうのだった。

「身分証をだせ」

 門には、槍を持った厳つい兵が2人いた。

「すいません、我々生まれた時から辺境のド田舎で育てられたので、身分証などは持っていません」

 ペルが精霊だというと色々と面倒臭いと思ったレイは、事前にペルは人間ということにすると話していたのだ。

「そうか、ならとりあえずこの水晶に触れてもらえるか?」

 レイとペルがそれぞれ触ると、どちらも何の反応も示さなかった。

「よし、犯罪歴はなしだな」

「これは、何ですか?」

「犯罪をしてたら、これが赤く光るんだ」

 そんなものが俺が未開の地にいる間に開発されたのか。

「よし、犯罪者じゃないなら……」

 そう言うとおもむろに兵舎に戻り、2枚の紙を持ってきて、レイたちに手渡す。

「こんな辺境にも冒険者ギルドってのはあるから、入ったらそこに行ってこの紙を渡して、冒険者登録してくれ。そしたら、それが身分証になるからよ。あと、入街料は1人100コルだ。」

 レイたちは、入街料を渡し、早速冒険者ギルドに向かうのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

街に入るとすぐ冒険者ギルドがどれかわかったわかった。

 なぜかと言うと、一つだけやたら大きな建物をしていて、その上剣と盾が描かれた看板がつけられていたのだ。

 2人が扉を開けてギルドに入ると、ポツンポツンとだけだか、人が少しだけいた。

 そんな中にいる人々から痛い視線が飛んでくる。

 なんでこいつらこんなにこっちを見てくるんだ?面倒臭い。

「とりあえず、登録するぞ」

 レイ達はそんな視線を無視しつつ、受付まで行く。

「すいませんー、2人とも登録お願いできますか?」

「登録……ですか?」

 レイとペルを少し訝しげに見つめてくる女性の受付。

 「えっと、冒険者ギルドの仕事はとても危険なものが多いので、君たちみたいな10歳くらいの子達にはお勧めできないのよ」

 「僕達15ですよ?」

 「えーーーっ?」

 受付は驚きを隠そうともしなかった。

ゴホンっ

受付は咳払いをし、話を続ける。

「すいません、取り乱しました。えっとー、それでは登録しますのでこの紙に必要事項をご記入ください」

と言って、机のしたから2枚の紙とペンを取って渡してくる。

「すいません、これはすべて書かなくてはいけないのですか?」

「いえ、最低限、名前、年齢を書いていただけれ結構です。ですが、やはり冒険者になりたての頃は、パーティーを組まないとろくに討伐クエストを受注できないと思うので、パーティーを組むためにも、得意武器や、魔法なども書いておくと良いですよ」

なるほど、なら名前と年齢を記入して、と

ペルもレイの考えが分かったのか、同じように名前と年齢だけを記入する。

レイ=ローズに、ペル=ローズ。

 ふたりはシェリーの名字を名乗ることにした。

 師匠やペルを家族のように思っているからこそである。

「はい、どうぞ」

 レイはペルの紙も受け取ると、一緒に受付に提出する。

「はい、確かに受取りました。レイさんとペルさんですね? ギルドについての説明は如何されますか?」

 説明かぁ……、師匠にいろいろ聞いたし、まあいらないか

「いえ、大丈夫です」

「それでは本日は何か依頼を受けますか? と言っても、新人が受けることが出来るのは街中のクエストか、ゴブリン討伐だけなんですけどね」

 「なら、ゴブリンでお願いします」

 レイがそう言った時、周りの人が気づかない程度だが受付が少し顔をしかめた。

 新人がいきなり討伐系受けるから心配しているのかな?

 「はい、クエスト受注完了しました。それと、これがお2人のギルドカードです。新人なのでFランクからスタートしています。では、いってらっしゃい」

 こうして、ふたりはギルドカードを受け取るとそのままクエストに向かって行った。

 レイ達が去った受付の所に同僚のほかの女の受付がやってくる。

 「新人は将来有望そうかい?」

 そう言って、受付の肩を叩いてくる。

 「今のところなんとも言えませんね。明らかに纏うオーラは圧倒的なんですけど、強いのか弱いのかよーくわからないです。ヘレンさんはどー思いました?」

その受付---ヘレンは、

 「私もなんとも言えないね。ただ、一つだけ言えるのはあの男の子、将来はいい男になるってことかしらね」

 そう言うと、自分の持ち場へ戻っていってしまう。

 将来イケメンって……。それにしても、あの女の子一言も話さなかったなぁ……

 レイ達の知らないところでレイ達の話をされているのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ふたりはクエストにいくために門へ向かう。

 門にはさっきと同じ兵が2人いた。

「お、さっきの兄ちゃんと姉ちゃんじゃねーか。どうしたんだ?」

 門兵は先ほどのファーストコンタクトとは違い、親しげに話しかけて来た。

「クエストに行こうと思いまして」

 「クエストって事は冒険者登録は出来たようだな。大丈夫だとは思うが、、、、、、、、、外では気を抜くなよ」

 真剣な顔でレイ達に忠告してくる門兵。

「ご忠告ありがとうございます。では、行ってきます」

 門兵に見送られクエストに向かった2人だった。

 「なんであんな化物達がこんな街に来たのかなぁ。未開の地が近くにあるからか?  まぁ何かあったら俺が命に変えても戦うしかねぇかなぁ」

 2人が言った後、門兵がぼそっと呟いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「とりあえず索敵して、ゴブリンを見つけてサクサク狩っていくぞ」

「そ~ですね」

 えーと、索敵っ---いたいた。

 あそことあそこと……あー、あそこと……ん? なんだ? なんだこの反応は敵が集まっている。それに、奥の方にに巨大な反応?

 「レイ様、どういたしますか?」

 ペル自身も索敵で巨大な反応を見つけたのか、レイに今後の行動について聞いてくる。

 さーて、どうしたもんか。

 魔物が約5000体かぁ。

「とりあえず、魔物の近くまで行くぞ」

「はい」

 2人は魔物を倒しながら、魔物の大群に向かって進んでいく。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 一方その頃街では、異変に気づく輩がいた。

 ん、なんだ向こうの方から沢山の魔物か襲ってきてる。やばいぞ、やばい。

 「おい、俺はギルドに異変を伝えに行く。お前はこのままこの門にいろ」

 そう言って、レイたちに忠告していた門兵はいち早く異変に気づき、それを冒険者ギルドに伝えに行こうとする。

 急げ、急がなきゃやばいことになるぞ。

 門兵は急いでギルドに向かう。

 やっと見えてきたぞ。

 「おい、俺はこのパマスの街の冒険者ギルドマスタータオ」

 ギルドマスターー???

 おい、俺マスター初めて見たぞ!

 俺もだ! やばいオーラがビンビンだぜ!

 突然現れたギルドマスターに対して、ギルドにいた人々は様々な反応を見せた。

「ギルドマスター権限をもってお前らに命令する。今未開の地の方面から魔物の大群が押し寄せてきてる。よって、冒険者ランクがD以上の者は今すぐ臨戦態勢をとり、俺と一緒にこの街を守れ!」

 今この街には存続の危機が迫っていたのだった。
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