はじめての契約つがい

みつきみつか

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2 就職活動と確認事項

一 延長戦(※)

 文弥さんは宙を搔く俺の足首を掴まえて、うっとりしながら、俺のふくらはぎをぺろぺろ舐めてる。くすぐったい……。

「尚くん、僕、また尚くんのなかで出しそう……」
「もぉ、もぉむり、おなか、へん」

 俺は喘ぎすぎて喉が枯れてる。
 だって昨晩は午後八時過ぎからセックスしはじめて、午前過ぎに仮眠、夜明け前にふたたび犯されて、そこからノンストップ。文弥さんは一回も出ていかずに、俺を貫いたまま。
 いま遮光カーテンの隙間から差し込んでくる光は、完全に朝。
 文弥さんは疲れなど一切みせずにリズミカルにピストンしながら、俺の薄い腹部をゆったり撫でている。
 俺自身の精液とか、その他の液体まみれの腹を指で伝うようにして、大きい手のひらでやんわり押したり撫でたり。その圧力で、なんだかナカまで気持ちいい。

「んぅ……ふみやさん……」
「また出る……」

 文弥さんは少し強めに奥をこすった。くぐもったみたいに喉を慣らして、さんざん犯されてぐちょぐちょゆるゆるのそこに、また注いでる。いったいどれだけ出るんだろ。
 どうやらαは精液が多いらしくて、それは聞いたことがあったけれど、こんなに出るんだと驚いた。文弥さん絶倫……。こんなの聞いてない……。想像できなかった……。
 汗だくになって、熱い肉体で覆いかぶさってきて、射精しながら俺の額を舐めてる。

「尚くん、イけた? 気持ちよかった? ごめんなさい、僕ばかり気持ちよかったのかも」
「イき、ました」

 もう何回イかされたかわからない。文弥さんはまったく余裕なさげでとにかく俺を抱くのに夢中になっていて、俺は文弥さんの貪欲な性欲とピストンに翻弄されるうちに勝手にイってた。
 とくに、初めて射精された直後は、化学反応みたいだった。
 精液が流れ込んできた感覚と、温度、注がれているときのどくんどくんという痙攣みたいな震え、その何もかもが未経験の快感。
 文弥さんがあまりにも気持ちよさそうな恍惚とした表情をしているものだから、俺のほうも、肉体的にも精神的にもシンクロしたみたいに、激しい絶頂だった。がたがた震えて、頭の中も真っ白で、しばらくのあいだ放心状態。思い切りかき抱かれ、息を整えるのにも時間がかかって、なんにも考えられなかった。
 文弥さんがやっとペニスを抜く。萎えていても大きいそれを抜いてもらった瞬間、ぶちゅ、と液体が勢いよく溢れた。

「尚くん……」
「あっ、出ちゃう」
「お風呂に行きましょうか」
「は、はい」

 気づくと俺は文弥さんに横抱きにされていた。

「文弥さん、あの、待って」
「どうしました?」
「た、垂れちゃう。文弥さんの精液、溢れてきてしまって」

 俺は手を伸ばし、自分の穴を押さえた。なんとか持ち堪えられるだろうか。

「尚くん煽情的すぎて、僕腰が抜けそう……」
「???」

 文弥さんは振動に気をつけながら浴室まで連れていってくれる。
 全身を流して、同時にお湯を張って、後ろから抱かれながら湯船に浸かると、ひとここちついた。疲れがお湯に溶けていく。
 なんだか、昨日が、すごく昔の出来事みたいだ。
 なにしろ昨夜風呂に入ったときは、俺はまだ何も知らなくて、文弥さんが俺を抱くことも、そのときに文弥さんがどんな様子なのかも、俺がどんなふうに変わってしまうのかも、本当に、なにひとつ知らなかった。
 いくらΩだっていっても、もっと男としての尊厳が残るのかと思っていたのに、蓋を明けてみれば俺は、αのオスには手も足も出ず、Ωとしての本能にも抗えず、へたくそながら腰を振り、文弥さんに求められて悦んでいるだけだった。冷静になると、ちょっと、いや、だいぶショック。そして、恥ずかしい。

「どうしました、尚くん」

 湯船で下になって俺をバックハグしている文弥さんが、俺の頰を後ろからついばんでいる。ぴったりくっついてて絡みついてくる。

「いえ……」

 あんなに乱れるなんて……。俺、抱かれながら、なに言ったっけ。気持ちよすぎて無理、だとか、もっとしてとか、恥ずかしい言葉をたくさん言った気がする。

「尚くん。なんでも言ってください。僕たち、昨日から、なんと夫婦です!」
「……えっと、なんというか……頭が混乱してまして……」

 俺、契約番になるってことをちゃんと理解していなかった。まず、番であることが何を意味するのか、考えたこともなかった。セックスをするなんてまったく、これっぽっちも思ってなかった。
 だけど、よく考えてみれば、夫婦なら当然するという文弥さんの言葉も理解できる。だってふつうの夫婦はしているだろうし。番って、そういうものだし。

「尚くんをびっくりさせてごめんなさい。だまし討ちと言われても無理ありません。でも、僕は尚くんと……、この契約が終わるまで、夫婦として愛し合いたいです」
「文弥さん……」
「でも……尚くんが嫌ならやめますから」
「いえ……びっくりしただけで……俺も、夫婦なら、当然するかなって、今は思います」

 自分の想像力がなかっただけにせよ、なんとなく、アンバランスな契約だと思ってた。だからむしろ、セックスもアリってことに納得してる。
 それに、文弥さんとのセックスは、はじめてだったのにとても気持ちよくて、抗えない。自分が自分じゃないみたいで怖いけれど……。
 文弥さんは後ろから俺の腹部を撫でている。

「尚くん、そんなこといわれたら……」
「え?」
「また勃ってきた……」

 絶倫すぎない???

「時間! 時間ないですよ……!?」

 もう朝の八時だ。文弥さん、仕事は何時に家を出るんだろう。俺は何時なんだっけ、学校。今日二コマ目だけかな。
 文弥さんは俺の背中に巨根をなすりつけてくる。

「我慢できない……尚くんにあてられてる……」

 そっか、そういえば、Ωの発情期は、αの興奮を誘発するんだ。
 だから番のいないΩは気をつけないといけない。αのほうもあてられないようにしないと事故つがいといって、双方が望まないペアになってしまう。
 でもたしか、αからは番を解消できるんだっけ。Ωからはできない。それに、一度解消されてしまうと、Ωはすごく不安定になってしまう。
 だからΩはうなじを噛まれないようにしないといけないんだ。文弥さんは甘噛みはするけど、そこまで強くは噛まない。歯を立てていない。
 湯船のなかで、文弥さんのペニスがふたたび入ってくる。

「はぅ」
「尚くんっ、尚くんのここ最高……」
「文弥さん、根元、ハメないで」

 根元の突起みたいな部分までハメられると、奥深くのきゅんとするところにぴったり当たる。俺のいちばんの弱点なんだと思う。
 昨夜も今朝も、奥にぴたりと当ててびゅうびゅう注がれて、取り返しがつかないほど敏感になってる。
 文弥さんはお構いなしにハメてきた。

「あぅっ、そこ、あて、ないでぇ」
「ハメるとぴったり当たっちゃう。はぁ……」
「文弥さんの、こわいです」
「僕も、こんなふうになることなんてなくて、ちょっとへん……尚くんだからです、すごく興奮する。ここに」

 上から押されると、硬くなった文弥さんが広げている感覚がよりはっきりとわかる。

「ああっ」
「ここに射精したい……このまま、尚くんの入り口に先っぽハメたまま、全部出したいです」

 そして文弥さんは有言実行。ほとんど動かすこともなく、俺の腹を上からさすったり押したりして、俺を何度もイかせてのぼせそうになったとき、俺のうなじを甘噛みしながら、奥で果てた。
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