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3 ある長期休暇の頃
八 そういうことをしていた③(※)
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カズ先輩は、ベッドの脇に置いてあったティッシュの箱を取ってぽいっと置いて、二、三枚取って俺の腹部を拭いてくる。
「よかった?」
よかった……ひとりでするよりはるかによかった。
呼吸を整えて俺は小さく頷く。
「……はい」
「気持ちよかったならいいよ」
「あの、カズ先輩は、出してないですよね」
俺は射精して萎えたけど、カズ先輩はまだ出していなくてギンギン。
あらためて見るとめちゃくちゃ巨根。
すごいな。スペックがひとつ増えるなんて。どれか一個ならこれがいいな。
「出してないけどいいよ。あとでひとりでしてくる」
「え? ひとりでですか?」
「一緒にするのはいいけど、見せるのは恥ずかしいよ……」
「あはは、それもそうかも。タイミングが長くずれるとそうなりますね」
「うん……」
「いつもは一緒にイってたんですか?」
「ううん。多紀くんは何度かイってたから」
「俺って、絶倫だったんですか!?」
知らなかったな!?
どちらかというと淡泊なほうだと思ってたんだけど。性欲が薄かったのは、仕事に忙殺されてたせいかな?
カズ先輩は、俺の性器を丁寧に拭いながら、陰嚢の下のほうにやんわり触れた。
「俺いつも多紀くんのここ使って出してたんだよね」
「……え!?」
どういうこと?
「アナルセックス。興味ある?」
興味!? ないない。
聞いてないよ。もう全然聞いてないことばっかだよ。
っていうか、友達同士の擦り合いとか、そういうレベルじゃないじゃん。嘘じゃん。完全なる肉体関係じゃん。
どうなってんの、二十七歳の俺。男同士なんて考えたこともないのに。
パニック。硬直。
青ざめる俺。
「……」
「怖いならやめようか。たぶん体は覚えてるだろうけど、気持ちがついてこないでしょ。あ、萎えてきた。このまま寝ちゃおうかな……」
「え……あ……は、入るものなんですか?」
「入るよ。入れてみたらわかるけど」
どこまでやっちゃうんだろう。
考えてみるけれど、あまりに非日常が続きすぎて、想像できない。
俺は沈黙。頭回らないよ。
その沈黙を肯定と捉えたのか、カズ先輩は事を進めようとしてる。
枕元に置いたボトルからジェルっぽいローションを垂らして、やや萎えたカズ先輩のそれをもう一度大きくするべく扱いてる。すぐに持ち直してびんびんになってる。
これが入るってどういう状態……?
両足を開いたままの俺の穴を、濡れた指先が探ってくる。塗りこむように。
「あの、あの、カズ先輩、ちょっと怖いです……」
「やめとく?」
「え……でも」
カズ先輩は、あっさりしているように見せかけて、たぶんすごくやりたがってる。顔を見ればわかる。
そんな物欲しそうな目をされると……。
「多紀くんはここで、すごく感じて、ちゃんとイってたよ。身を任せて、しがみついてたらいいよ。痛かったら痛いって言ってね。すぐやめるから」
「はい……」
指がぐっと入ってくる。違和感あるけど痛みはなくて、やわらかくするようにほぐしてる。
指が一本、二本。三本。
ゆっくりと出し入れ。
たしかに慣れてる。どう力を入れたり抜いたりすればいいのかわかる。
体が自然と動く。
受け入れ慣れていて、自分の体じゃないみたい。
「はあ……ああ……ああ……」
「へん?」
「ちょっとへんな感じ……」
「痛みは?」
「ないです。なんか、あっ……そこ……」
「後ろからしようか」
指が出ていって、俺は息を整えながら四つん這いになる。
また指が入ってくるのかなと思ったけれど、そうじゃなかった。
カズ先輩は片膝をつく姿勢。
ねじ込まれる感覚。ずっしりと重く圧し掛かってくる。
骨盤を引き上げられるようにされながら、上のほうからぐいぐい割るように入ろうとしてくる。
「えっ……あっ……カズ先輩、ま、待って」
「多紀くん。リラックスして。大丈夫だよ」
俺は逃げようとする。逃がさないようにとカズ先輩が後ろに引いてくる。
ちょっと待って。何が起こってるの。
「大丈夫じゃ、ない……です、苦し……」
「少し止まろうか」
「うん、んん……」
「ゆっくり息を吸って、吐いて」
カズ先輩が止まったのはほんの一瞬。俺の呼吸に合わせて挿入を再開する。
少し引いたり押したりしながら、時々ローションを足したりして、ねっとりする。
奥を目指してくる。長い。
「うあ……」
「多紀くんの中、気持ちいい……」
「カズ先輩、俺、へんです……」
「動いても平気?」
「わかんないです……」
痛くはないけれど、体を無理にこじ開けられていて、広がってる。中が熱い。疼く場所に当たる。
カズ先輩はゆっくりと引きはじめた。
疼いている位置をかすめて、俺は思わず声をあげる。
「ああっ」
「いけそうだね」
と言って、ぐいぐい押してくる。
ゆっくりと何度か押して、それからは、押すというよりも突く。
体全体を使って潰すように、太い肉棒で突いてくる。
「あっ、あっ、あっあっ」
なんかすごいな……!?
すごいことが自分の身に起きてる感。
中をこすられると熱くなってくる。びくびくする。
「カズ先輩っ、あっ、ああっ、あっ」
何がどうなってんだろ。
四つん這いになって、両腕を前に伸ばして、シーツをかき集めるように握って、背後から犯してくる肉体に集中していく。
ぶつかる音、ベッドの軋み、衣擦れ、結合部の粘着質な音、ふたりの息遣い、喘ぎ声。
カズ先輩はピストンしながら、俺の腰を上から押したり、太ももを引き上げたり、尻を叩いたり、背筋を指先で撫でたりしてくる。
熱い。すごく熱い。汗が噴き出してくる。へんな声が出る。
「あああ、ああっ、せんぱい、カズ先輩」
「多紀くん、気持ちいい?」
「きもちい、んん、んあ、あっ、気持ちいい、そこ気持ちい、あっ、や、お願い」
「ここ、擦ってほしい?」
的確に当ててくる。ごりごり擦ってくる。
「ひっ、あー、あー……」
「ああ、イきそう。出そう」
「お、俺も、もっかいイく、イっちゃう、せんぱい」
「いいよ。一緒にイこっか」
「ん、んん、イくっ、あっ、ああっ」
そう言って、カズ先輩は強く激しくなる。がくがく揺さぶられていつの間にか俺はイって、何度か強く突かれて動きが止まる。
俺の中で果てたカズ先輩は、徐々にしぼんで、固かったそれが出ていく。
ベッドに倒れ伏した俺の上に、カズ先輩も重なってくる。耳元で、濡れた吐息。ふうふう言ってる。エロい。
背中が汗でべたべた。カズ先輩のシャツも汗だくで湿ってる。
「多紀くん、大丈夫?」
大丈夫……だと思う。
だけどさ。
カズ先輩が離れて、隣に転がってくる。
俺はくたくたになりつつ、胸を起こして、頭を抱えてちょっと恨み言。
「……これ、最初に言うべきじゃないですか? 俺たちの関係……」
ただの仲良しではない。こんな深い関係だったなんて、知らないよ。聞いてないよ。
でもカズ先輩は、何のことでもなさそうな顔してる。飄々としてる。
いつもと変わらないみたいに。
「え? 性欲を発散してるだけだよ。ふたりですると気持ちいいでしょ? お互いの体でオナニーしてるのと一緒。ほら、ムラムラするときってあるじゃん?」
「え……」
俺は戸惑う。
そんな割り切った大人の関係だったの?
高校のときの先輩後輩っていう、気の置けない関係だった。
肉体関係を結んだとしても、そういう仲良しの延長であって、大した意味はないの?
二十三歳の俺にとって、にわかには信じがたいんだけど、二十七歳の俺はずいぶん変わったんだな……。
「よかった?」
よかった……ひとりでするよりはるかによかった。
呼吸を整えて俺は小さく頷く。
「……はい」
「気持ちよかったならいいよ」
「あの、カズ先輩は、出してないですよね」
俺は射精して萎えたけど、カズ先輩はまだ出していなくてギンギン。
あらためて見るとめちゃくちゃ巨根。
すごいな。スペックがひとつ増えるなんて。どれか一個ならこれがいいな。
「出してないけどいいよ。あとでひとりでしてくる」
「え? ひとりでですか?」
「一緒にするのはいいけど、見せるのは恥ずかしいよ……」
「あはは、それもそうかも。タイミングが長くずれるとそうなりますね」
「うん……」
「いつもは一緒にイってたんですか?」
「ううん。多紀くんは何度かイってたから」
「俺って、絶倫だったんですか!?」
知らなかったな!?
どちらかというと淡泊なほうだと思ってたんだけど。性欲が薄かったのは、仕事に忙殺されてたせいかな?
カズ先輩は、俺の性器を丁寧に拭いながら、陰嚢の下のほうにやんわり触れた。
「俺いつも多紀くんのここ使って出してたんだよね」
「……え!?」
どういうこと?
「アナルセックス。興味ある?」
興味!? ないない。
聞いてないよ。もう全然聞いてないことばっかだよ。
っていうか、友達同士の擦り合いとか、そういうレベルじゃないじゃん。嘘じゃん。完全なる肉体関係じゃん。
どうなってんの、二十七歳の俺。男同士なんて考えたこともないのに。
パニック。硬直。
青ざめる俺。
「……」
「怖いならやめようか。たぶん体は覚えてるだろうけど、気持ちがついてこないでしょ。あ、萎えてきた。このまま寝ちゃおうかな……」
「え……あ……は、入るものなんですか?」
「入るよ。入れてみたらわかるけど」
どこまでやっちゃうんだろう。
考えてみるけれど、あまりに非日常が続きすぎて、想像できない。
俺は沈黙。頭回らないよ。
その沈黙を肯定と捉えたのか、カズ先輩は事を進めようとしてる。
枕元に置いたボトルからジェルっぽいローションを垂らして、やや萎えたカズ先輩のそれをもう一度大きくするべく扱いてる。すぐに持ち直してびんびんになってる。
これが入るってどういう状態……?
両足を開いたままの俺の穴を、濡れた指先が探ってくる。塗りこむように。
「あの、あの、カズ先輩、ちょっと怖いです……」
「やめとく?」
「え……でも」
カズ先輩は、あっさりしているように見せかけて、たぶんすごくやりたがってる。顔を見ればわかる。
そんな物欲しそうな目をされると……。
「多紀くんはここで、すごく感じて、ちゃんとイってたよ。身を任せて、しがみついてたらいいよ。痛かったら痛いって言ってね。すぐやめるから」
「はい……」
指がぐっと入ってくる。違和感あるけど痛みはなくて、やわらかくするようにほぐしてる。
指が一本、二本。三本。
ゆっくりと出し入れ。
たしかに慣れてる。どう力を入れたり抜いたりすればいいのかわかる。
体が自然と動く。
受け入れ慣れていて、自分の体じゃないみたい。
「はあ……ああ……ああ……」
「へん?」
「ちょっとへんな感じ……」
「痛みは?」
「ないです。なんか、あっ……そこ……」
「後ろからしようか」
指が出ていって、俺は息を整えながら四つん這いになる。
また指が入ってくるのかなと思ったけれど、そうじゃなかった。
カズ先輩は片膝をつく姿勢。
ねじ込まれる感覚。ずっしりと重く圧し掛かってくる。
骨盤を引き上げられるようにされながら、上のほうからぐいぐい割るように入ろうとしてくる。
「えっ……あっ……カズ先輩、ま、待って」
「多紀くん。リラックスして。大丈夫だよ」
俺は逃げようとする。逃がさないようにとカズ先輩が後ろに引いてくる。
ちょっと待って。何が起こってるの。
「大丈夫じゃ、ない……です、苦し……」
「少し止まろうか」
「うん、んん……」
「ゆっくり息を吸って、吐いて」
カズ先輩が止まったのはほんの一瞬。俺の呼吸に合わせて挿入を再開する。
少し引いたり押したりしながら、時々ローションを足したりして、ねっとりする。
奥を目指してくる。長い。
「うあ……」
「多紀くんの中、気持ちいい……」
「カズ先輩、俺、へんです……」
「動いても平気?」
「わかんないです……」
痛くはないけれど、体を無理にこじ開けられていて、広がってる。中が熱い。疼く場所に当たる。
カズ先輩はゆっくりと引きはじめた。
疼いている位置をかすめて、俺は思わず声をあげる。
「ああっ」
「いけそうだね」
と言って、ぐいぐい押してくる。
ゆっくりと何度か押して、それからは、押すというよりも突く。
体全体を使って潰すように、太い肉棒で突いてくる。
「あっ、あっ、あっあっ」
なんかすごいな……!?
すごいことが自分の身に起きてる感。
中をこすられると熱くなってくる。びくびくする。
「カズ先輩っ、あっ、ああっ、あっ」
何がどうなってんだろ。
四つん這いになって、両腕を前に伸ばして、シーツをかき集めるように握って、背後から犯してくる肉体に集中していく。
ぶつかる音、ベッドの軋み、衣擦れ、結合部の粘着質な音、ふたりの息遣い、喘ぎ声。
カズ先輩はピストンしながら、俺の腰を上から押したり、太ももを引き上げたり、尻を叩いたり、背筋を指先で撫でたりしてくる。
熱い。すごく熱い。汗が噴き出してくる。へんな声が出る。
「あああ、ああっ、せんぱい、カズ先輩」
「多紀くん、気持ちいい?」
「きもちい、んん、んあ、あっ、気持ちいい、そこ気持ちい、あっ、や、お願い」
「ここ、擦ってほしい?」
的確に当ててくる。ごりごり擦ってくる。
「ひっ、あー、あー……」
「ああ、イきそう。出そう」
「お、俺も、もっかいイく、イっちゃう、せんぱい」
「いいよ。一緒にイこっか」
「ん、んん、イくっ、あっ、ああっ」
そう言って、カズ先輩は強く激しくなる。がくがく揺さぶられていつの間にか俺はイって、何度か強く突かれて動きが止まる。
俺の中で果てたカズ先輩は、徐々にしぼんで、固かったそれが出ていく。
ベッドに倒れ伏した俺の上に、カズ先輩も重なってくる。耳元で、濡れた吐息。ふうふう言ってる。エロい。
背中が汗でべたべた。カズ先輩のシャツも汗だくで湿ってる。
「多紀くん、大丈夫?」
大丈夫……だと思う。
だけどさ。
カズ先輩が離れて、隣に転がってくる。
俺はくたくたになりつつ、胸を起こして、頭を抱えてちょっと恨み言。
「……これ、最初に言うべきじゃないですか? 俺たちの関係……」
ただの仲良しではない。こんな深い関係だったなんて、知らないよ。聞いてないよ。
でもカズ先輩は、何のことでもなさそうな顔してる。飄々としてる。
いつもと変わらないみたいに。
「え? 性欲を発散してるだけだよ。ふたりですると気持ちいいでしょ? お互いの体でオナニーしてるのと一緒。ほら、ムラムラするときってあるじゃん?」
「え……」
俺は戸惑う。
そんな割り切った大人の関係だったの?
高校のときの先輩後輩っていう、気の置けない関係だった。
肉体関係を結んだとしても、そういう仲良しの延長であって、大した意味はないの?
二十三歳の俺にとって、にわかには信じがたいんだけど、二十七歳の俺はずいぶん変わったんだな……。
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