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番外編20 季節ものSS
ドキドキドライブの巻
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午後三時。
俺はレンタカーの運転席でシートの調整をして言った。
「よし、出発」
「進行ー!」
助手席の多紀くんが片手を突き出している。かわいい。
俺がリクエストしたので、多紀くんは、浴衣を着てくれている。藍色の裾から白いすねが覗いている。
きゅっと締まった足首を今すぐ掴んでひっくり返して舐めたい。
真っ赤な顔で、がんばって手で浴衣の裾を直そうとする様子を上から眺めたい。
あとでしよう。
車を発進させ、ナビに従い、高速道路の入口へ向かう。
「飲み物、言ってくれたら開けますので!」
「ありがと」
「運転ありがとうございます。ドライブ楽しみです!」
「太郎兄さんが、絶景スポットを教えてくれたんだ。知る人ぞ知る穴場の高台らしくて」
「へぇー!」
多紀くんとドライブデートしたいんだ、と持ちかけたところ、近場の花火スポットを教えてくれた。でも愛車のスポーツカーは貸してくれなかった。
「しかも大和を預かってくれるなんて。迎えにまで来てもらって」
「むしろ喜んでやってるよ。今ごろ楽しく散歩してるんじゃない?」
太郎兄さんは無類の犬好きだ。タロとジロの散歩を目的として、遠いなか、横浜から仙台の実家に月一、二回は帰っているほどである。
俺と同じく伯父上が死ぬほど苦手なのに、従妹のコーギーを愛でるために本家に行ったりもしている。
大和を連れてドッグランに行くときに伝えておくと、都内に会いに来ることはしょっちゅうだ。
そんなに好きなら自分で飼えばいいのにと思うし、本人的には飼う気満々だが、仕事が多忙で徹夜が連続することもよくあるので、飼うのは退官後と決めているらしい。
犬を飼うために早く退官したい様子である。検察官をやめた後は、弁護士をするのかな。ヤメ検弁護士。三兄弟で事務所か。仲が悪くなりそう。
とにかくそういうわけで、太郎兄さんは、日々、自分の犬を渇望し、行く当てのない愛情を持て余しているのである。今頃大和をたいへん愛でているのだろう。大和は外面が良いので太郎兄さんのもとではお利口らしい。
俺は多紀くんを連れ、山間にある高台の展望駐車場にGO。
展望台と公園があって、第三駐車場の端から街を一望でき、しかも花火が見られるという。
といっても、第二駐車場のほうも花火はみられるし、そちらにはお手洗いや自販機があって人気で、第三駐車場は整備も不十分で俺たち以外だれもいなかった。
太郎兄さん、ここ使ってるんだろうな~。バイクも乗るし車も持ってる。羨ましい。車欲しい。買おうかな。
端っこに停めて、俺は多紀くんにキス。
「ん……和臣さん……」
そして浴衣の隙のあちこちから指を差し入れてはだけさせ、真っ赤になった多紀くんの肌に直接触れてみる。
「和臣さん、そんな触り方されると」
「多紀くんも触ってね」
俺は多紀くんの手を自分の腹に誘導。Tシャツごしの体温。
そして俺の手は多紀くんの太ももをすりすり。不思議なほど肌が合う。
「どうするんですか……」
多紀くんは泣きそうな顔になっている。可愛い。おなかを触らせたのに股間を触っているし。俺はがちがち。
「どうしたいの?」
質問すると、多紀くんは涙目。
「真っ昼間ですし、レンタカーですし、こんな、誰か来る場所なのに」
すぐそこの国道は時々車が通る。真っ昼間でスモークも薄いので、いちゃいちゃしていたらすぐバレる。レンタカーだから汚しちゃいけない。
つまり、すべて言い訳である。
真っ昼間なのに、レンタカーなのに、誰かが来るかもしれないのに、えっちな気分になっちゃってしょうがない、ということである。
俺は多紀くんの両足首を片方ずつ掴み、シートを倒して後ろに転がすように足を開かせる。
「わっ、和臣さん!?」
多紀くんの太もも。下着。しみになってる。俺が先日つけたキスマークが三つ。
俺は訊ねた。
「多紀くん、恥ずかしい?」
「……はい」
真っ赤になって、裾を必死で押さえて、膨らんだ股間を見られないように手で隠している。
絶景スポットである。
「もっと恥ずかしいことしようね」
***
横浜。
太郎兄さんのマンション。午後十時。
「太郎兄さん、大和、ただいま」
「おかえり。大和寝てる」
大和が今起きたという寝ぼけ顔で、廊下をとことこ歩いて出てきた。一応、お迎えだとわかっているようだ。
俺の姿を見て、むっと不服そうな顔。
「多紀くんは車で寝てるよ。兄さん、今日はありがとね」
「こちらこそ。充実してたよ、なぁ大和。ドッグランで走って、帰ってきてうちで遊んでた」
「俺も物凄く良かったよ……。絶景だった。また宜しく」
「おう」
「あっ、あと俺、車買おうと思うんだけど、スポーツカーってどうなの?」
「狭い。あれこれ邪魔で動きづらい」
「了解」
〈終わり〉
俺はレンタカーの運転席でシートの調整をして言った。
「よし、出発」
「進行ー!」
助手席の多紀くんが片手を突き出している。かわいい。
俺がリクエストしたので、多紀くんは、浴衣を着てくれている。藍色の裾から白いすねが覗いている。
きゅっと締まった足首を今すぐ掴んでひっくり返して舐めたい。
真っ赤な顔で、がんばって手で浴衣の裾を直そうとする様子を上から眺めたい。
あとでしよう。
車を発進させ、ナビに従い、高速道路の入口へ向かう。
「飲み物、言ってくれたら開けますので!」
「ありがと」
「運転ありがとうございます。ドライブ楽しみです!」
「太郎兄さんが、絶景スポットを教えてくれたんだ。知る人ぞ知る穴場の高台らしくて」
「へぇー!」
多紀くんとドライブデートしたいんだ、と持ちかけたところ、近場の花火スポットを教えてくれた。でも愛車のスポーツカーは貸してくれなかった。
「しかも大和を預かってくれるなんて。迎えにまで来てもらって」
「むしろ喜んでやってるよ。今ごろ楽しく散歩してるんじゃない?」
太郎兄さんは無類の犬好きだ。タロとジロの散歩を目的として、遠いなか、横浜から仙台の実家に月一、二回は帰っているほどである。
俺と同じく伯父上が死ぬほど苦手なのに、従妹のコーギーを愛でるために本家に行ったりもしている。
大和を連れてドッグランに行くときに伝えておくと、都内に会いに来ることはしょっちゅうだ。
そんなに好きなら自分で飼えばいいのにと思うし、本人的には飼う気満々だが、仕事が多忙で徹夜が連続することもよくあるので、飼うのは退官後と決めているらしい。
犬を飼うために早く退官したい様子である。検察官をやめた後は、弁護士をするのかな。ヤメ検弁護士。三兄弟で事務所か。仲が悪くなりそう。
とにかくそういうわけで、太郎兄さんは、日々、自分の犬を渇望し、行く当てのない愛情を持て余しているのである。今頃大和をたいへん愛でているのだろう。大和は外面が良いので太郎兄さんのもとではお利口らしい。
俺は多紀くんを連れ、山間にある高台の展望駐車場にGO。
展望台と公園があって、第三駐車場の端から街を一望でき、しかも花火が見られるという。
といっても、第二駐車場のほうも花火はみられるし、そちらにはお手洗いや自販機があって人気で、第三駐車場は整備も不十分で俺たち以外だれもいなかった。
太郎兄さん、ここ使ってるんだろうな~。バイクも乗るし車も持ってる。羨ましい。車欲しい。買おうかな。
端っこに停めて、俺は多紀くんにキス。
「ん……和臣さん……」
そして浴衣の隙のあちこちから指を差し入れてはだけさせ、真っ赤になった多紀くんの肌に直接触れてみる。
「和臣さん、そんな触り方されると」
「多紀くんも触ってね」
俺は多紀くんの手を自分の腹に誘導。Tシャツごしの体温。
そして俺の手は多紀くんの太ももをすりすり。不思議なほど肌が合う。
「どうするんですか……」
多紀くんは泣きそうな顔になっている。可愛い。おなかを触らせたのに股間を触っているし。俺はがちがち。
「どうしたいの?」
質問すると、多紀くんは涙目。
「真っ昼間ですし、レンタカーですし、こんな、誰か来る場所なのに」
すぐそこの国道は時々車が通る。真っ昼間でスモークも薄いので、いちゃいちゃしていたらすぐバレる。レンタカーだから汚しちゃいけない。
つまり、すべて言い訳である。
真っ昼間なのに、レンタカーなのに、誰かが来るかもしれないのに、えっちな気分になっちゃってしょうがない、ということである。
俺は多紀くんの両足首を片方ずつ掴み、シートを倒して後ろに転がすように足を開かせる。
「わっ、和臣さん!?」
多紀くんの太もも。下着。しみになってる。俺が先日つけたキスマークが三つ。
俺は訊ねた。
「多紀くん、恥ずかしい?」
「……はい」
真っ赤になって、裾を必死で押さえて、膨らんだ股間を見られないように手で隠している。
絶景スポットである。
「もっと恥ずかしいことしようね」
***
横浜。
太郎兄さんのマンション。午後十時。
「太郎兄さん、大和、ただいま」
「おかえり。大和寝てる」
大和が今起きたという寝ぼけ顔で、廊下をとことこ歩いて出てきた。一応、お迎えだとわかっているようだ。
俺の姿を見て、むっと不服そうな顔。
「多紀くんは車で寝てるよ。兄さん、今日はありがとね」
「こちらこそ。充実してたよ、なぁ大和。ドッグランで走って、帰ってきてうちで遊んでた」
「俺も物凄く良かったよ……。絶景だった。また宜しく」
「おう」
「あっ、あと俺、車買おうと思うんだけど、スポーツカーってどうなの?」
「狭い。あれこれ邪魔で動きづらい」
「了解」
〈終わり〉
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