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第四章 屋上、夜
一 いい感じの相手
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第四章
屋上。
従業員休憩所。
午後三時。小休憩。
フェンスを背にして紙コップのホットコーヒーを飲んでいると、となりに技術部くんが来たので、俺は片手をあげた。
「お疲れさまでーす」
「お疲れ。神戸で欠員だって?」
「そうなんですよ。技術者一人と総合職一人ほしいみたいです」
人事が調整中~。
神戸支社で二人もやめちゃうらしい。
どこにいっても何をさせても通用するように能力を底上げするのが転々とさせることの目的だけど、時代遅れという意見もあって、昨今の見切りの早い最近の新入社員はすぐ辞めちゃう。
そして人手不足へ……。
人手不足が苦でベテランや若手に辞められてしまい……という悪循環になっていたりする。
それでもうちは給料がよくて、労働環境も悪くなくて、ホワイトなほうだけど。ま、営業所によるか。神戸はちょっときついかな。
「品管から一人?」
「話し早いですね」
「結川かもって聞いたよ。行くの?」
こういう話は回るのが早いんだ。
「……まだ本決まりではないんですけどね」
「寂しくなるじゃん」
「えっ、そんなふうに言ってもらえるんですか!?」
「結川きてから総務と話しやすくなったし。みんな困ってるよ。これから誰に相談すればいいのって」
「うわー、泣きそう」
「泣きたいのはこっちだよ。労務の係長やだよ」
それはそう。
でも、俺がやってる仕事って幅広いけど、誰でもできることだから、重要じゃないんだよね。
支社にいって全体管理するほうがスキルがつくなぁと思ったりして。
実はほぼ決まりで、内示が出てる。いま俺が持っている仕事は、パート社員さんに引き継ぎつつある。個人情報系は係長に。
そして、俺はしばらく本社には戻らなさそうだったりする。
どうしたもんかなぁって考えてたところ。
実はさ、と技術部くん。
「こないだのオクトーバーフェストで、庶務の子といい感じになって……」
「えー! いいじゃないですか!」
テレテレしてる。かなりいい感じっぽい雰囲気だ。俺に報告してくれるんだから、真剣交際が視野に入っているに違いない。
いいじゃん!
さらに一組なるか!?
「でも俺……お恥ずかしながら、こういうの初めてでさ……」
技術職あるある。
結婚相手が初めての交際相手。
「大丈夫! 大丈夫です!」
「へんなことして、嫌われたくないじゃん。俺、前のめりかもって」
「慎重かつ確実にいきましょ!」
「とりあえず、デートに誘おうと思ってさぁ……」
俺は他人をデートに誘った経験はないけど、社内婚活プロジェクトを立ち上げる際に、結婚相談所の本だとか、恋愛指南本などというものを読み漁ったので、恋の駆け引きのアドバイスはできるほうだ。
THE頭でっかち。
そこで、技術部くんと一緒にメッセージの下書きを作って、送るタイミングとか、服装も、参考写真を送ったりする。
弊社の女性社員は、とにかく真面目で、堅実。仕事に対しても意欲的で、しっかりしている。
庶務の子は、見た目はそんなに垢抜けていない眼鏡の子だ。二十五歳だったはず。気配りできるって評判だったな。落ち着いたカップルになりそう。
アプリでさっと趣味を確認。読書とハイキング。
あ、意外とアクティブかも。
「相手に行きたいところを聞いてみて、ないっぽかったら、王道デートでいきましょ」
「聞いてみる!」
「服装は、まずは写真を参考に、主張しないもので。シンプルイズベストです!」
「買い物いくときに相談していい?」
「もっちろん!」
異動前の最後の仕事として、きっちりサポートしたい。
上手くいってもらいたいな。結果的にどうにもならなかったとしても、自信をつけて、次に活かしてもらいたい。
……周りばかり結婚していくなぁ。
屋上。
従業員休憩所。
午後三時。小休憩。
フェンスを背にして紙コップのホットコーヒーを飲んでいると、となりに技術部くんが来たので、俺は片手をあげた。
「お疲れさまでーす」
「お疲れ。神戸で欠員だって?」
「そうなんですよ。技術者一人と総合職一人ほしいみたいです」
人事が調整中~。
神戸支社で二人もやめちゃうらしい。
どこにいっても何をさせても通用するように能力を底上げするのが転々とさせることの目的だけど、時代遅れという意見もあって、昨今の見切りの早い最近の新入社員はすぐ辞めちゃう。
そして人手不足へ……。
人手不足が苦でベテランや若手に辞められてしまい……という悪循環になっていたりする。
それでもうちは給料がよくて、労働環境も悪くなくて、ホワイトなほうだけど。ま、営業所によるか。神戸はちょっときついかな。
「品管から一人?」
「話し早いですね」
「結川かもって聞いたよ。行くの?」
こういう話は回るのが早いんだ。
「……まだ本決まりではないんですけどね」
「寂しくなるじゃん」
「えっ、そんなふうに言ってもらえるんですか!?」
「結川きてから総務と話しやすくなったし。みんな困ってるよ。これから誰に相談すればいいのって」
「うわー、泣きそう」
「泣きたいのはこっちだよ。労務の係長やだよ」
それはそう。
でも、俺がやってる仕事って幅広いけど、誰でもできることだから、重要じゃないんだよね。
支社にいって全体管理するほうがスキルがつくなぁと思ったりして。
実はほぼ決まりで、内示が出てる。いま俺が持っている仕事は、パート社員さんに引き継ぎつつある。個人情報系は係長に。
そして、俺はしばらく本社には戻らなさそうだったりする。
どうしたもんかなぁって考えてたところ。
実はさ、と技術部くん。
「こないだのオクトーバーフェストで、庶務の子といい感じになって……」
「えー! いいじゃないですか!」
テレテレしてる。かなりいい感じっぽい雰囲気だ。俺に報告してくれるんだから、真剣交際が視野に入っているに違いない。
いいじゃん!
さらに一組なるか!?
「でも俺……お恥ずかしながら、こういうの初めてでさ……」
技術職あるある。
結婚相手が初めての交際相手。
「大丈夫! 大丈夫です!」
「へんなことして、嫌われたくないじゃん。俺、前のめりかもって」
「慎重かつ確実にいきましょ!」
「とりあえず、デートに誘おうと思ってさぁ……」
俺は他人をデートに誘った経験はないけど、社内婚活プロジェクトを立ち上げる際に、結婚相談所の本だとか、恋愛指南本などというものを読み漁ったので、恋の駆け引きのアドバイスはできるほうだ。
THE頭でっかち。
そこで、技術部くんと一緒にメッセージの下書きを作って、送るタイミングとか、服装も、参考写真を送ったりする。
弊社の女性社員は、とにかく真面目で、堅実。仕事に対しても意欲的で、しっかりしている。
庶務の子は、見た目はそんなに垢抜けていない眼鏡の子だ。二十五歳だったはず。気配りできるって評判だったな。落ち着いたカップルになりそう。
アプリでさっと趣味を確認。読書とハイキング。
あ、意外とアクティブかも。
「相手に行きたいところを聞いてみて、ないっぽかったら、王道デートでいきましょ」
「聞いてみる!」
「服装は、まずは写真を参考に、主張しないもので。シンプルイズベストです!」
「買い物いくときに相談していい?」
「もっちろん!」
異動前の最後の仕事として、きっちりサポートしたい。
上手くいってもらいたいな。結果的にどうにもならなかったとしても、自信をつけて、次に活かしてもらいたい。
……周りばかり結婚していくなぁ。
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