その冷たいまなざしで

ココ

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紗奈side35

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機嫌の良かった優人さんに 結局両親への挨拶は正社員になってからと渋々了解してもらい 

4月1日 アルバイトとは言え初めての出勤で緊張の面持ちのまま家を出た。

夜の内に家に送ってもらい さようならを言って車からを出る。
その間際 優人さんはキスをしながら

「大丈夫。紗奈を気に入ってくれたんだから そのままで頑張っておいで。」

って魔法をかけた。

あれ?気に入って って...優人さんにカフェでの事まで話したっけ...。
 
あ その魔法はよく効いて 

緊張はしたけど 指導してもらった通りには出来た。

裏口から入り 最初 四十才過位の落ち着いた篠崎さんと言う女性が対応してくれ
「聞いてます。岡崎さんね。よろしく。」


そうやさしく笑顔も見せてくれた。少しほっとしながら二階の更衣室についていくと制服を渡され
着用してから事務室に出る。

着用したのは ベストとキュロット 首もとのリボンがかわいいブラウス。
色が無難なので 意外と誰にでも普通に似合うかも。

外観からも思ってたけど個人のクリニックにしては結構広くて二階はリハビリ室になってる。

1、2階合わせ常時看護師さんでも十人位いて 男の看護師さんも三人ほど。
医師は松井先生だけ。
医療事務は四人いた。

今日の私の仕事は篠崎さんに受付の仕事を教えてもらい 出来るようになること。
受付には診察開始前からどんどん患者さんが入って来て 篠崎さんの後ろで要領を覚える。

松井先生は
診察時間五分前に白衣でなく 水色のさっぱりとした襟のない制服に着替えて さっそうと「松井個室」から出てくる。

皆が口々に おはようございます と頭を下げて言った。

当たり前だけど 松井先生と目が合う事はなく お医者様 って感じの松井さんに距離を感じ。




初日の今日は午前診察のみで 診察は12時過ぎまでかかっていた。
それから何やかやで 制服を着替えたのは1時前。

松井先生に

「岡崎さん ちょっと待ってって。」

と言われ 皆が帰ってからも事務室で待っていると 
小さな声が聞こえた。

この声は...と思い そちらを向くと

幼稚園の制服を来た 大和くんに
「おかざきさん!」とたどたどしくかわいい声で呼ばれた。

うわあ すっごくかわいい...。

四歳児の大和くんに おかざきさん て呼ばれて骨抜きにされ

抱きついてくるんだもん いいよね?いいよね?

と 自分の理性に問いかけてから がばり と抱き締める。
小さな手でぎゅっと抱きついてくるそのかわいさに悶えながら浸っていた。

ふと気がつくと 松井先生が笑いを堪えて見ていて。

松井先生には気がつかないうちに 観察される定めみたい。
恥ずかしくいたたまれなかったので下を向きながら

「お お疲れさまです。すみません。余りにもかわいくて。」

「大丈夫だよ。こちらこそごめんね。大和が凄く会いたがるから。」

それで 待ってって だったんだ。
と理解した。

それを察した松井先生は
「それもあるけど 初日だからね。直接スカウトした身としてはどうだったかと思って。」
と説明してくれた。
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