その冷たいまなざしで

ココ

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紗奈side 40

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車に乗り近くの公園周辺に停車する。

ふう と溜め息をついた優人さんが 先に口を開いた。

「先ず 営業は安部さん以外 男。安部さんって社内では男言葉でしゃべるし36のあの年で部長だから半端なく部下にもキツイ。あんなふうな距離感も今まで無い。」

私は反射的に頭を上げて優人を見る。 
36才には見えないし 部長さん って...

「むかつく位口が悪いし。営業補佐が女性だけど補佐はほぼ定時で帰るし接点も業務以外ほぼ無し。」

優人さんはそこまで言ってからこちらを見た。

「質問があれば先に聞くよ。
無ければ 冷静に聞くから 山根との経緯を教えてほしい。」


質問は頭を整理してから と後まわしにしてもらい
ぽつり ぽつりと 抜けが無いよう 順を追って話していく。

口に出す事で頭が整理される。

ああ 見ようによっては 私って優人さんを不安にするような事をしてたのか...
決して裏切ってないけど 一言言ってれば...

足元をすくわれるような感覚を覚え...。

幾度か溜め息をつかれ びくりとしながらも話終わる。

こちらを見ずに右手を上からぎゅっと握られ。

「山根の件は分かった。仕事に関わる事だけど やっぱりプライベートだし会うときは必ず俺も同席させて。....偶然の時は後でも連絡して。電話も...するなとは言わないけど..」

と絞り出すような声で懇願されるように言われた。

確かに優人さんに一切話さなかったのはよくなかったと今説明しながら罪悪感があったので 迷うことなく頷いた。

「きっかけはお仕事の事だったけど 初めて出来た男のお友だちだったし いい人だったし 恋愛的な意味でなく嬉しかったんです。
でも優人さんに嫌な思いさせてまでしたい訳じゃないんです。
電話の事も..どうしても の時は 優人さんにも言いますね。」

簿記の事は アルバイト先の人に聞こうと思った。

そう言うと優人さんは申し訳なさそうに私の髪の毛をいじりながら

「..ありがとう。」

と言った。

それと 勤務先の医者との事。教えてほしい。」

松井先生の事も慎重に詳しく説明した。

決して裏切った訳ではないけど どうだろう。これも私だったら言ってほしい。それだけで随分違う。タイミングがずれて言い忘れたとはいえ この人と誠実に過ごしていきたいなら...。

途中 溜め息じゃなく 息が止まっているような気配を感じて見上げると 目を見開いて絶句したような表情で眉をよせて。

私も思わず絶句して 少しの沈黙の後 優人さんに促されてどうにか話終えた。


すると 大きな溜め息をついてから 優人さんが無理な姿勢で私を抱きよせ

「...色々反省してる。...最近 焦りすぎてた。紗奈が話をしようとしてるのに邪魔したり...。聞いてくれって言ってたよな。悪かった。これからはもっと話をしよう。...許してくれるか?」

私の顔を覗き込み 私の方こそ罪悪感を抱いていたのに。
謝られて困惑しながらも

「ううん 私の方こそごめんなさい。」

と伝えると 頷いた優人さんは
気を取り直したように ガラリと雰囲気を変えて

「それなら 今の状況で毎日報告義務で譲る。」

そう言って やさしくそうっと キスしながら 力一杯抱き締めた。
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