その冷たいまなざしで

ココ

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優人side 20

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翌朝 漸く収まりかけた頃 紗奈からラインで迎えに来ると言う。
仮眠を取る と言う川辺達に挨拶して部屋を出た。

疲れきっていたけど 喜び勇んで1階の受付フロアの 幾つも並んでいる椅子にスマホを気にしながら座って待つ。

紗奈が着いたら直ぐに会えるように。

すると まだ早朝なのに 違う課の女性が声をかけてきた。
振り向くと ごくりと息を飲んで

「お疲れ様です。あの 営業部大変だったって聞いて。これ良かったら..」

と コーヒーを差し出した。
表情を見て 
ああこれ 受け取ったらダメなやつ なので 手短かにお断りする。

暫くして 受付の子が緊張した面持ちでカフェで買ってきたコーヒーをくれたが さっきのやり取りを見てなかったのか はたまた俺がよっぽど暇にみえるのか。

ちらりと片眉を上げて顔を見る。
どちらにしても期待されると鬱陶しいので 勿論これも分りやすく断った。

もうめんどくさくて 外に出ると 後輩が停車中の車に二人乗っていて
安部さんを待っていると言うので 後部に乗り込んで少し時間潰しに付き合ってもらった。

「速水さん こいつ結婚するんです。」

助手席のやつが言う。
大学の同級生で でき婚らしい。

なるほど でき婚か。
...いやいや それは合意じゃないと流石に駄目だろう。
一瞬 良からぬ方向に考えが至ったが 軌道修正して。
紗奈が望んでくれたらなあ と溜め息をついた。

前の二人が静かになったので少しだけ目を閉じたつもりだったのに

...気がつくと眠り込んでいた。

はっ と気がつくと右肩に重みを感じ
あろうことか 安部さんが寄りかかって寝ていた。

はあ? と声には出さないが嫌悪を隠さず。
振り落とす訳にはいかず深く溜め息をついた。

その時 窓越しに紗奈と目が会い

一瞬にして 迎えに来てもらってたんだ と理解し
このまずい状況に焦った。

紗奈に弁解しようと叫ぶと 
紗奈の目からぽろりと涙がこぼれて。

なのに紗奈は笑っていた。

その表情は 俺の心を締め付けて 紗奈を抱き締めずにはおれず
そして 誰にもそんな紗奈を見せたくなかった。

抱き締めたいのは
紗奈が辛い時 俺が癒して独り占めしたいから。
俺だけを頼って欲しいから。

見せたくないのは 
紗奈の隙のある顔は凄くかわいいくて惹き付けられるから。
紗奈を好きになられたら困るから。


兎に角簡単に挨拶して 
場所がないからと トランクに入れてくれたスーツケースを取り出し 紗奈の肩を抱いて俺の車へ向かう。

頭の片隅に 口の悪い安部さんと関わらせたくない気持ちもあって 直ぐに車を出した。

家までの途中 紗奈は何も言わないけど明らかにおかしくて。

さっきの事が原因なのは明白。

久しぶりに会えるのを あんなに楽しみにしてたのに 暫く泣いた後 紗奈が作り笑顔で俺のキスさえも拒む。  

ー こんなはずじゃあなかったのに。

今日の紗奈は 何だか壊れそうで どうすることも出来なかった。

このままで離れられる訳がなく 

翌日

今日もいてほしい と 約束して仕事に行く。

不安になりながらも 紗奈と一緒に家から出る事が嬉しくて

やっぱりこの幸せを早く手にしたいと思った。
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