LA・BAR・SOUL(ラ・バー・ソウル) 第1章 プロローグ

吉田真一

文字の大きさ
22 / 26
第2章 波乱

第22話 貧血

しおりを挟む
「つまり、夜私のスマホに届いた琢磨君からのLINEもあなたの仕業ってことなのね?!」

「もう言い訳はしないわ......結衣の言う通りよ。多分琢磨君は、結衣のスマホから送った『お別れ』メールだけだったら100パーセントは信じなかったと思う。でも結衣の親友の私からも二重に罠を掛けとけば、きっと琢磨君は信じてくれると思ったの」

「そうだ......確か、結衣から別れようってメールが届いた直後に美也子から電話が掛かって来たんだ。結衣には男が居る......だから今日そのことについて、話しておきたいことが有るから家に行っていいか? って......そんな内容だったと記憶してるぞ。

 結衣からメールが届いた直後に、結衣の親友からそんな電話が来れば誰だって信じるだろう! おい、おい、おい......それ全部ウソだったってことなのか?! お前、それでも人間か?!」

「ええ、全部ウソよ。琢磨君のネクタイがセンス無いとか言ってることも全部真っ赤なウソ! この家で隙見て結衣に『お別れ』LINEを送ったのも私だわ。

 二人に忠告しとくけど、スマホのパスワードを互いの誕生日に設定するの止めた方がいいと思うよ。直ぐに分かっちゃうから。でもこれって......私だけが悪いのかしら? 隙だらけのあなた達にだって、責任が有るんじゃ無いの?」

 完璧な開き直りを見せる美也子だった。確かに少し耳が痛い部分も有るけど、これだけの混乱を招いてる訳なんだから、多少は自重して欲しい気がする。

「正直、さっきは何で『Paul Smith』見て、琢磨君氏があんなに怒ってたのか全然分からなかったんだ。ネクタイのセンスが無いって文句を言ってた元恋人から、ネクタイが届きようものなら、誰でも当て付けだって思うわな。なるほど、そう言う訳だったのか」

 喜太郎さんは一つ謎が解けて、なんだか満足してるみたいだけど......誰が悪くて、誰が良くて、誰が得して、誰が損して......更に言っちゃうと、悲しいのか、嬉しいのか? 私はそれすらも分からなくなっていた。

 振られたと思ってたのは誤解で、実はそうじゃ無かったから、これで一件落着! って、そう簡単に三本締めを行う気にはなれない。今日一日を振り返って見れば、とにかく始終ズタズタに心を切り刻まれ続けてたと思う。

 雪降る並木道で1時間も不安な気持ちで待ち続けたのも辛かったし、琢磨君から届いたお別れLINEも破壊力抜群だった。『LA・BAR・SOUL』で喜太郎さんと繰り広げたトークバトルも何気にボディブローを喰らってたし、ミネラルウォーター4杯も意外とキツかった。ここへやって来た後も、正にショックの連続。今も少し貧血が襲って来てフラフラしてるくらいだ。

 この全てが、誤解だった?! そうなの? きっと......そうなんだろう。ダメダメ、まだ全然頭が付いてってないわ......

「警察呼びたきゃ呼べばいいでしょう! あたしは逃げも隠れもしないわ!」 By ヤケクソの美也子

 あれ、ちょっと不味い......目がクルクル回り始めてるわ。

「マドモアゼル、良かった。苦労した甲斐が有ったな」 By 安堵の喜太郎

 な、なんか、宙を舞ってる......あれ? 床が見えて、天井が見えて、壁が見えて......

「結衣、俺は今、地獄から天国へ戻って来た気がしてる。俺達の未来はこれからだ。また二人でやり直そうぜ!」 By 起死回生の琢磨君

「あっ?!」

 バタンッ! 気付けば私は、床に倒れ落ちていた。下がり始めてた血圧が遂に限界を超えてしまったのだろう。

「たっ、大変だ! 結衣が倒れたぞ!」

 その声は琢磨君......なんか耳の中に水が入ったような聞こえ方だ。

「取り敢えずは、寝かせた方が良さそうだな。琢磨氏、ここからは、君の仕事だぞ」

 その声は喜太郎さん......もうミネラルウォーターはいらないよ。

「そうだな......分かった。おい美也子、何突っ立ってんだ! 結衣をソファーに寝かせるから手伝ってくれ」

 もう誰の声だかも分からない......

「あ。わ、わ、分かった!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...