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五話
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四人で馬車に揺られながら帰路につく。
「二人はなんて名前なの?」
名前を聞いていなかったと思い二人に質問する。
「え…えっと、僕はレイです…」
「私はルミ…」
男の子の方がレイで女の子の方がルミと言うらしい。
話を聞くと二人は双子なんだそうだ。
もっと色々話を聞きたい所だが二人とも疲れ切っているし大人の父様にかなり気を遣っているようなので会話はそのくらいにしておいた。
しばらくすると馬車が止まる。
「さあ着いたよ」
父様が誘導する。
馬車から降りると二人とも固まってしまった。
どうしたのだろう。
「お…城?」
「大きい…」
家の大きさに驚いているようだ。まあ、私も驚いたよ。
「お城ではないけど大きいわよね。びっくりした?」
「は…はい」
レイが小さく返事をする。
「とりあえず中に入りましょう!まず二人は食事とお風呂、それと健康診断もしてもらいましょう」
そう言って家の中に促した。
二人は少し怯えながらも私の言う通りに足を踏み入れた。
「綺麗…」
ルミが家の装飾などをみて呟いた。
ちなみにいつもは使用人などが迎えてくれるが二人が縮こまってしまいそうだったので予めやめるよう言っておいた。
「ムナハン!」
母様だ。夫人に似つかわしくない走りを見せている。
「ティアが連れてきたというのはこの子達?」
「そうだよ。メルリスは反対かい?」
「…。あなたが許可を出したのなら私は反対しませんわ」
意外と母様もすんなり受け入れてくれた。
いや、受け入れたというよりは父様の意見に従ったということかもしれないが。
「父様、母様。まずは二人に消化の良い食べ物をいただけませんか?」
「そうだね…食事の準備を」
自分の従者に指示を出した父様は私を見た。
「ティア、しっかりしたね」
「そ…そうですか?」
「父様嬉しい!」
父様は本当に娘に甘いようだ。大丈夫だろうか。妹のミルファにも甘々だからね。
しばらくすると食事の準備が出来たようなので使っていない客間に運んでもらった。
人がいるところは落ち着かないので避けた。
「ゆっくり食べてね!急いで食べると胃がびっくりしちゃうかもしれないわ」
二人の前には鶏肉の入った薄味のスープと柔らかなパンが並べられた。
「…えっと」
目を輝かせたもののスプーンを取る気配がない。どうしたんだろうと思って見ているとおずおずとレイが言った。
「あの…僕らその、マナーとか…」
そんなこと気にしなくても良いのに。
こんな状況なのにマナーの事など考えられる二人はすごい。
私なら忘れて食べるだろう。
「今はそんな事気にしないで食べて!今度少しずつ一緒に勉強しましょう」
「は…はい。いただきます。」
それでも躊躇うのでそれなら私が食べさせるわよ!と言えばやっと二人は食べ出した。
「美味しい…」
「あったかいね」
レイとルミは少しずつスープとパンを口に運んでいく。
マナーを知らないと言った割には綺麗に食べていた。
「ご馳走さまです」
食べ終わった二人は少しだけ顔色が良くなった気がする。よかった。
「じゃあ、次はお風呂ね!皆さんよろしくお願いします」
指示を出すと後ろに控えていた侍女達がやって来て二人を連れて行く。驚いて逃げようとするが優秀な侍女達の前では無意味な抵抗となった。行ってらしゃいと手を振れば助けてと目で訴えていたがそこは無視をした。
目が潤んでいてちょっと可愛いと思ったのは秘密だ。
「二人はなんて名前なの?」
名前を聞いていなかったと思い二人に質問する。
「え…えっと、僕はレイです…」
「私はルミ…」
男の子の方がレイで女の子の方がルミと言うらしい。
話を聞くと二人は双子なんだそうだ。
もっと色々話を聞きたい所だが二人とも疲れ切っているし大人の父様にかなり気を遣っているようなので会話はそのくらいにしておいた。
しばらくすると馬車が止まる。
「さあ着いたよ」
父様が誘導する。
馬車から降りると二人とも固まってしまった。
どうしたのだろう。
「お…城?」
「大きい…」
家の大きさに驚いているようだ。まあ、私も驚いたよ。
「お城ではないけど大きいわよね。びっくりした?」
「は…はい」
レイが小さく返事をする。
「とりあえず中に入りましょう!まず二人は食事とお風呂、それと健康診断もしてもらいましょう」
そう言って家の中に促した。
二人は少し怯えながらも私の言う通りに足を踏み入れた。
「綺麗…」
ルミが家の装飾などをみて呟いた。
ちなみにいつもは使用人などが迎えてくれるが二人が縮こまってしまいそうだったので予めやめるよう言っておいた。
「ムナハン!」
母様だ。夫人に似つかわしくない走りを見せている。
「ティアが連れてきたというのはこの子達?」
「そうだよ。メルリスは反対かい?」
「…。あなたが許可を出したのなら私は反対しませんわ」
意外と母様もすんなり受け入れてくれた。
いや、受け入れたというよりは父様の意見に従ったということかもしれないが。
「父様、母様。まずは二人に消化の良い食べ物をいただけませんか?」
「そうだね…食事の準備を」
自分の従者に指示を出した父様は私を見た。
「ティア、しっかりしたね」
「そ…そうですか?」
「父様嬉しい!」
父様は本当に娘に甘いようだ。大丈夫だろうか。妹のミルファにも甘々だからね。
しばらくすると食事の準備が出来たようなので使っていない客間に運んでもらった。
人がいるところは落ち着かないので避けた。
「ゆっくり食べてね!急いで食べると胃がびっくりしちゃうかもしれないわ」
二人の前には鶏肉の入った薄味のスープと柔らかなパンが並べられた。
「…えっと」
目を輝かせたもののスプーンを取る気配がない。どうしたんだろうと思って見ているとおずおずとレイが言った。
「あの…僕らその、マナーとか…」
そんなこと気にしなくても良いのに。
こんな状況なのにマナーの事など考えられる二人はすごい。
私なら忘れて食べるだろう。
「今はそんな事気にしないで食べて!今度少しずつ一緒に勉強しましょう」
「は…はい。いただきます。」
それでも躊躇うのでそれなら私が食べさせるわよ!と言えばやっと二人は食べ出した。
「美味しい…」
「あったかいね」
レイとルミは少しずつスープとパンを口に運んでいく。
マナーを知らないと言った割には綺麗に食べていた。
「ご馳走さまです」
食べ終わった二人は少しだけ顔色が良くなった気がする。よかった。
「じゃあ、次はお風呂ね!皆さんよろしくお願いします」
指示を出すと後ろに控えていた侍女達がやって来て二人を連れて行く。驚いて逃げようとするが優秀な侍女達の前では無意味な抵抗となった。行ってらしゃいと手を振れば助けてと目で訴えていたがそこは無視をした。
目が潤んでいてちょっと可愛いと思ったのは秘密だ。
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