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2#1 月の花―gekka―
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『家出人』て知ってますか?
なんと今のメンバーはたったの四人。二年前の事件であっという間に二人も減ってしまったそうです。
いろいろな事情で家を飛び出し、当時全員中学生ながらも小さな2LDKのアパートで三人暮らしていました。
途中で二人増え、一人増え。――そして一人連れ戻され、一人自立していきました。
中学生の分際で家出するなんて、信じられない事だとは思いますが、彼らは彼らなりに真剣でした。
当時のリーダーは受験生であったのにも関わらず、可愛い後輩の為に家出を決意しました。
現リーターカツイはその当時、中学一年生でした。
そして今、カツイは当時のリーダー、ユキと同じ中学三年生になりました。
受験まっただ中の今日この頃――
「こらぁ! カツイ! トバ!」
二人は軽々と窓から外に飛び出す。生活指導主任の竹石は二人を追いながら同様に外へ飛び出そうとしたが、自分の年齢を考えてすぐ脇の扉から出ることにした。しかし竹石が外に出てくるまで、二人が大人しく待っているわけがなく、竹石がようやく校庭に出てきた時、カツイとトバは追いつけそうもない場所まで走っていた。
受験シーズンともなり、他の生徒は高校見学などに走りまわっているというのに、カツイとトバの二人は進学する気が全く無く、三者面談もサボる始末。二年前、二人が家出したと聞いた時も、事情を聞こうとして逃げられ、それから二年間家に帰ったという報告がない。
「待てというのが分からんのか!!」
走っていく二人を見る他の生徒の目も、いつの間にか二人を応援するようになっていた。
「あ、カツイとトバだ~」
「よくやるよアイツらも」
二人が現在も家出中だという事を知ってか知らずか、誰一人二人を止めようとする者はいなかった。
「待てって言われて待つ位なら最初っから逃げないって!」
二人仲良く竹石に向けて舌を出すと、校舎の中に入っていった。息を切らせた竹石のスピードは徐々に遅くなり、やがてその場に立ち止まる。カツイとトバの二人をいつもの事のように応援する生徒達の中、たった一人だけ二人をただ黙って見つめている少年がいた。
晴れ渡った午後、一般生徒は立ち入り禁止の屋上にカツイとトバはいた。
朝、近所のコンビニで勝った菓子パンの袋を破りながら、カツイはタイルに寝転がる。
「いい天気だな」
「うん」
トバはカツイの横にそっと座る。まさに雲一つない青空。残暑を漂わせる風に、トバはそっと目を瞑る。
「アイツにも……こんな空、見せてやりたかったな」
ゴロンとカツイは横を向く。カツイの背中を見て、息を飲む。カツイの信じられない一言に。聞いてはいけない。しかし、口が勝手に動いてしまう。
「カツイくん……?」
「んあ?」
振り返ったカツイの瞳を見て、トバはギクリとする。自分からすぐに視線をそらしてしまう。
「何でもない……」
不思議そうな目でトバを見るカツイ。そんな二人に突然背後から声がかかる。
「カツイ先輩、トバ先輩」
「!?」
扉に鍵を掛け忘れていた事を思い出すトバ。それもそのはず、一般生徒は立ち入り禁止のこの屋上
。もし仮に上がってくる者がいたとしたら、それは教師にしか思えなかった。が、しかし二人の目に留まったのは意外な人物だった。
「初めまして。ぼく一年のゲッカって言います」
ニッコリと微笑むその人物は、学生服を着ていた男子生徒だったが、天然パーマがかかった茶色い髪に、女の子の様に大きな瞳。とても男とは思えなかった。二人は顔を見合わせ、少年に何を言ったら良いのか考えた。
「えっと……ゲッカくん?」
「はいっ」
「僕達に何か用?」
トバはニッコリとゲッカに微笑む。すかさずゲッカもニッコリと微笑み返す。
「ぼく『家出人』の仲間になりたいんです」
「はぁ?」
晴れ渡った昼下がり。カツイとトバの止まったままの時計が今、再び動き出す。
なんと今のメンバーはたったの四人。二年前の事件であっという間に二人も減ってしまったそうです。
いろいろな事情で家を飛び出し、当時全員中学生ながらも小さな2LDKのアパートで三人暮らしていました。
途中で二人増え、一人増え。――そして一人連れ戻され、一人自立していきました。
中学生の分際で家出するなんて、信じられない事だとは思いますが、彼らは彼らなりに真剣でした。
当時のリーダーは受験生であったのにも関わらず、可愛い後輩の為に家出を決意しました。
現リーターカツイはその当時、中学一年生でした。
そして今、カツイは当時のリーダー、ユキと同じ中学三年生になりました。
受験まっただ中の今日この頃――
「こらぁ! カツイ! トバ!」
二人は軽々と窓から外に飛び出す。生活指導主任の竹石は二人を追いながら同様に外へ飛び出そうとしたが、自分の年齢を考えてすぐ脇の扉から出ることにした。しかし竹石が外に出てくるまで、二人が大人しく待っているわけがなく、竹石がようやく校庭に出てきた時、カツイとトバは追いつけそうもない場所まで走っていた。
受験シーズンともなり、他の生徒は高校見学などに走りまわっているというのに、カツイとトバの二人は進学する気が全く無く、三者面談もサボる始末。二年前、二人が家出したと聞いた時も、事情を聞こうとして逃げられ、それから二年間家に帰ったという報告がない。
「待てというのが分からんのか!!」
走っていく二人を見る他の生徒の目も、いつの間にか二人を応援するようになっていた。
「あ、カツイとトバだ~」
「よくやるよアイツらも」
二人が現在も家出中だという事を知ってか知らずか、誰一人二人を止めようとする者はいなかった。
「待てって言われて待つ位なら最初っから逃げないって!」
二人仲良く竹石に向けて舌を出すと、校舎の中に入っていった。息を切らせた竹石のスピードは徐々に遅くなり、やがてその場に立ち止まる。カツイとトバの二人をいつもの事のように応援する生徒達の中、たった一人だけ二人をただ黙って見つめている少年がいた。
晴れ渡った午後、一般生徒は立ち入り禁止の屋上にカツイとトバはいた。
朝、近所のコンビニで勝った菓子パンの袋を破りながら、カツイはタイルに寝転がる。
「いい天気だな」
「うん」
トバはカツイの横にそっと座る。まさに雲一つない青空。残暑を漂わせる風に、トバはそっと目を瞑る。
「アイツにも……こんな空、見せてやりたかったな」
ゴロンとカツイは横を向く。カツイの背中を見て、息を飲む。カツイの信じられない一言に。聞いてはいけない。しかし、口が勝手に動いてしまう。
「カツイくん……?」
「んあ?」
振り返ったカツイの瞳を見て、トバはギクリとする。自分からすぐに視線をそらしてしまう。
「何でもない……」
不思議そうな目でトバを見るカツイ。そんな二人に突然背後から声がかかる。
「カツイ先輩、トバ先輩」
「!?」
扉に鍵を掛け忘れていた事を思い出すトバ。それもそのはず、一般生徒は立ち入り禁止のこの屋上
。もし仮に上がってくる者がいたとしたら、それは教師にしか思えなかった。が、しかし二人の目に留まったのは意外な人物だった。
「初めまして。ぼく一年のゲッカって言います」
ニッコリと微笑むその人物は、学生服を着ていた男子生徒だったが、天然パーマがかかった茶色い髪に、女の子の様に大きな瞳。とても男とは思えなかった。二人は顔を見合わせ、少年に何を言ったら良いのか考えた。
「えっと……ゲッカくん?」
「はいっ」
「僕達に何か用?」
トバはニッコリとゲッカに微笑む。すかさずゲッカもニッコリと微笑み返す。
「ぼく『家出人』の仲間になりたいんです」
「はぁ?」
晴れ渡った昼下がり。カツイとトバの止まったままの時計が今、再び動き出す。
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