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第24話 王国からの使者到着
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第24話 王国からの使者到着
カフェの朝の営業が終わった頃、村の入り口が騒がしくなった。
豪華な馬車が二台、王国の紋章を掲げてゆっくりと入ってくる。
馬車を囲むように、王都の正規騎士が十人ほど。
村人たちがざわつき、子供たちが駆け寄って見てくる。
私はエプロンを外しながら、店から出て行った。
「……王都から?」
レオンがいつもの席から立ち上がり、私の隣に立つ。
カイルが騎士団を整列させ、警戒態勢。
シルヴィオが森から現れ、リオも馬車を停めて様子を見に来た。
四人が自然と私の周りに集まる。
馬車がカフェの前に止まり、扉が開いた。
降りてきたのは、見覚えのある顔――
王太子セシルの側近、宮廷魔導士の老侯爵だった。
ゲームでは、婚約破棄イベントでセシルを補佐していた人物。
老侯爵は杖をつき、私の前に進み出た。
「エレナ・フォン・クラリス殿。久しぶりですな」
私は優雅にお辞儀をした。
「ご無沙汰しております。突然のご訪問、何のご用でしょうか?」
老侯爵は少し疲れた顔で、手紙の束を取り出した。
「王太子殿下より、お手紙です」
封蝋に王家の紋章。
私は受け取り、開封した。
内容は――
『エレナ、
近頃、辺境で君が素晴らしい店を開いていると聞いた。
魔力回復のスイーツとは、興味深い。
王国も危機的状況にある今、君の力が必要だ。
ぜひ王都へ戻り、宮廷でその技術を披露してほしい。
マリアも楽しみにしている。
セシル』
要約すると、「戻ってきてくれ。国が大変だから君のスイーツが必要」。
私はため息をついた。
(今更……)
老侯爵が続けた。
「王太子殿下は、エレナ殿の才能を高く評価しておられます。
聖女マリア様の魔力も最近不安定で、王国全体の魔力供給が不足気味です。
あなたのスイーツが、解決の鍵になると――」
村人たちがざわつく。
「エレナお嬢様を、王都へ連れ戻す気か?」
「そんなの嫌だよ!」
子供たちが泣きそうな顔。
レオンが一歩前に出て、無表情で老侯爵を睨んだ。
「……エレナは、ここで幸せに暮らしている」
カイルがクールに。
「王国からの命令か? だったら正式な文書を見せてもらおう」
シルヴィオがツンとして。
「人間の都のことなんて知らないが、お前のプリンがなくなるのは困る」
リオが陽気に、でも少し鋭く。
「エレナは俺たちの大事な仲間だぜ。勝手に連れてくなんて、許さないよ」
老侯爵が少したじろいだ。
私は手紙を閉じ、微笑んだ。
「殿下のお心遣い、ありがたく存じます。
でも、私はここで幸せに暮らしています。
カフェも、村も、みんなも、私の大切な場所です」
老侯爵が目を丸くした。
「しかし、王国の危機ですぞ。クラリス公爵家としても――」
「父上には、もう縁を切られています。
私はもう、クラリス家の人間じゃありません。ただのエレナです」
私はきっぱりと言った。
「スイーツのレシピなら、必要ならお渡しします。
でも、私自身はここを離れません」
老侯爵が困った顔で。
「……それは、殿下にどうお伝えすれば」
「そのままお伝えください。
『私はここで幸せなので、結構です』と」
村人たちが歓声を上げた。
レオンが小さく口角を上げ、カイルが頷き、シルヴィオがホッとした顔、リオがガッツポーズ。
老侯爵はため息をつき、手紙をしまった。
「……わかりました。殿下には、正直にお伝えします」
馬車が去っていく。
王都からの使者は、何も得ずに帰った。
私は四人と村人たちに囲まれ、笑った。
「みんな、ありがとう。守ってくれて」
レオンがぽつりと。
「……お前がここにいるのが、一番だ」
他の三人からも、同じような視線。
王国は後悔し始めている。
でも、私はもう戻らない。
この辺境で、みんなと一緒に、甘い毎日を生きる。
そう決めた、手紙の日の午後だった。
カフェの朝の営業が終わった頃、村の入り口が騒がしくなった。
豪華な馬車が二台、王国の紋章を掲げてゆっくりと入ってくる。
馬車を囲むように、王都の正規騎士が十人ほど。
村人たちがざわつき、子供たちが駆け寄って見てくる。
私はエプロンを外しながら、店から出て行った。
「……王都から?」
レオンがいつもの席から立ち上がり、私の隣に立つ。
カイルが騎士団を整列させ、警戒態勢。
シルヴィオが森から現れ、リオも馬車を停めて様子を見に来た。
四人が自然と私の周りに集まる。
馬車がカフェの前に止まり、扉が開いた。
降りてきたのは、見覚えのある顔――
王太子セシルの側近、宮廷魔導士の老侯爵だった。
ゲームでは、婚約破棄イベントでセシルを補佐していた人物。
老侯爵は杖をつき、私の前に進み出た。
「エレナ・フォン・クラリス殿。久しぶりですな」
私は優雅にお辞儀をした。
「ご無沙汰しております。突然のご訪問、何のご用でしょうか?」
老侯爵は少し疲れた顔で、手紙の束を取り出した。
「王太子殿下より、お手紙です」
封蝋に王家の紋章。
私は受け取り、開封した。
内容は――
『エレナ、
近頃、辺境で君が素晴らしい店を開いていると聞いた。
魔力回復のスイーツとは、興味深い。
王国も危機的状況にある今、君の力が必要だ。
ぜひ王都へ戻り、宮廷でその技術を披露してほしい。
マリアも楽しみにしている。
セシル』
要約すると、「戻ってきてくれ。国が大変だから君のスイーツが必要」。
私はため息をついた。
(今更……)
老侯爵が続けた。
「王太子殿下は、エレナ殿の才能を高く評価しておられます。
聖女マリア様の魔力も最近不安定で、王国全体の魔力供給が不足気味です。
あなたのスイーツが、解決の鍵になると――」
村人たちがざわつく。
「エレナお嬢様を、王都へ連れ戻す気か?」
「そんなの嫌だよ!」
子供たちが泣きそうな顔。
レオンが一歩前に出て、無表情で老侯爵を睨んだ。
「……エレナは、ここで幸せに暮らしている」
カイルがクールに。
「王国からの命令か? だったら正式な文書を見せてもらおう」
シルヴィオがツンとして。
「人間の都のことなんて知らないが、お前のプリンがなくなるのは困る」
リオが陽気に、でも少し鋭く。
「エレナは俺たちの大事な仲間だぜ。勝手に連れてくなんて、許さないよ」
老侯爵が少したじろいだ。
私は手紙を閉じ、微笑んだ。
「殿下のお心遣い、ありがたく存じます。
でも、私はここで幸せに暮らしています。
カフェも、村も、みんなも、私の大切な場所です」
老侯爵が目を丸くした。
「しかし、王国の危機ですぞ。クラリス公爵家としても――」
「父上には、もう縁を切られています。
私はもう、クラリス家の人間じゃありません。ただのエレナです」
私はきっぱりと言った。
「スイーツのレシピなら、必要ならお渡しします。
でも、私自身はここを離れません」
老侯爵が困った顔で。
「……それは、殿下にどうお伝えすれば」
「そのままお伝えください。
『私はここで幸せなので、結構です』と」
村人たちが歓声を上げた。
レオンが小さく口角を上げ、カイルが頷き、シルヴィオがホッとした顔、リオがガッツポーズ。
老侯爵はため息をつき、手紙をしまった。
「……わかりました。殿下には、正直にお伝えします」
馬車が去っていく。
王都からの使者は、何も得ずに帰った。
私は四人と村人たちに囲まれ、笑った。
「みんな、ありがとう。守ってくれて」
レオンがぽつりと。
「……お前がここにいるのが、一番だ」
他の三人からも、同じような視線。
王国は後悔し始めている。
でも、私はもう戻らない。
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そう決めた、手紙の日の午後だった。
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