婚約破棄された悪役令嬢は、辺境でスイーツカフェをオープンしたらイケメンたちに溺愛されました

霧島

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第25話 新メニュー・チョコレートパフェ

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第25話 新メニュー・チョコレートパフェ

リオが持ってきてくれた特別上等のカカオ豆が、厨房に山盛りになった日。

私は朝から張り切って、新メニューの開発に取りかかった。

「今日は……チョコレートパフェを作ろう!」

この世界にはまだない、高級感たっぷりのグラスデザート。

底にガトーショコラのクランブル、その上にチョコレートアイスクリーム(魔法の保冷箱で冷やした特製)、チョコレートムース、生クリーム、チョコソース、そして仕上げにマナベリーとカカオニブを散らす。

グラスいっぱいに層を重ねて、見た目も豪華に。

試作が三つ完成した頃、店が開店。

最初のお客様は、もちろんレオン様。

いつもの窓際席に座り、無言でメニューを待つ。

「レオン様、今日は新作のチョコレートパフェです。濃厚なので、レオン様好みだと思います」

私は背の高いグラスを運んだ。

レオンがスプーンを入れ、一口。

灰色の瞳が、わずかに見開かれる。

「……深い味だ」

フォークじゃなくロングスプーンで、ゆっくりと層を崩しながら食べる。

半分食べたところで、珍しく二言。

「これも、毎日食いたい」

(またそのセリフ!)

私は内心で胸キュンしながら、笑顔で頷いた。

午前中の客が引けた頃、カイル様が護衛の合間に来店。

「今日のおすすめは?」

「チョコレートパフェです!」

カイルはクールに一口。

金色の瞳が、静かに輝く。

「……チョコレートの苦みと甘みが、完璧に調和している」

そして、珍しくおかわりを注文。

「もう一つ」

(カイル様もハマった!)

夕方、シルヴィオがいつものように森から現れた。

「新しいもの、できたって聞いたぞ」

ツンとした態度だけど、耳が期待でピクピク。

「はい、チョコレートパフェです。甘めだけど、苦みもある大人な味ですよ」

シルヴィオはグラスを見て、最初は渋い顔。

「……こんなに層が多いなんて、見た目が派手すぎる」

と言いつつ、スプーンを入れる。

一口目。

「!!」

耳がびくんと跳ね上がり、頬が真っ赤に。

二口目、三口目……スプーンが止まらない。

「な、何だこれは……! チョコレートがこんなに滑らかで、甘くて、苦くて、冷たくて……!」

独り言が止まらず、グラスを空にした瞬間、シルヴィオが悶絶したようにテーブルに突っ伏した。

「……はあ……はあ……魔力が変だ……頭が溶けそう……」

甘いもの弱体化、過去最高レベル。

私は慌てて水を運んだ。

「シルヴィオ、大丈夫!?」

シルヴィオが顔を上げ、耳を真っ赤にしながら。

「……お、お前……こんな凶悪なもの作るなんて……!」

と言いつつ、追加を小声で注文。

「もう……一つだけ、頼む……」

結局、三杯目を完食。

立ち上がるとき、足元がふらついて、私に寄りかかりそうになった。

「近づくな! ……いや、別に嫌いじゃないが……」

ツンデレ全開で森へ逃げ帰っていった。

夜の片付け中、リオが仕入れの残りを運びがてら来店。

「エレナ! 新しいチョコパフェ、俺にも食わせてくれよ!」

試食用のミニサイズを渡すと、リオは尻尾を高速で振って大興奮。

「うおおおお!! 層がすごい! 味がすごい! エレナ、結婚してくれ!!」

大声で叫んで、周りの村人たちがどよめく。

私は真っ赤になって笑った。

「リオ、冗談ばっかり!」

でも、リオは本気で目を輝かせてる。

チョコレートパフェは、初日で完売。

特にシルヴィオの悶絶が村中に広まり、「凶悪スイーツ」として話題に。

常連四人の好みが、また一つ増えた。

レオンは濃厚チョコ。

カイルはバランスの取れた層。

シルヴィオは甘くて冷たいデザート。

リオは豪華でボリュームのあるもの。

私は新しいノートに、みんなの反応を書き込んだ。

王国がどんなに後悔しようと、私はここで、みんなを甘やかす。

チョコレートパフェの甘い香りが、厨房に残る夜。

私の辺境生活は、今日も最高に甘い。

そう思った、パフェの完成日だった。

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