『カード召喚学園 〜異能力の無駄遣いで美少女が実体化した件〜

霧島

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2-2「魔力を吸う魔導機(

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2-2 魔力を吸う魔導機(自販機事件)

 

翌日。
昨日の「トヨタ事件」がSNSで拡散され、カイは登校途中、すれ違う生徒たちからひそひそと噂されていた。

> 「あれって、あのニュースの人じゃね?」
「銀髪の美人といたやつ? やば、リアルで異世界ハーレムかよ」
「うらやま……いや、怖すぎ」



カイは耳を塞ぎたい気分だった。
隣を歩くルナは、当然そんなこと気にも留めない。
むしろ胸を張って誇らしげだ。

> 「主、我らの戦果が国中に伝わったようですね!」
「伝わっていい戦果じゃないんだよ!」



朝から胃が痛い。
昨日、真白から「次トラブル起こしたら絶交だからね」と釘を刺されたばかりだ。
だが、ルナに常識を教えることの難易度は、ドラゴン級だった。

 

登校途中、ルナが急に足を止めた。
その視線の先には、学校近くの自動販売機が立っていた。

ガタン、と音を立ててジュースが落ちる。
それを見たルナの表情が一変する。

> 「主……見ましたか? あの魔導装置、人間の金貨を吸い取りました!」
「……いや、買っただけだから。」
「魂の代償ではないのですか!?」
「違うぅぅぅ!!!」



通行人の高校生が硬貨を入れ、ペットボトルを取り出すたびに、ルナは剣の柄に手をかける。
そのたびにカイは慌てて止めた。

> 「待て待て待て! それは“自販機”! 人の代わりに飲み物を売ってくれる便利なやつ!」
「つまり、商人型の魔導ゴーレム……!」
「そんな物騒な言い方すんな!」



ルナは真剣そのものだ。
彼女の世界では金属製の自動装置など存在せず、魔力で動く魔導人形がせいぜい。
つまり、自販機=無人の魔導商人に見えるのだろう。

> 「主、この魔導機は魂を吸うのですか?」
「吸わない。金だけ。」
「金!? 主の財産を!? それは強盗では!?」
「違う! 代わりにジュースをくれるの!」
「ジュース……? 魔力水の一種ですか?」
「まぁ……そんな感じ。」



ルナはしばらく観察していたが、やがて決意を固めた顔で宣言した。

> 「……主、私が身をもって確認いたします。」
「え? いや、やめとけって!」



止める間もなく、ルナは胸元の袋から取り出した――
金貨を一枚。

> 「ルナ!? おいそれ円じゃないって!!」



硬貨投入口に、金ピカの硬貨を突っ込もうとする。

> 「あっ、ちょ、入らない! 入らないって!」



カイが慌てて手を掴むが、すでに注目を集めていた。
近くの学生たちがスマホを向けてくる。

> 「やべー、またあのコスプレ女だ」
「昨日のニュースの人じゃね?」



> 「主、魔導機が拒絶反応を示しました。私の魔力が強すぎるせいでしょう」
「違う! 金貨なんて日本の自販機で使えねぇの!」
「では、どうすればこのゴーレムは従うのです?」
「百円玉!!!」



カイはポケットから百円を取り出して渡した。
ルナは慎重にそれを見つめ、うやうやしく両手で持ち上げる。

> 「これが、この国の通貨……。
 ――我が命より軽い貨幣よ、いざ、魔導機に捧げん!」
「やめて! なんか儀式っぽくするのやめて!!!」



チャリン。
ガコン。

ジュースが落ちた。

ルナはびくっと体を硬直させた。

> 「出た!? 何か出ました! 討伐成功ですか!?」
「違う! 商品だよ! それ飲むんだよ!」
「飲む……? 魔導機の体液……?」
「体液言うな!!!」



興味津々のルナは、ペットボトルを開けて匂いを嗅ぐ。
そして――ごくり。

次の瞬間、目を見開いた。

> 「……な、なんと甘露! 神の泉ではありませんか!」
「だから体液じゃねぇっての!」



感動のあまり、ルナは両手を掲げて叫んだ。

> 「主! この世界の魔導機は、人を襲うどころか、慈悲を与えるのですね!」
「おおげさすぎる!!!」



周囲の生徒が拍手していた。
中にはスマホで動画を撮っている者も。

> 「おい、また撮られてる! ネットに上がるぞ!」
「主、民が見ているのです。恥じることはありません!」
「恥じるよぉぉぉぉ!!!」



 

数時間後――
学園の昼休み。
案の定、「#魔導機事件」「#自販機女騎士」がトレンド入りしていた。

> 「主、これは“人気”というものでしょうか?」
「違う! 炎上って言うんだよ!!!」



真白が購買でパンを買って戻ってきた。
スマホを見ながら呆れたように言う。

> 「あんた、もう完全にバズってるわよ。“実写版ソシャゲ”ってタグまである」
「やめてぇぇぇぇ……」



ルナは満面の笑みを浮かべる。

> 「主、我らはこの国で勇名を馳せましたね!」
「悪名だよぉぉぉ!!!」



真白はパンを齧りながら冷静に分析する。

> 「まぁ、でもちょっと人気出てるよ? “女騎士かわいい”ってコメント結構ある」
「……マジで?」
「うん、写真も出回ってるし、ファンアートまで上がってる」



ルナは嬉しそうに目を輝かせた。

> 「主! これは名誉の証です!」
「名誉じゃない! 俺が恥ずかしいんだ!!!」



教室の窓の外では、木々が揺れ、風が心地よかった。
それでもカイの心は嵐の真っ只中だった。

> 「はぁ……次は頼むから何も壊さないでくれよ……」
「はい、主。今度は慎重に観察します。」



そう言ってルナが笑う。
だが、カイは知る由もなかった。
――その「慎重な観察」が、さらなる大事件を引き起こすことを。

次なる騒動の名は、後にこう呼ばれる。

> 『洗濯機バトル・インシデント』



まだ誰も、それが始まる前兆であることに気づいていなかった。

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