あの夏は残ってる

柊 凪

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あの夏は残ってる

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その日はとても疲れていたんです。
8月の頭でした。

久しぶりに家族で旅行しました。フェリーで海を越え車で山を越えたんです。

大きな旅館でした。
部屋も綺麗で入った瞬間畳の香りが鼻につきました。

温泉にも入って美味しい食事を食べて…10時を過ぎた頃には布団に入っていました。



そして、ある夢を見たんです。



何もない白い空間に私はいました。
床に座って何故かゲームをしていました。
その時ふと、『今日は何月何日だ?』と言う言葉が脳裏を横切りました。
私の目の前には長い黒髪で顔の隠れた女性が佇んでいたんです。白くてボロボロのワンピースを着ていました。

咄嗟に私はその女性に訪ねました。
「今日は何月何日ですか?」

女性は口だけを動かしました。
なので、本来私にその声は聞こえるはずが無いのです。
しかし、か細い女性の声がしっかり耳に入りました。
「…今日は…8月15日…」




そこで目が覚めました。
いつもと何ら変わりない目覚めでした。
私は基本、その時見た夢を起きて直ぐまでは覚えています。でも時間が経てば自然に忘れてしまいます。
しかし、特例もありました。印象に残った夢だけはかなり鮮明に何年も覚えてられたんです。
その日の夢もそれに当てはまりました。

しかし不思議な点がありました。
私が夢を見たその日は、確実に8月15日ではありません。
8月1日~5日辺りだった筈です。

どうしてもその夢が忘れられず、家に帰ってから父にその夢の話をしました。
お酒を飲んで笑っていた父は笑うのをやめ、私に一つだけ教えてくれました。
「8月15日はな、終戦の日なんだよ」





そう言われるとその時の私の頭でも勝手に考察が出来ました。
私が行った場所は戦時中、原爆が投下された地だったんです。







これは私が経験した何年か前のある夏の日のお話です。
女性が何故私に 8月15日 と言ってくれたのか、本当の真相は勿論分かりません。

でも、私の思い描く答えが合っているのであれば、私は学んだことを後世に語り継ぐべきだと思いました。

そんな私のいつかのお話です。
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