魔法紹介者が人々を救うお話

トモヒロ69

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第1章

第2話 記憶を消せる魔法

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 久しぶりのお客さんはとても若い女性だった。20代前半くらいだろうか、背が女性にしてはかなり高く、キリッとした顔立ちでとても美人な人だった。

「ここが魔法紹介屋ですか?」

 そんなに大きな声ではないが店の中が静かなためよく響く。

「うちはカフェなので違いますよ。」

 この仕事の鉄則として、まずは人を疑うことから始める。もし政府のスパイだったとしたら困るからだ。

「その魔法紹介屋というのはなんです
か?」

 ルカが片付けをする手を止めて聞く。もちろんルカにもこのルールは伝えてある。すると女性は、

「おかしいわね。この店と聞いたんだけ
ど。」

「それでどういうお店なんですか?」

 自分も質問してみる。

「その名の通り魔法を紹介してくれるお店よ。」

「普通自分の魔法って変えることができま
せんよね?」

「それがなんでもできるらしいのよ。」

「立ち話もあれですし、座ってくださいよ。」

 ルカがそう言うと女性はカウンターに静かに座った。

「何か飲みますか?」

「じゃあコーヒーをお願い。」

「因みにあなたはどんな魔法なんです
か?」

 少し質問をしてみた。

「人の記憶を消す魔法よ。消せる内容は1人1つだけだけど。」

 ルカが女性にコーヒーを出した。そのコーヒーを女性が一口飲む。

「私最近知ったんだけど、強い魔法を持つ人って政府に連れて行かれるんでしょ?」

 政府に連れて行かれるということは基本的には魔法が使えるようになった日に親などから教えられる。正直なところ記憶を消すことができる魔法が政府の実験台になかどうかは微妙なところだ。

 話してる感だと政府のスパイというわけではなさそうだ。そして最後の質問をする。

「あなたはどこで魔法紹介屋の話を聞いたんですか?」

 もし政府の人間だとすればこのカフェの近くの店から聞いたなどと言う。これは絶対にありえない。一度魔法を変えた人間はこの近くには入れないような細工をしてある。ルカは例外だが。そしてどんな店だったかも言えないようになる。そして女性はこう言う。

「私の年上のいとこが言ってたわ。」

「因みにどこ出身ですか?」

「ニール区よ。」

 ニール区はここからかなり離れたところにある町だ。これでこの女性は政府のスパイの可能性はかなり低い。

「そろそろ帰るとするわ。」

 女性が立ち上がった瞬間、

「ここが魔法紹介屋ですよ。」

「…は?」
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