魔法紹介者が人々を救うお話

トモヒロ69

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第1章

第15話 昔話

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 目が覚めた。顔を洗って、頭を起こす。昨日の夜、リリさんと別れた。ルカを呼ぼうか聞いたが、首を振って、

「ルカちゃんによろしくって言っておいてください。」

 そう言って別れた。ルカはこのことを聞くと、どういう顔をするのだろう。怒るのだろうか、それとも驚くのだろうか。どちらにしても、今ルカと話す気にはなれなかった。昨日思ったのだ。

 リリさんのように別れがいつかは来るのだ。後10年くらいで。ルカはとても悲しんでいた。だからこそリリさんのように、別れるようなことにならないのだろうか。

お姉さんが亡くなってからは、自分はしばらく1人だった。お姉さんもそれは同じだったし、先代の人達もそうなんだろう。

 まあ元々1人だったんだから、ルカと別れてもまた元の生活に戻るだけ…。

 しかし、そう簡単に元の生活に戻れるなら、今こんなに考えてはいない。1度その生活に慣れてしまうと、急には戻れなくなってしまう。 

 ルカには本当に感謝している。余命がそんなに長くない人間に付き合ってくれて。まあ今困っているのは、それを教えてなかった自分のせいだ。

 だがずっとこうするわけにはいかないので、覚悟を決めて、ルカの部屋をノックした。鍵が空いた音がしたが、ルカは出てこない。

(まあ入っていいってことだよな。)

 そう思い、ドアノブを回す。ルカはベットの上に座っている。自分も横にかけて、開けてくれたことのお礼を言う。

 ルカは無言だ。だが昨日よりは顔は暗くない。

「突然で悪いけどリリさんとは昨日の夜別れたよ。」

「…知ってますよ。私には事前に教えてくれていました。」


 そうなのか。まあ少しは予想していたことだ。

 一呼吸置いて、話し始める。

「ルカと初めて合った日のこと覚えてる?」

 ルカは小さく頷いた。それからルカと会った日のことを話し出した。

「あの時は猛吹雪だったよね。」

■ ■ ■

 自分が魔法紹介者になって、3年が経っていた。

 因みに未だお客さんの数は0人だった。流石に生計が立てれないので、アルバイト的な物をしていた。
  当時は、職の数が少なく、ホームレスになる人が結構いた。自分で言うのもなんだが、割と自分は優秀だった。アルバイトながら出張することになった。

 もしこの仕事が上手く行けば、正社員にしてくれるということだった。取引先の人を説得して、会社と契約させる大事な仕事だった。

 今考えると、アルバイトに任せていいのかよっていう仕事内容だったと思う。

 前に説明したが、遅咲きという種族がある。魔法が使えるようになるのが、他よりも遅い分、強力な魔法を持つ者が多いという種族。

 逆に早咲きという種族もある。魔法が使えるようになるのが20歳未満からだが、魔法がめっちゃ弱い。何なら魔法が使えないという人もいる。

 そういう街への出張だった。だがその日は、猛吹雪だった。運が悪い自分を恨んだ。

 だがそこでルカと出会えたことを考えると、猛吹雪でも、その日は運が良かった日だった。
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