雪のち晴

トモヒロ69

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第1章 雪のち晴

第2話 脱獄

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「私と脱獄しない?」

 この人は何を言ってるんだろうか。

「嫌です」

「…えー!普通ここは乗ってくれるでしょ!」

 なぜ今更、脱獄をしなければならないのだ。脱獄したところで、帰る場所などないし、死刑が変わるわけでもない。何より警察の迷惑だ。

「あなた何なんですか?」

「え?死神だけど?」

「…はあ!?」

 つい大声を出してしまった。

「まあ急に言われてもすぐには、決めれないか」

 決める決めない以前に、脱獄はしない。

「また明日来るからさ、それまでに決めてよね」

 そう言って、その女の子はまた姿を消して、どこかに行ってしまった。

 朝になり、目を覚ました。

 昨日の事を思い出してみる。いきなり死神と名乗る女に脱獄しようと言われた。それに自分が冤罪だと言う事を知っていた。

 こんな都合の良いことは普通はない。恐らく悪い夢でも見たのだろう。

(けど、もしかしたら)

 一瞬でもそう考えてしまった自分が今でも憎たらしい。

 そんなわけないのだ。
   
 こんなにも都合のいいことが起こることなどない。

「白糸雪。食事だ」

 色々考えていると、朝ご飯が来た。受け取ろうとすると、

「白糸雪、お前昨日誰かと話していなかっ
たか?」

 話し声が聞こえたらしい。確かにあの後、眠る直前に、監視が来た気がする。

「いえ、何も話していません」

「まあそうだよな。ここは関係者以外誰も
入れないからな」

 やはり関係者以外は入れないはずなので、昨日のことはありえない。どうやら夢だったようだ。

 その夜、

「やあ」

 今度は窓をノックもせずに、いきなり入ってきた。どうやら夢ではないらしい。

「どうだ。考えてくれたか?」

「何度来ようと、答えは変わりません」

 というより、急に壁をすり抜けて来るのが結構怖い。

「なんだ。残念だな」 

 そう言って、あっさり帰ってくれた。

(諦めてくれたのか?)

 まあどちらにしろ、もう来ないこと祈りながら、眠りについた。

 だが、その女の子は次の日もその次の日も永遠と来る。来始めて1ヶ月くらいが経った頃、

「分かりましたよ。脱獄しましょう」

 ついには折れてしまった。まあどうせ、ここにいても死ぬことは変わりないのだ。ならこの女の子に付いていってもいいかもしれないと思うようになっていた。

「よし、やっと乗ってくれたな」

 女の子は嬉しそうにしていた。だがどうやって脱獄するのだろう。

「さてと」

 女はどこから出したのか、大きな鎌を持っている。それをいきなり振り上げて、僕に振り下ろした。

「うわぁ!切られて…ない」

 恐る恐る目を開けたが切られてはいない。

「あんたを今、別次元に飛ばした。」

 周りを見渡すと、何やら空間が歪んでいる。

「どうだい気分は?」

「いやすご!」

 女の子はだろ!っと自慢げに返した。

「じゃあここから少し歩くぞ」

 指示された通り、女について行った。本当に死神なんだな。

「よしここでいい」

 女はもう一度鎌を僕に振り下ろした。目を開けてみると、そこにはマンションがたくさん並んでいる住宅街のようなところだった。 

 女の子に連れられて、マンションの1室に入った。

「ここが、これから私達の家だ」

    
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