倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

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第十二章

406 馬車での移動

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 盗賊の死体の処理が終わったらしく、馬車が動き出した。俺はこのまま馬車に乗って、移動することになった感じである。

 どうやらちょうどハプンとサマンサは、息子であるハンスの元に向かっている最中だったようだ。

 また普段は大きな街に店を構えているようであり、そちらは店の者に任せているらしい。話の内容は、その店の自慢話ばかりだった。

 正直どうでもいい話だったので、俺はほとんど右から左に受け流すようにして、聞いていたのである。

 後はおよそ六年ほど前に会った時と比べて、全く見た目に変化がないことを指摘されたりもした。

 それについては事前にカードを渡した者たちと再会する予定だったので、考えている。

 なので俺はその指摘に対して、詳しくは話せないが、長命種の血が混じっていると言っておいた。

 その関係で、若い期間が長いのだろうとも付け足している。

 実際エルフなどは人族と比べて寿命が長いので、あり得ることだ。

 ハプンはそれに対して驚き、サマンサは羨ましそうだった。

 特に疑ったような感じはしなかったので、大丈夫だろう。また差別的な視線も向けられなかったので、そうしたことについても、問題はなさそうだ。

 そうして馬車に揺られながら、ハプンたちと会話を続けた。レフは暇になったのか、俺の膝の上で丸くなって眠っている。

 加えて道中は何度かモンスターが現れたみたいだが、それについては馬車の周りにいる護衛たちが倒していたので、俺の出番は無かった。

 ちなみにハイオークとオークソーサラーは、馬車が動き出すと同時に二人が送還したみたいだ。

 ハプンがハイオーク、サマンサがオークソーサラーのサーヴァントカードを所持している。

 何だか俺以外の者が目の前でカードを使う光景は、何度見ても不思議な感じだ。

 またカードに戻す際に、必要ないにもかかわらず、わざわざ馬車の扉を開けて行っていた。おそらく、パフォーマンスだろう。

 実際護衛の者たちは、尊敬と憧れの混じった視線と声を上げていた。

 ハプンとサマンサもそれにより、自尊心が満たされたことだろう。

 こういうのを見ると、俺が眠っている間に信者数が爆増したのも、ある意味納得してしまう。

 サーヴァントカードは、革命的だ。信仰すれば手に入る可能性があり、もしかしたら高ランクのサーヴァントカードが当たる可能性がある。

 信仰心など皆無でも、とりあえず入信する者がいてもおかしくはないだろう。

 俺はふと、そんなことを思った。

 そうして旅は続き、意外にもその日のうちに、目的地へと辿り着く。

 馬車の内側から窓を開けてみれば、それなりに大きな町の外壁が見えている。

 そんな町の名前はセマカというらしく、過去には栄えていたが、つい最近までは衰退して人口流出が止まらなかったらしい。

 どうやら過去には様々な資源が取れるダンジョンが近くにあったことで、大変栄えていたみたいだ。

 けれどもそのダンジョンも、不意に攻略されてコアが破壊されてしまったらしい。

 その結果としてダンジョンは消滅して、衰退の道を辿ることになったみたいだ。

 しかしこれには、複雑な貴族同士の争いがあったとのこと。

 ここら一帯を治める当時のゴートレール辺境伯と、隣領を治める上位貴族との間で、何かあったみたいだ。

 しかし結局は犯人特定には至らず、証拠不十分でどうにもならなかったらしい。確実にその上位貴族が手を引いていたという噂が絶えなかったが、真相は闇の中のようだ。

 ちなみにゴートレール辺境伯とは、懐かしの国境の街、シルダートを統治している貴族でもある。

 またダンジョンコアの守りをシルダートから変更するかどうか、検討している最中での出来事だったようだ。

 国の王はダンジョンコアへの道を封じることができるが、その可能な数は限られている。

 なので一つの領には、一つまでしか行っていなかったのかもしれない。

 だからこそ変更するか悩んだのだろうが、それが相手に時間を与えることになってしまったようだ。

 それと国境門が無ければ、その上位貴族と確実に大きな争いになっていたらしい。

 当時のゴートレール辺境伯の怒りは、相当なものだったのだろう。世代を交代した今でも、この二家は犬猿の仲のようだ。

 そんないわくのある町が、ハンスがいるセマカの町という訳である。

 いったいこの町で、ハンスは何をしているのだろうか?

 それについて訊いてみたが、会ってからのお楽しみらしい。

 またハンスは自身の活躍について、自分で語るのが好きなようだ。

 なのでもしここで先に教えたら、ハンスに後でとても怒られるらしい。

 それを聞いてハンスの精神面は、以前とあまり大きな変化が無いような気がした。

 俺が眠っていたのが五年、そこから旅に出るのに半年。以前の旅の期間を考えれば、およそ六年近くの月日が流れている。

 ハンスは確か俺と同い年だった気がするので、今は二十歳か二十一歳だろう。

 ちなみに俺はまだステータスでは、二十歳となっている。おそらくこの世界にやってきた日から、カウントされているのだろう。

 なのであと数ヶ月もすれば、俺も二十一歳になると思われる。

 まあ、それついて今はどうでもいいとして、ハンスの精神が多少でも良い方向に成長していることを願う。

 でなければ、争いは避けられないかもしれない。

 そうしてセマカの町の門まで辿り着くと、門番はハプンの名前を聞いて背筋を伸ばし、まるで貴族を相手にするかのように対応していた。

 同乗者の俺の身分確認もせずに通したので、相当なものだろう。

 親であるハプンですらこの対応ということは、ハンスの地位は予想以上に高いのかもしれない。
 
 いったいハンスは、何を成し遂げたというのだろうか?

 そして町に入ってから周囲に意識を向けてみたところ、驚きの事実が判明する。

 この町、俺の信者が多いな。

 そう。数千人規模で、俺の信者がいるのである。過疎っていることをかんがみれば、これはかなりの数だった。

 またサーヴァントを連れている者を、何人も見かける。それが当たり前なのか、とても住民は自然体だった。

 これは、本当に驚いたな。まさか大陸間の転移をして早々に、このような光景を目の当たりにすることになるとは……。

 まるで城のダンジョンの城下町のような光景に、俺は驚きを隠せない。

 そしてこの原因については、嫌でも予想ができてしまう。

 もしかして、これを為したのはハンスなのか? あのハンスが??

 仮にハンスが布教して、住民がサーヴァントカードを手に入れる切っ掛けを作ったのであれば、その地位が高くなってもおかしくはなかった。

 なんだか、複雑な気持ちだ。信者が増えることは喜ばしいことなのだが……。

 これはもう本格的に、ハンスが更生したことを祈るしかないな。

 そうして馬車は町の中を進み、次に裕福な者たちが住むエリアへとやってきた。

 馬車はその中でも、上位に位置するほどの大きな屋敷へと入っていく。どうやらここが、ハンスの家らしい。

 まるで、貴族の屋敷だな。

 そう思いながら、ハプンとサマンサが屋敷を自慢する言葉を聞き流す。

 窓から景色を見れば、庭はよく手入れされており、庭師までいた。

 そうして長い庭を抜けて、屋敷の前まで辿り着く。

 俺たちはそこで降りると、多くの使用人たちから迎え入れられた。どうやら先触れがあったらしく、待っていたようだ。

「どうですか? 凄いでしょう? これが今のハンスの力なんですよ!」
「ここまで立派になって、本当に親孝行の息子だわ。きっと今のハンスと会えば、その凄さをジン君も分かるはずよ」

 自信満々にそう言う二人とは裏腹に、俺はどうしても嫌な予感がぬぐえない。
 
 だがここまで来たら、会うほかはないだろう。

「そうか。それなら、会うのが楽しみだ」

 そんな風に社交辞令を返しつつ、俺は屋敷の中へと案内されるのだった。
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