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第十三章
458 ブラックヴァイパー ⑩
しおりを挟む※執筆時39.2℃の高熱だったので、文章がおかしかったり、矛盾があったらすみません。
身内にまた風邪を移されてしまい、副鼻腔炎になってしまいました。
それもあって今回は短いです。次回更新のために分割しました。
2026/2/7
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それから案内してもらう中で、ポッチの配下たちの試合を午前中に観戦した。
すると何ということか、三人中二人が負けてしまったのである。
ただ試合内容からして、ポッチの配下たちが不利な状態だったので仕方がない。
事前の説明で、それを飲んだ上で試合をしていたのだ。
けれどもポッチはこれに、激怒した。帰ったら負けた二人には、厳しく指導するつもりらしい。
ちなみに勝った一人は、なぜかヴィレッタに勝ったことをアピールしているようだった。
闇闘技場から観覧しているこちらを見つけると、ヴィレッタに向けて、何やら勝利のポーズをとっていたのである。
確かあいつは、精神が幼児化したヴィレッタを推せるとか言っていたやつだな。
ならヴィレッタに少しでも認知してもらうために、不利な戦いでも頑張って勝ったのだろう。
しかし悲しいかな。そんなアピールをされたヴィレッタだが、全く勝った男に興味が無いみたいである。
だがその代わりに唯一勝ったことで、ポッチからは好印象のようだ。後日褒美として、娼館エリアで女を一人おごってやると言っていた。
そんな事がありつつも、昼食を摂ったり再び試合を観戦したり、他の部門についての話を聞いたりしていたら、あっという間に時間が過ぎていく。
そうしていよいよ、俺の試合の時間がやってくる。
係りの者に案内されて、俺は控室に入った。中は無骨なレンガ作りの部屋であり、テーブルや椅子などが置かれている。
他にもレンタル用の武器や、サンドバックのようなものもあった。
俺はそれらを軽く見ると、とりあえず椅子に座って時間が来るのを待つ。
ちなみにポッチとヴィレッタは、今頃金持ち用の観覧席にいると思われる。
あと残念ながらレフも同様だ。しつこくついて来ようとしたが、なんとか我慢してもらった。
またポッチの側に置いておくのは何となく不安だったので、ヴィレッタにレフの世話を任せた感じである。
加えて決してポッチには触らせるなと、一応言っておいた。もし何かしたら、最悪の場合このスラム街が滅びることになるだろう。
しかしそれをレフへの独占欲だと思ったのか、ポッチが俺のことを流石同志だと言っていた。
もう面倒なので、それについては適当にあしらっておく。もはや何を言っても、俺のことを同じ仲間だと疑わない気がした。
そういう訳で、今この部屋には俺一人である。
さて、俺がこれから戦うのは、まず元Cランク冒険者の二人だ。何やら大きな失敗をしてしまい、その借金から奴隷に落ちた経緯があるらしい。
元Cランク冒険者の奴隷は希少らしく、闘技部門で買い取って試合に出させることにしたようだ。
上手く勝っていけば、いずれ借金を返済できるだけではなく、このまま闇闘技場の選手として活躍する道も用意されているらしい。
またどうしようもない怪我を除けば、試合後に回復魔法でその都度治してもらえるようである。
死ぬリスクがあるとはいえ、これはかなり待遇が良いみたいだ。最低限の生活水準も保証されているらしい。
ただその分返済額に影響していくので、長くこの場所に留まることになるだろう。良くできたシステムだった。
あとこの闇闘技場では、当然賭けが行われている。事前情報から予想して、どちらが勝つかや、場合によっては特殊な賭けの条件などを足したりもしているようだ。
連日賭け事で、大賑わいらしい。中には借金をしてまで賭けをした結果負けて、奴隷落ちして選手となる者もいるようだ。
しかしそれだけの賑わいもあってか、この賭けは闘技部門での、大きな収入源になっているとのこと。
ちなみに出場選手は、自身の試合の賭けには参加できない。また選手が奴隷なら、そもそも他の試合でも、賭けをすることができないようだ。
これは過去に奴隷たちが結託して、奴隷内の八百長事件があったからである。
それ以降温情で認められていた奴隷の賭け事への参加は、無くなってしまったという訳だった。
またそんな賭け事だが、ポッチは俺に大金を賭けたらしい。ポッチの配下たちも、俺に賭けたとのこと。
なおオーナーであるヴィレッタは、そもそも賭けに参加できないみたいだ。かなり残念がっていた。
しかしそれでも、実際のところ俺の二連勝に賭ける者の方が少ないみたいである。
まあ俺はここだとぽっと出の無名な者であり、その見た目も明らかにモブだから仕方がない。モブメッツの容姿はぱっと見だと、強者感が無いからな。
なのでそんな俺よりも、これから戦う元Cランク冒険者の奴隷の方が人気らしい。
この闇闘技場だと、それなりに有名な選手のようである。
またその二人が元々戦う予定だったCランクのモンスターも、見た目が厳つく捕えるのにも苦労したようだ。
本来同じCランクでも、人型種族よりもモンスターの方が優勢の場合が多い。
それもあってか、俺が二連勝もすると思っている者は、少ないようだ。
一応ゴブリオックの強者を二人倒した事は流布しているが、それも正直微妙な反応らしい。
そもそもゴブリオックは街壁の外側に張り付く無法集団であり、大多数の者からは下に見られているようだ。
加えて実力があれば、壁の内側にあるいずれかのマフィアに入れるはずだと、そう思われているからと聞いた。
故にゴブリオックの強者を二人倒したと言っても、そこまで良い反応を得られないのである。
ただそういうことに精通しているものからの評価は良いらしく、中には俺に賭ける者もいるようだ。
あと流布した情報の中に、ポッチより強いことは言っていない。
それをしてしまうとポッチの名誉にかかわるし、場合によっては組織全体が舐められることに繋がるからだ。
ポッチはあれでも、ここら辺では上澄みにいるくらいには強者なのである。
なのでぽっと出の俺に負けたとなれば、面倒なことになるかもしれなかった。
それもあって、大々的に俺がポッチに勝ったことは言っていないのである。
「モブメッツ選手。出番です。移動をお願いします」
「ああ、わかった」
するとそんなことを考えていると、係りの者が部屋に入ってきてそう言うので、俺は座っていた椅子から立ち上がり、移動を開始した。
さて、いよいよ試合の始まりだ。
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