窓物語

心符

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第一章

永遠の窓

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私は幾つもの愛と死を見て来ました。

例え辛く哀しい思いをしようとも、人を思い愛することは、かけがえのない幸せであります。

そのことを、ただ伝えたいのです。

私は悲しみに溢れる涙を拭いてあげることも、静かに微笑んで励ましてあげることもできません。

ただ、人々の愛を映し出すことぐらいしかできません。


私は窓です。


私の一番伝えたい話を3つ、語りたいと思うのでございます。



海を眺めるこの病院の三階で、もう一世紀ほど経ったでしょうか。

私は、ベッドのそばの白い壁にはめ込まれた、小さな窓です。

小さな出窓の私は、開け放たれることもありません。

ついでに申しますと、年の瀬でさえ、一度も磨いてもらったこともありませんでした。

今から思えば、この積もり積もった埃の一つ一つが、私の記憶であるかのように、様々な想いが刻まれているのでございます。
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