異世界妖魔大戦〜転生者は戦争に備え改革を実行し、戦勝の為に身を投ずる〜

金華高乃

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第5章 新召喚武器召喚編

第5話 エイジスの驚くべき機能

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・・5・・
 ふよふよと浮く人形らしく美しくも可愛らしい外見を持つエイジスと名乗ったそれに、僕は驚きのあまり口をぽかんと開けたままだった。国王陛下も、目の前にあるのが召喚武器であって召喚武器にはとても見えないエイジスに驚愕を隠せないでいた。
 その当本人であるエイジスは、僕達の表情を見て小首をかしげる。その姿はまるで人形というよりかは小さくした人間のようだった。

「エ、エイジス?」

「はい、マイマスター。ワタクシの名前はエイジスです。マスターを守り、マスターを補助し、マスターと共に戦う存在として顕現しました」

 エイジスと言うと、イージスの別の名前だ。前世の僕の身分からすると神話よりは海軍の艦艇に何隻かあるあっちのイメージの方が強い。
 ヴァルキュリユルにしてもそうだけど、この世界で前世にまつわる神話の名前が付けられているのかは謎だけど今はそんなことよりだ。
 エイジスが召喚武器としては外見からして常識外れだから何から問えばいいんだろうか……。
 僕は戸惑う。だけど、隣にいた国王陛下は突然笑い出したんだ。

「くくく、くくくくく。ははははははっ!! まっこと召喚武器というものは余を驚かせてくれるものよ! 二百五十年の召喚武器の歴史の中で武器の形では無く人形ドール人形ドールの姿をした召喚武器なぞ前代未聞ぞ! アカツキよ、眼前におるは未知なる存在。好きなように問うたらどうだ?」

「は、はい。そうさせて頂きます」

 僕はまだ戸惑いながらも陛下の言葉に頷き、視線をエイジスに向ける。

「可能な範囲であれば回答可能ですマイマスター」

「わ、分かった。じゃあ早速。えっと」

「エイジスで構いません」

「ならエイジス。キミは一体どうやって動いているの? 見たところ魔石等を燃料にしているとは思えないから」

「回答します。ワタクシ、エイジスは空気中に存在する魔法粒子を動力燃料として稼働しています。よってワタクシは魔法粒子さえあればワタクシが破壊される等の事態が無い限り稼働が可能です」

「ちょ、ちょっと待って!? ていうことはつまりキミは魔法粒子さえあれば延々と動けられるってこと!?」

「正答です。召喚の際にワタクシに付与された知識から解説致しますと、魔法粒子は世界に膨大に存在しており減ることはありません。今後もその根底が揺るがない限りはワタクシは永遠に魔法粒子を動力源として稼働します」

「なんと……。すなわち半永久的に動き続けられるということか……」

 この時点で既におかしいと言ってもいい。陛下の言うようにエイジスは四十シーラの体長に半永久機関を搭載しているということだ。前世の科学者が卒倒しそうだな……。

「質問を続けるね。エイジスは浮遊しているけれど、実用可能高度は?」

「最大で五百メーラです。ただし、ワタクシは空戦特化型ではなくあくまでも所有者支援型の召喚武器なので最大速度は八十キーラから百キーラ。独立しての戦闘には不向きです」

 百キーラも出せるんならこの世界なら早すぎる部類だよ!
 っていうツッコミはよしておこう……。そもそもここまでの質問だとまだ武装等が出てきていない。でも、召喚武器だから何らかの形では戦えるよね……。
 なので僕はさらに問いを続ける。

「率直に聞くね。エイジスは何が出来るの? 所有者支援型ということは、サポートをしてくれるんだよね?」

「はい。複数の機能を保有しています」

「一つずつ説明してくれるかな?」

「サー、マイマスター。一つ、所有者の生命を守る為、魔法障壁を瞬時展開及び最大十五枚までの複合展開が可能です。なお、消費魔力はワタクシが空気中魔法粒子から組成するのでマスターが詠唱する必要はありません。また、マスターが魔法を行使する際には補助を致しますので、マスターの消費魔力は半分に軽減されます。さらに、追尾式魔法の場合はワタクシが敵を捕捉します。最大捕捉数は現状であれば百二十八です」

 魔法障壁自動展開、魔法行使における消費魔力半減、追尾式魔法最大ロックオン数百二十八。この時点でとんでもない能力だ。ロックオンに至ってはイージスを由来にした艦種のイージス艦と同じような機能だし……。

「キミ、初っ端から果てしなく凄いことをさらっと言うね……」

「支援型ですので。二つ目、初級魔法までならワタクシ独自で支援攻撃が可能です」

「……独自ってことは」

「これについてマスターは魔力の消費をしません。マスターが初級魔法での攻撃を行う場合は火力増強として、中級魔法を行使するのならば発動までのサポートとして活用してください」

 しかも自衛火器まであると……。

「支援型って言っておいて攻撃も出来るんだ……」

「あくまで初級魔法までです」

「十分すぎるよ……」

「お褒めの言葉と捉えます。三つ目、短距離ではありますが魔力波探知によって索敵が可能です。魔法を使わない者でも魔力は体内に保有しているので、非魔法能力者も探知対象になります」

「今なんて!? 索敵探知って言った!?」

「はい」

「どれくらいまでなら可能、なの……?」

「現状であれば、精度は落ちますが最大直径四十キーラから五十キーラまで。最大精度実現推奨距離は十キーラです」

「アカツキよ……。余には分からぬのだがそちが驚くという事はそれほどまでということか?」

「は、はい……。エイジスがいるだけで敵の動きは筒抜けになります……。無論、相手が魔力を隠蔽したり空気中魔法粒子を撹乱しなければの話になりますが……」

「マスター、補足説明します」

「まだあるの……」

「ワタクシの探知には敵味方識別が実装されています。エイジス、戦闘支援モード起動と仰ってください」

「わ、分かった。エイジス、戦闘支援モード起動」

「了解。戦闘支援モードを起動します」

 エイジスはそれまでいた場所から僕の肩の隣まで来るとそう言う。

「え、ちょ、は、ええぇ!?」

 すると、信じられないことに目の前には前世でも覚えのある拡張現実画面が広がったんだ。
 視界の右にいた陛下には青い四角形で囲まれていた。しかも陛下のフルネームまで付いている……。
 さらには視界の左下には四桁の数字。これは僕の魔力で、今日は使っていないから最大値の四一三七が表示されていた。右下には小型画面のレーダースクリーン。近くにいたマーチス侯爵達を示しているんだろう。複数の青い点が表示している。大きさ的にはかなり近距離範囲だろうから、多分縮小すればもっと広げられるんだろう。

「そちは先程から驚き過ぎではないか……」

「陛下、信じていただけないかもしれませんが、私にしか見えない一桁単位での魔力の羅列、陛下やマーチス侯爵などを表す点などが表示されているんです」

「なんだと!? 魔力が可視化されておるのか!? それに余ならともかく、この部屋におらぬマーチスまでか!?」

「はい……」

「現在マスターが視認されているように、私の主な機能の一つとして、このような戦闘時サポートシステムがあります。マスターの残存魔力表示や敵味方識別表示もその一つになります」

「現実とは思えぬな……。魔力測定でしか見られなかった魔力が分かり、敵味方が手に取るようにわかるのであろう……? それではまるで神の目ではないか……」

「ええ、そうとも言えます……」

 僕にとっては神の目とまでは思えないけれど、この世界の水準からしたらそのような比喩表現も決して大袈裟じゃない。この表示方法は僕が前世で使っていた「拡張現実表示式眼鏡型情報端末」に類似しているんだ。
「拡張現実表示式眼鏡型情報端末」は本部から送られてくる情報を端末所有者がリアルタイムで戦況を知ることができる、いわゆる個人所有型のC4I端末のことで、こいつのお陰で僕達は無線と合わせて効率的かつ相手より有利に戦闘を行う事が出来た。
 それを、だ。エイジスは実現してみせた。
 これがどれだけの変化を生むかなんて計り知れない。だってだよ、十九世紀半ばの水準世界で二十一世紀前半の情報量で戦う事が出来るんだ。この差は絶大だ。これまで僕は戦場において情報面も重視してきた。情報の差が勝利を掴む大きな要素の一つだからだ。
 故にこの機能は支援型の名に相応しく、またエイジスの別名イージスの名に相応しい、あらゆる邪悪や災厄を払うかのように所有者や味方を敵から事前に守ることが出来る機能だった。

「ちなみにですが」

『このように思念会話も可能です。マスターも行えます』

『こうか。う、うん。もう僕は驚かないよ…………』

『心拍数が先程から高めに推移しております。瞳孔から驚いていると判断可能です』

『そこまで分かっちゃうのね……』

「アカツキ、今度は何があったのだ……」

「……脳内に語りかけてきて、私も会話が可能です陛下」

「す、凄まじいの一言に尽きるな……。となるとだ、エイジスよ」

「はい、エルフォード陛下」

「余も長年生きてきたがよもや召喚武器に名を呼ばれる日が来るとは思わなんだ……。――して、エイジスよ。お主の召喚武器としてのランクはいかほどになる? 人間と遜色無く話せる知識を持っておるのならば、理解しておろう?」

「召喚武器ランクとしては、SSです。最上位召喚武器と捉えてください」

 ですよねー!! ここまでとんでもない機能を有していながらSなわけないよねー!!

「な、なんとSSか……。余もSSが召喚されるのを願っておったが、ま、まさか現実になるとはの……」

「私もです、陛下……」

 僕も陛下も、王命召喚であってすら出現確率が著しく低いSSランクの召喚武器が顕現するとは思わず、驚愕のあまりに言葉がたどたどしくなってしまっていた。

「以上がワタクシの機能になります。他にご質問はありますか?」

「いや、逐次聞くからいいよ……。これ以上聞いたらぶっ倒れそう……」

「余も頭が痛くなってきたわ……」

「両名に冷や汗を感知しました。体調が不調の場合は速やかに治療にかかることを推奨致します」

「キミ(お主)のせいだけどね!(じゃけどな!)」

「……失礼しました?」

 感情の起伏こそ自動人形らしく乏しさを感じるものの、素振りは完全に人間のそれ。
 もうダメだツッコミが追いつかない。僕も陛下もこれ以上はコメントのしようが無かった。
 そしてだ。問題が一つある。

「陛下……、この件は事後発表なさるのですよね……?」

「う、うむ。そのつもりだが」

「どう、発表致しましょう……?」

「…………即日の発表は取りやめよう。表現し難い機能も多い。三日後ならどうだ……?」

「それがよろしいかと……」

「で、あるな……」

 そうして三日後。
 僕ことアカツキ・ノースロードが連合王国において五人目のSSランク召喚武器所有者になったことが国内国外に報道発表された。
 当然、国内外は大きな衝撃と歓喜に包まれることになったのである。
 …………本当に舞台の中央に立つなんて思わなかったよね!!
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