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第12章 ブカレシタ攻防戦決着編
第14話 大きな犠牲を生みつつも勝利を目前にして届くは衝撃の
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・・14・・
11の月4の日
午前11時過ぎ
3カ国軍総司令部
僕が負傷した十の月十七の日から二十日近くが経過し、月も変わった十一の月初旬。
制圧して久しく敵侵攻に対する防御として野戦要塞が建築されつつあるダボロドロブではまもなく雪が降るのではないかという報告が入っねいた。
勢力圏となった旧東方領の殆どでは復旧作業と冬に備えた物資補給路の強化がなされる中、唯一の戦場となったブカレシタでは未だに戦いが続いていた。
法国はこれ以上の援軍は望めず、連邦は初戦での傷が癒えたとはいえ物資の支援に留まっていた。
結局連合王国軍は旧東方領の防衛部隊に一個師団を送る代わりにキシュナウから精鋭一個師団を投入することを決定した。
しかし、それでも戦局が大幅に変化することはない。
妖魔帝国軍が殆どの手札を使い切ったのと同じく、僕達三カ国軍も勝敗を大きく早めるカードを使ってしまったからだ。あとはひたすらの消耗戦。集団同士のぶつかり合い。
それらは三日前の要塞内での戦闘を終えて総本部に戻っていた僕の耳にも無線通信を通してまざまざと見せつけられていた。
「南部戦線総指揮官、モーディラッド大将閣下より通信あり。南部戦線の攻勢にあたる連合王国軍第九師団、敵の急造魔石地雷により侵攻速度が低下。予備第十一師団一個旅団を投入し、砲兵と魔法兵で焼き払い魔石ごと吹き飛ばすとのこと」
「西部戦線も同様に、要塞中西部まで到達するも敵総司令部に近付くにつれ抵抗が激しく消耗戦に。ハラスメント攻撃が続き、負傷者続出。総指揮官メルツ大将閣下、カノン砲による砲撃の追加要請」
「東部戦線ラットン中将閣下より、突出部形成に戦術級魔法行使許可要請。発動までのL1ロケット、召喚士攻撃飛行隊の支援攻撃要請あり」
各方面から絶え間なく入るのは敵の頑強な抵抗により出血を続ける三カ国軍の戦況と、昨日に比べればようやく血路が開けたことにより攻勢に出たい各方面総指揮官からの大量の支援要請。
この約二十日、要塞の六割を制圧したのと引き換えに戦前の規定であれば四半期分の、新戦争計画基準ですら二ヶ月の弾薬を使っていた。
昨日までに妖魔帝国軍の損害はさらに増え、当初の三分の一以下の約五五〇〇〇にまで兵力は減じていたものの決死の攻撃は続いていた。
徹底的に弾薬庫など補給を潰し、魔法兵を集中的に狙って防衛能力を削ぎ、総司令部を破壊し尽くしても敵は挫けなかった。
地下を進みトンネルを掘り、発破して崩壊させる作戦も行われたが途中で気付かれ阻まれる事もあった。ならばと同じようにトンネルを掘って相手の監視が薄い部分まで入り込み後ろに回り込むなどもしてみるが、効果があっても決定的な戦果は掴めない。
結局、従来の作戦が主たる形となり今に至るわけなんだ……。
三カ国軍総指揮官たるマーチス侯爵は既にブカレシタ星型要塞攻略戦開始からこれまでの弾薬消費を痛いほど知っている。
「マーチス大将閣下、支援要請の全てに許可を。我々は勝っています。さらなる衝撃を敵に与え、これを期に敵総司令部のあった地区まで侵攻を。組織的抵抗を続けている辺り、敵総司令部は移転しているでしょうが、であるからこそ制圧地域をさらに拡大するべきです」
「カイデン参謀長の意見に賛成です、マーチス大将閣下。この際弾薬の消費量は無視しましょう。弾薬は作ればまた増えますが、よく訓練された高練度の兵はすぐには補充出来ません」
「そうだな……。ブリック少将」
「自分もカイデン中将閣下とアカツキ少将の意見に賛成です。包囲を進めるには、惜しみなく支援をするのが最良かと。我々に物資の心配はあまりありません。兵站参謀からもこれまでの水準を投入しても支障はないと言っておりました」
「分かった。情報要員各員は全戦線の総指揮官へ通達。全ての支援要請を受諾。ただし相応の時間がかかると伝えておけ」
『了解しました』
魔法無線装置により情報は速やかに伝達される。要望通りの支援が得られることに各方面からは感謝の声が届き、必ず任務を遂行させるとも述べられていた。
マーチス侯爵やブリック少将、参謀の面々、そして僕とリイナにエイジスは再び戦況が描かれている大きなテーブルにある地図へと視線を向けた。
「郊外戦を含めれば開始から既に二ヶ月以上。計画に大幅な遅延はないものの弾薬消費量と、何より人的損害が想定以上だな……。これまでの死傷者は約三五〇〇〇に達している。三カ国軍総合計で考えれば大きな損害ではないものの、戦死傷者は予想の百五十パルセントか……。そして、未だに要塞の全攻略はならず四割近くが残っている、と」
「参謀本部が考案した攻勢計画は中途までは上手くいったものの、オーガ・キングの複数出現によって狂わされましたね……」
「申し訳ありません。第一案が破綻し第二案たるL1ロケットと召喚士攻撃飛行隊による空爆も効果は限定的。第三案の坑道構築からの攻勢と敵備蓄庫や後背攻撃も芳しくありません。流石に時間のかけられた堅固な要塞で、新しい戦場たる空はともかくとして下からの攻撃には備えていたようで……」
「いや、優秀な参謀本部が考案した作戦でもダメならば要塞の指揮官が極めて優秀なだけだ。今更な話だが、以前の敵指揮官ならここまで手こずってなかっただろうよ」
マーチス侯爵、ブリック少将の順に発言し続いて参謀長たるカイデン中将が謝罪する。けれどマーチス侯爵は決してカイデン中将を責めはしなかった。
彼の言う通りだ。面積百平方キーラ以上の広大な要塞に立て篭もる敵は無視できるような存在ではなく、今後の戦争計画を踏まえるとなんときても陥落させないといけない。
奴らは数が減って物資が浮いた分だけ抵抗可能日数は増える。だったら兵糧攻めすればいいのだろうけれど、ここは本国から非常に遠い地。目の前に迫る冬になれば主要輸送路が今までのような兵站能力を保証出来ない以上、そんな選択肢は取れなかった。
とはいっても、死傷者が多すぎる。ああは言ったけれど、物資弾薬の消費量だって馬鹿にならない。
前世の日露戦争のとある戦場を思わせるような状態だった。
マーチス侯爵とカイデン中将がこれまでの作戦を振り返り、貴重な兵士を失わない為にはどうするべきかを話し合う中でリイナは僕に話し掛けてきた。
「旦那様、これまでの物資弾薬消費量はどれくらいだったかしら」
「二ヶ月で戦前水準なら一年分、新戦争計画基準で半年だね。はっきり言って新戦争計画基準ですら想定を凌駕しているよ。けど、それ以上の問題は兵の損失かな。エイジス、現状のままで作戦を遂行した場合の想定死傷者数と消費する諸々を演算して」
「サー、マイマスター。中途まで演算完了している為、完了までに約十分」
「お願い」
前世で例えるのならば、この小さい体躯で経験と知識の蓄積によってスーパーコンピューター並の演算能力まで進化を遂げたエイジスは演算モードに切り替わり、地図の端に立つ。
僕達がこの時代では考えられないくらいに作戦の修正を繰り返せるのはマンパワーでは成し遂げられない計算を可能にするエイジスがいてからこそ。第二解放以降全体的に能力が向上している彼女はますます欠かせない存在になっていた。
だから技術の限界と僕の頭の限界によって彼女の能力を十全に活かせないのは悔しい限りだった。
「それにしても、半年、ね……。突出部形成には二十日間で旅団戦力を幾度と投入しているけれど、そもそもオーガ・キングのせいで消耗しているから何度も使えないから……」
「まだ山脈も越えていないのに貴重な旅団の精鋭に犠牲は強いられないよ。あそこにいるのは最低数年、基本的に十数年の訓練によって極限まで高められた凶器の集団だ。一人失うだけで普通の兵何十人分の損失になるか分かったもんじゃないよ」
「旦那様は時折兵士を数として考えるように冷徹だけれど、間違ってはいないわね……。これがアナタが言っていた新しい戦争の姿なんだもの」
「勝ちすぎたツケが回ってきたのかもね。僕も妖魔帝国軍の戦力を低く見積もっていたかも。分かっていたのにね。身を持って知ることになった」
「あいつら、孤立無援なのに戦うだなんて正気じゃないわ。これも皇帝に対する忠誠心なのかしら。もしくは恐怖がそうさせているのか……」
「どっちもだろうね。正規軍なら真っ当な扱いを受けているはず。だから勝てば報奨は得るし、とはいえ負ければ懲罰を受ける羽目になる。気がかりなのは奴らの魔法無線装置の中継局を潰しているのに、まるで死守命令が継続しているかのように抵抗している点だ。となると、やはり総指揮官は皇帝に余程忠誠を誓っているのか、もしくは途絶する前に何らかの見返りがあって死守命令を全員が果たそうとしているのか、いいや……」
「総指揮官がお父様やアナタのように兵達に慕われていて、統率を保っているから?」
「かもしれない……」
前世でも玉砕覚悟でその土地に歯を食いしばってても抵抗を続けた例なんて歴史上いくらでもあるし、旧日本軍では数え切れないくらい行ってきた作戦の類だ。
例えば硫黄島、例えば沖縄戦。例を上げればキリがない。
そして、妖魔帝国軍は人類諸国に消耗を強いて弱った所を叩く戦略を取っている。ならばこの作戦は兵員数において僕達より遥かに余裕がある妖魔帝国側ならおかしくない戦法だ。
僕達は失えば失う程後々不利になる。
打開するにはどうしたらいいのだろう。
「アカツキ少将、何やら考え込んでいるようだが案は浮かんだかね? 我々の頭脳たる貴官には幾度となく救われているが」
僕が腕を組んで肘の辺りを人差し指でとんとんと叩いていると、マーチス侯爵が話し掛けてきた。
「はっ。はい、マーチス大将閣下。打開策を考えていたのですが……」
「ほう。この状況を切り開けそうか?」
「はっ。いいえ。残念ながら明確な案はありません」
「貴官でもやはり手詰まりか」
「残念ながら。我々はこの地でも勝利を手にするでしょうが、これまでのような快勝は最早実現不可能かと。先月のオーガ・キング出現がやはり打撃を受けていますし、L1ロケットやボビン・ドラムも数が心許なくなっています。召喚士攻撃飛行隊の負担は大きくなりますが現場の努力によって稼働率は維持しているものの限界がある上に決定打になりません」
「では、我々はひたすらに兵力を消耗するしかないと。オレはどうしようもない状態にあると理解しているから責め立てる事などするはずもない。だが、本国は多くを望んでいる。約三万五千の死傷者をこれ以上積み重ねてるのは好ましくないわけだ」
「畏れながらマーチス大将閣下。アカツキ少将の分析は極めて正しいと小官は思います。彼は負傷してもなお十分過ぎる働きをしており、頭と身体の両面で感謝してもしきれない活躍をしています。そのアカツキ少将ですら名案が無いのならば従来通り戦うしかありません」
カイデン中将は僕を擁護してくれていた。
この場においてマーチス侯爵は僕に期待しているとらいえ眼差しから分かるように無理を承知という様子だった。
それでも総指揮官としては本国の、特に、今は大人しい西方派閥に対して反対材料にされない為にもこの戦況を好転させたい。だから酷な事を言っている。
カイデン中将も承知の上だけれど、階級上では部下にあたる僕を庇ってくれたんだ。それにしては些か感情も含んでいるような気がするから、僕を信頼してくれていた結果の行動と言動なのかもしれないけれど。
「勝てる戦いではあるが、犠牲も多い、か。アカツキ少将が以前言っていた戦争形態が現実となってきたということか」
「はい。軍だけではありません。政治家たる貴族や議員にも説明した通りです」
「――マスター。演算を完了しました」
重い雰囲気の中、エイジスが演算を終えた事を伝える。当然マーチス侯爵や参謀達は注目する。
「演算? エイジスに何か予測をさせたのか?」
「はっ。現在の戦況から完全制圧までの推定損害を算出させていました」
「現実を知るには丁度いいな……。エイジス、どれ程になるか教えてくれ」
「サー、マーチス大将閣下。最良の場合と最悪の場合の二つを出しましたが、どちらからお聞きになられますか」
「最良の場合から言ってくれ」
「了解。最良の場合、完全制圧までに死傷者は約四万。物資弾薬消費量は新戦争計画基準で半年強。推定完全制圧期日は約十日」
「最良でも四〇〇〇〇か……。最悪の場合は……?」
「死傷者約四八〇〇〇から五〇〇〇〇。物資弾薬消費量は新戦争計画基準で八ヶ月から九ヶ月。推定完全制圧期日、約二十日から一ヶ月です」
「五〇〇〇〇だと……」
「消費量が一年分に近いだって……。三ヶ月の戦闘でか……」
「五万は余りにも……。エイジス、連合王国軍のみでの内訳は……? 戦場に戻れる数を抜いた、もう戻れないもしくは生きて帰れない数を抽出してくれないか……」
「神の御使いエイジス殿よ、法国の死傷者を教えてくれぬか……? ブリック少将と同様の抽出方法で……」
「協商連合もお願いしたい……。我々はこの中で最も数が少ないんだ……」
エイジスの最悪の想定に対して、マーチス侯爵、カイデン中将、ブリック少将の順に言い参謀一同も絶句した。死傷者が五万というと一回の大規模戦闘において総計約二六五〇〇〇いる三カ国軍の戦力の約五分の一だ。あくまで死傷者だからこのうちのどれだけかは戦線復帰も叶うだろうけれど、それを抜いても一割以上の命が失われるか二度と戦場に戻れなくなるということになる。
それは三カ国軍にとって痛みを伴う数だった。
ブリック少将は連合王国軍人として正確な数値を求め、法国――マルコ大将は自国司令部の指揮に追われており、ここにいるのは派遣された次席参謀――や協商連合の参謀も同じように言う。
エイジスは極めて冷静に、報告書を読み上げるが如く現実を伝え始めた。
「これまでの損失を含め、連合王国軍約一〇〇〇〇、法国軍約一一〇〇〇、協商連合軍約六〇〇〇です。三国合計で復帰不可能な死者と重傷者は、計二七〇〇〇。五十四パルセントが該当します」
「我々だけで一〇〇〇〇……」
「あれだけの損害を受け、ここでも一一〇〇〇ともなれば我々は最早……」
「我が協商連合の精鋭達が、六〇〇〇……」
「動揺されるには十分な値ですが、マイマスターたるアカツキ様は既に覚悟されておりました。また、皆様方もお話をお聞きしているはず。ただし、あくまで最悪の想定であり妖魔帝国軍は戦力士気共に払底しつつある点はお忘れなく」
「分かっているが……、猊下や上層部が失神しそうであるな……」
「このような戦いが続くのならば本国に増派を願わねば……。幸い得る利益は多い……」
「連合王国としても余力はまだまだあるが度々このような死傷者を出しては、まさにアカツキ少将の見立て通りだ……」
カイデン中将や二カ国の参謀は現実を直視し、空気はさらに重たくなる。
唯一の幸いは勝利が見えている点。だから三カ国の全員は正気でいられているし、特に利権を得る為を少なくない遠征軍を派遣している協商連合軍は利益と損失を冷静に計算が出来ていた。
すると、マーチス侯爵は口を開く。彼もまたエイジスから告げられた内容に顔を険しくしていたが、同様に希望は失っていなかった。
「我々の幸運はこれが勝利が目前の戦いであることだ。旧東方領の全域制圧を果たせるのだ。気を落とす事は無い。大きな犠牲なのはオレもよく理解した。だが、これは無駄な犠牲ではなく繁栄の礎になるのだ。であるのならば、やるべき事は決まっている。最良の数で損失を抑え、兵達を失わない。それだけではないか?」
「ええ、そうでありますねマーチス大将閣下」
「ラットン中将閣下は今も陣頭指揮をされておられる。ここで総本部付次席参謀たる自分が職責を果たさなければ軍人として恥です」
「我々には神の御加護があります。主のご期待に沿わなければなりません」
マーチス侯爵の激励に、全員が決意を新たにする。勝つ戦いであるからこそ今はその一点に集中しなければならない。損害は多いけれど、反省するのは後でも出来るのだから。
その中で、この総本部に各所から通信が一斉に届いた。奇妙な内容だった。エイジスも不可解な現象に首を傾げる。僕にもそれは情報共有画面を通して伝わった。
「東部方面より報告。……え、いや、そんな」
「南部方面から報告あり。……まさかそんな」
「西部方面より報告。そんなありえない……」
「一斉にどうしたというのだ」
「東部方面総司令部より、妖魔帝国軍の攻撃が沈静化……」
「南部方面総司令部からも、反撃が止んだと」
「西部方面総司令部からも同じく……。前線の敵士官クラスから、戦闘停止要請の白旗が各所に上げられたとのこと……」
「南部も同じです。白旗が上がりました」
「東部も……、です。降伏ではなく、休戦交渉の白旗が」
「降伏ではなく、休戦交渉の白旗だと!?」
マーチス侯爵は予想だにしなかった敵軍の行動に驚愕し声を荒らげる。総本部は騒然となった。
ようやく諦めたのか……? 僕は思考を巡らそうとするけれど、余りにも突拍子もない現象に混乱していた。エイジスも計算外だったのか僕と視線が合うと首を横に振る。リイナも訳が分からないといった様子だった。
そこへ、新たな通信が入った。通信要員は大きく目を見開き、声を震わせながらこう言った。
「れ、連合王国、協商連合、法国の直接交戦中の三カ国だけでなく共和国や連邦等各国にも、妖魔帝国皇帝レオニードの名にて魔法無線通信あり……。暗号無しの平文で、一時間前に届いたとのこと……。よって、エルフォード国王陛下より勅令通信……」
「両方読み上げろ……」
マーチス侯爵は唾を飲み、静かに言う。
すると、通信要員は。
「妖魔帝国皇帝レオニードより、人類諸国へ通達する。我々妖魔帝国軍は我が勅令として戦闘を無期限停止とした。よって、人類諸国軍も無期限の戦闘停止を要請したい。なお、この通信が戦場に届いた時点で効力を発揮するものとする。です……」
「そんな馬鹿な事があって……。エルフォード陛下からは……?」
「連合王国軍全軍へ布告。我が名において、全軍に無期限の戦闘停止を命令する。我に忠誠を誓う貴様等は高潔な軍人である。先に戦端を開いた輩とはいえ、無期限戦闘停止を先んじて行っているのならば妖魔帝国軍に攻撃を続行するは外道であるから厳禁。本通信が到着した時点で効力を持ち、妖魔帝国軍から銃砲撃、法撃が途絶えたのならば即刻戦闘行動を停止せよ」
「勅令か……」
「協商連合大統領令布告あり。内容はほぼ、同じ、です……」
「法国より法皇勅令布告。即刻戦闘行動を停止せよと……」
「三カ国の軍最高指揮官からの命令か。ならば従う意外ないな……。――三カ国軍総司令官マーチス・ヨークが命じる。全軍、戦闘行動を停止せよ。これは、各国軍最高司令官からの命令である、とな」
11の月4の日
午前11時過ぎ
3カ国軍総司令部
僕が負傷した十の月十七の日から二十日近くが経過し、月も変わった十一の月初旬。
制圧して久しく敵侵攻に対する防御として野戦要塞が建築されつつあるダボロドロブではまもなく雪が降るのではないかという報告が入っねいた。
勢力圏となった旧東方領の殆どでは復旧作業と冬に備えた物資補給路の強化がなされる中、唯一の戦場となったブカレシタでは未だに戦いが続いていた。
法国はこれ以上の援軍は望めず、連邦は初戦での傷が癒えたとはいえ物資の支援に留まっていた。
結局連合王国軍は旧東方領の防衛部隊に一個師団を送る代わりにキシュナウから精鋭一個師団を投入することを決定した。
しかし、それでも戦局が大幅に変化することはない。
妖魔帝国軍が殆どの手札を使い切ったのと同じく、僕達三カ国軍も勝敗を大きく早めるカードを使ってしまったからだ。あとはひたすらの消耗戦。集団同士のぶつかり合い。
それらは三日前の要塞内での戦闘を終えて総本部に戻っていた僕の耳にも無線通信を通してまざまざと見せつけられていた。
「南部戦線総指揮官、モーディラッド大将閣下より通信あり。南部戦線の攻勢にあたる連合王国軍第九師団、敵の急造魔石地雷により侵攻速度が低下。予備第十一師団一個旅団を投入し、砲兵と魔法兵で焼き払い魔石ごと吹き飛ばすとのこと」
「西部戦線も同様に、要塞中西部まで到達するも敵総司令部に近付くにつれ抵抗が激しく消耗戦に。ハラスメント攻撃が続き、負傷者続出。総指揮官メルツ大将閣下、カノン砲による砲撃の追加要請」
「東部戦線ラットン中将閣下より、突出部形成に戦術級魔法行使許可要請。発動までのL1ロケット、召喚士攻撃飛行隊の支援攻撃要請あり」
各方面から絶え間なく入るのは敵の頑強な抵抗により出血を続ける三カ国軍の戦況と、昨日に比べればようやく血路が開けたことにより攻勢に出たい各方面総指揮官からの大量の支援要請。
この約二十日、要塞の六割を制圧したのと引き換えに戦前の規定であれば四半期分の、新戦争計画基準ですら二ヶ月の弾薬を使っていた。
昨日までに妖魔帝国軍の損害はさらに増え、当初の三分の一以下の約五五〇〇〇にまで兵力は減じていたものの決死の攻撃は続いていた。
徹底的に弾薬庫など補給を潰し、魔法兵を集中的に狙って防衛能力を削ぎ、総司令部を破壊し尽くしても敵は挫けなかった。
地下を進みトンネルを掘り、発破して崩壊させる作戦も行われたが途中で気付かれ阻まれる事もあった。ならばと同じようにトンネルを掘って相手の監視が薄い部分まで入り込み後ろに回り込むなどもしてみるが、効果があっても決定的な戦果は掴めない。
結局、従来の作戦が主たる形となり今に至るわけなんだ……。
三カ国軍総指揮官たるマーチス侯爵は既にブカレシタ星型要塞攻略戦開始からこれまでの弾薬消費を痛いほど知っている。
「マーチス大将閣下、支援要請の全てに許可を。我々は勝っています。さらなる衝撃を敵に与え、これを期に敵総司令部のあった地区まで侵攻を。組織的抵抗を続けている辺り、敵総司令部は移転しているでしょうが、であるからこそ制圧地域をさらに拡大するべきです」
「カイデン参謀長の意見に賛成です、マーチス大将閣下。この際弾薬の消費量は無視しましょう。弾薬は作ればまた増えますが、よく訓練された高練度の兵はすぐには補充出来ません」
「そうだな……。ブリック少将」
「自分もカイデン中将閣下とアカツキ少将の意見に賛成です。包囲を進めるには、惜しみなく支援をするのが最良かと。我々に物資の心配はあまりありません。兵站参謀からもこれまでの水準を投入しても支障はないと言っておりました」
「分かった。情報要員各員は全戦線の総指揮官へ通達。全ての支援要請を受諾。ただし相応の時間がかかると伝えておけ」
『了解しました』
魔法無線装置により情報は速やかに伝達される。要望通りの支援が得られることに各方面からは感謝の声が届き、必ず任務を遂行させるとも述べられていた。
マーチス侯爵やブリック少将、参謀の面々、そして僕とリイナにエイジスは再び戦況が描かれている大きなテーブルにある地図へと視線を向けた。
「郊外戦を含めれば開始から既に二ヶ月以上。計画に大幅な遅延はないものの弾薬消費量と、何より人的損害が想定以上だな……。これまでの死傷者は約三五〇〇〇に達している。三カ国軍総合計で考えれば大きな損害ではないものの、戦死傷者は予想の百五十パルセントか……。そして、未だに要塞の全攻略はならず四割近くが残っている、と」
「参謀本部が考案した攻勢計画は中途までは上手くいったものの、オーガ・キングの複数出現によって狂わされましたね……」
「申し訳ありません。第一案が破綻し第二案たるL1ロケットと召喚士攻撃飛行隊による空爆も効果は限定的。第三案の坑道構築からの攻勢と敵備蓄庫や後背攻撃も芳しくありません。流石に時間のかけられた堅固な要塞で、新しい戦場たる空はともかくとして下からの攻撃には備えていたようで……」
「いや、優秀な参謀本部が考案した作戦でもダメならば要塞の指揮官が極めて優秀なだけだ。今更な話だが、以前の敵指揮官ならここまで手こずってなかっただろうよ」
マーチス侯爵、ブリック少将の順に発言し続いて参謀長たるカイデン中将が謝罪する。けれどマーチス侯爵は決してカイデン中将を責めはしなかった。
彼の言う通りだ。面積百平方キーラ以上の広大な要塞に立て篭もる敵は無視できるような存在ではなく、今後の戦争計画を踏まえるとなんときても陥落させないといけない。
奴らは数が減って物資が浮いた分だけ抵抗可能日数は増える。だったら兵糧攻めすればいいのだろうけれど、ここは本国から非常に遠い地。目の前に迫る冬になれば主要輸送路が今までのような兵站能力を保証出来ない以上、そんな選択肢は取れなかった。
とはいっても、死傷者が多すぎる。ああは言ったけれど、物資弾薬の消費量だって馬鹿にならない。
前世の日露戦争のとある戦場を思わせるような状態だった。
マーチス侯爵とカイデン中将がこれまでの作戦を振り返り、貴重な兵士を失わない為にはどうするべきかを話し合う中でリイナは僕に話し掛けてきた。
「旦那様、これまでの物資弾薬消費量はどれくらいだったかしら」
「二ヶ月で戦前水準なら一年分、新戦争計画基準で半年だね。はっきり言って新戦争計画基準ですら想定を凌駕しているよ。けど、それ以上の問題は兵の損失かな。エイジス、現状のままで作戦を遂行した場合の想定死傷者数と消費する諸々を演算して」
「サー、マイマスター。中途まで演算完了している為、完了までに約十分」
「お願い」
前世で例えるのならば、この小さい体躯で経験と知識の蓄積によってスーパーコンピューター並の演算能力まで進化を遂げたエイジスは演算モードに切り替わり、地図の端に立つ。
僕達がこの時代では考えられないくらいに作戦の修正を繰り返せるのはマンパワーでは成し遂げられない計算を可能にするエイジスがいてからこそ。第二解放以降全体的に能力が向上している彼女はますます欠かせない存在になっていた。
だから技術の限界と僕の頭の限界によって彼女の能力を十全に活かせないのは悔しい限りだった。
「それにしても、半年、ね……。突出部形成には二十日間で旅団戦力を幾度と投入しているけれど、そもそもオーガ・キングのせいで消耗しているから何度も使えないから……」
「まだ山脈も越えていないのに貴重な旅団の精鋭に犠牲は強いられないよ。あそこにいるのは最低数年、基本的に十数年の訓練によって極限まで高められた凶器の集団だ。一人失うだけで普通の兵何十人分の損失になるか分かったもんじゃないよ」
「旦那様は時折兵士を数として考えるように冷徹だけれど、間違ってはいないわね……。これがアナタが言っていた新しい戦争の姿なんだもの」
「勝ちすぎたツケが回ってきたのかもね。僕も妖魔帝国軍の戦力を低く見積もっていたかも。分かっていたのにね。身を持って知ることになった」
「あいつら、孤立無援なのに戦うだなんて正気じゃないわ。これも皇帝に対する忠誠心なのかしら。もしくは恐怖がそうさせているのか……」
「どっちもだろうね。正規軍なら真っ当な扱いを受けているはず。だから勝てば報奨は得るし、とはいえ負ければ懲罰を受ける羽目になる。気がかりなのは奴らの魔法無線装置の中継局を潰しているのに、まるで死守命令が継続しているかのように抵抗している点だ。となると、やはり総指揮官は皇帝に余程忠誠を誓っているのか、もしくは途絶する前に何らかの見返りがあって死守命令を全員が果たそうとしているのか、いいや……」
「総指揮官がお父様やアナタのように兵達に慕われていて、統率を保っているから?」
「かもしれない……」
前世でも玉砕覚悟でその土地に歯を食いしばってても抵抗を続けた例なんて歴史上いくらでもあるし、旧日本軍では数え切れないくらい行ってきた作戦の類だ。
例えば硫黄島、例えば沖縄戦。例を上げればキリがない。
そして、妖魔帝国軍は人類諸国に消耗を強いて弱った所を叩く戦略を取っている。ならばこの作戦は兵員数において僕達より遥かに余裕がある妖魔帝国側ならおかしくない戦法だ。
僕達は失えば失う程後々不利になる。
打開するにはどうしたらいいのだろう。
「アカツキ少将、何やら考え込んでいるようだが案は浮かんだかね? 我々の頭脳たる貴官には幾度となく救われているが」
僕が腕を組んで肘の辺りを人差し指でとんとんと叩いていると、マーチス侯爵が話し掛けてきた。
「はっ。はい、マーチス大将閣下。打開策を考えていたのですが……」
「ほう。この状況を切り開けそうか?」
「はっ。いいえ。残念ながら明確な案はありません」
「貴官でもやはり手詰まりか」
「残念ながら。我々はこの地でも勝利を手にするでしょうが、これまでのような快勝は最早実現不可能かと。先月のオーガ・キング出現がやはり打撃を受けていますし、L1ロケットやボビン・ドラムも数が心許なくなっています。召喚士攻撃飛行隊の負担は大きくなりますが現場の努力によって稼働率は維持しているものの限界がある上に決定打になりません」
「では、我々はひたすらに兵力を消耗するしかないと。オレはどうしようもない状態にあると理解しているから責め立てる事などするはずもない。だが、本国は多くを望んでいる。約三万五千の死傷者をこれ以上積み重ねてるのは好ましくないわけだ」
「畏れながらマーチス大将閣下。アカツキ少将の分析は極めて正しいと小官は思います。彼は負傷してもなお十分過ぎる働きをしており、頭と身体の両面で感謝してもしきれない活躍をしています。そのアカツキ少将ですら名案が無いのならば従来通り戦うしかありません」
カイデン中将は僕を擁護してくれていた。
この場においてマーチス侯爵は僕に期待しているとらいえ眼差しから分かるように無理を承知という様子だった。
それでも総指揮官としては本国の、特に、今は大人しい西方派閥に対して反対材料にされない為にもこの戦況を好転させたい。だから酷な事を言っている。
カイデン中将も承知の上だけれど、階級上では部下にあたる僕を庇ってくれたんだ。それにしては些か感情も含んでいるような気がするから、僕を信頼してくれていた結果の行動と言動なのかもしれないけれど。
「勝てる戦いではあるが、犠牲も多い、か。アカツキ少将が以前言っていた戦争形態が現実となってきたということか」
「はい。軍だけではありません。政治家たる貴族や議員にも説明した通りです」
「――マスター。演算を完了しました」
重い雰囲気の中、エイジスが演算を終えた事を伝える。当然マーチス侯爵や参謀達は注目する。
「演算? エイジスに何か予測をさせたのか?」
「はっ。現在の戦況から完全制圧までの推定損害を算出させていました」
「現実を知るには丁度いいな……。エイジス、どれ程になるか教えてくれ」
「サー、マーチス大将閣下。最良の場合と最悪の場合の二つを出しましたが、どちらからお聞きになられますか」
「最良の場合から言ってくれ」
「了解。最良の場合、完全制圧までに死傷者は約四万。物資弾薬消費量は新戦争計画基準で半年強。推定完全制圧期日は約十日」
「最良でも四〇〇〇〇か……。最悪の場合は……?」
「死傷者約四八〇〇〇から五〇〇〇〇。物資弾薬消費量は新戦争計画基準で八ヶ月から九ヶ月。推定完全制圧期日、約二十日から一ヶ月です」
「五〇〇〇〇だと……」
「消費量が一年分に近いだって……。三ヶ月の戦闘でか……」
「五万は余りにも……。エイジス、連合王国軍のみでの内訳は……? 戦場に戻れる数を抜いた、もう戻れないもしくは生きて帰れない数を抽出してくれないか……」
「神の御使いエイジス殿よ、法国の死傷者を教えてくれぬか……? ブリック少将と同様の抽出方法で……」
「協商連合もお願いしたい……。我々はこの中で最も数が少ないんだ……」
エイジスの最悪の想定に対して、マーチス侯爵、カイデン中将、ブリック少将の順に言い参謀一同も絶句した。死傷者が五万というと一回の大規模戦闘において総計約二六五〇〇〇いる三カ国軍の戦力の約五分の一だ。あくまで死傷者だからこのうちのどれだけかは戦線復帰も叶うだろうけれど、それを抜いても一割以上の命が失われるか二度と戦場に戻れなくなるということになる。
それは三カ国軍にとって痛みを伴う数だった。
ブリック少将は連合王国軍人として正確な数値を求め、法国――マルコ大将は自国司令部の指揮に追われており、ここにいるのは派遣された次席参謀――や協商連合の参謀も同じように言う。
エイジスは極めて冷静に、報告書を読み上げるが如く現実を伝え始めた。
「これまでの損失を含め、連合王国軍約一〇〇〇〇、法国軍約一一〇〇〇、協商連合軍約六〇〇〇です。三国合計で復帰不可能な死者と重傷者は、計二七〇〇〇。五十四パルセントが該当します」
「我々だけで一〇〇〇〇……」
「あれだけの損害を受け、ここでも一一〇〇〇ともなれば我々は最早……」
「我が協商連合の精鋭達が、六〇〇〇……」
「動揺されるには十分な値ですが、マイマスターたるアカツキ様は既に覚悟されておりました。また、皆様方もお話をお聞きしているはず。ただし、あくまで最悪の想定であり妖魔帝国軍は戦力士気共に払底しつつある点はお忘れなく」
「分かっているが……、猊下や上層部が失神しそうであるな……」
「このような戦いが続くのならば本国に増派を願わねば……。幸い得る利益は多い……」
「連合王国としても余力はまだまだあるが度々このような死傷者を出しては、まさにアカツキ少将の見立て通りだ……」
カイデン中将や二カ国の参謀は現実を直視し、空気はさらに重たくなる。
唯一の幸いは勝利が見えている点。だから三カ国の全員は正気でいられているし、特に利権を得る為を少なくない遠征軍を派遣している協商連合軍は利益と損失を冷静に計算が出来ていた。
すると、マーチス侯爵は口を開く。彼もまたエイジスから告げられた内容に顔を険しくしていたが、同様に希望は失っていなかった。
「我々の幸運はこれが勝利が目前の戦いであることだ。旧東方領の全域制圧を果たせるのだ。気を落とす事は無い。大きな犠牲なのはオレもよく理解した。だが、これは無駄な犠牲ではなく繁栄の礎になるのだ。であるのならば、やるべき事は決まっている。最良の数で損失を抑え、兵達を失わない。それだけではないか?」
「ええ、そうでありますねマーチス大将閣下」
「ラットン中将閣下は今も陣頭指揮をされておられる。ここで総本部付次席参謀たる自分が職責を果たさなければ軍人として恥です」
「我々には神の御加護があります。主のご期待に沿わなければなりません」
マーチス侯爵の激励に、全員が決意を新たにする。勝つ戦いであるからこそ今はその一点に集中しなければならない。損害は多いけれど、反省するのは後でも出来るのだから。
その中で、この総本部に各所から通信が一斉に届いた。奇妙な内容だった。エイジスも不可解な現象に首を傾げる。僕にもそれは情報共有画面を通して伝わった。
「東部方面より報告。……え、いや、そんな」
「南部方面から報告あり。……まさかそんな」
「西部方面より報告。そんなありえない……」
「一斉にどうしたというのだ」
「東部方面総司令部より、妖魔帝国軍の攻撃が沈静化……」
「南部方面総司令部からも、反撃が止んだと」
「西部方面総司令部からも同じく……。前線の敵士官クラスから、戦闘停止要請の白旗が各所に上げられたとのこと……」
「南部も同じです。白旗が上がりました」
「東部も……、です。降伏ではなく、休戦交渉の白旗が」
「降伏ではなく、休戦交渉の白旗だと!?」
マーチス侯爵は予想だにしなかった敵軍の行動に驚愕し声を荒らげる。総本部は騒然となった。
ようやく諦めたのか……? 僕は思考を巡らそうとするけれど、余りにも突拍子もない現象に混乱していた。エイジスも計算外だったのか僕と視線が合うと首を横に振る。リイナも訳が分からないといった様子だった。
そこへ、新たな通信が入った。通信要員は大きく目を見開き、声を震わせながらこう言った。
「れ、連合王国、協商連合、法国の直接交戦中の三カ国だけでなく共和国や連邦等各国にも、妖魔帝国皇帝レオニードの名にて魔法無線通信あり……。暗号無しの平文で、一時間前に届いたとのこと……。よって、エルフォード国王陛下より勅令通信……」
「両方読み上げろ……」
マーチス侯爵は唾を飲み、静かに言う。
すると、通信要員は。
「妖魔帝国皇帝レオニードより、人類諸国へ通達する。我々妖魔帝国軍は我が勅令として戦闘を無期限停止とした。よって、人類諸国軍も無期限の戦闘停止を要請したい。なお、この通信が戦場に届いた時点で効力を発揮するものとする。です……」
「そんな馬鹿な事があって……。エルフォード陛下からは……?」
「連合王国軍全軍へ布告。我が名において、全軍に無期限の戦闘停止を命令する。我に忠誠を誓う貴様等は高潔な軍人である。先に戦端を開いた輩とはいえ、無期限戦闘停止を先んじて行っているのならば妖魔帝国軍に攻撃を続行するは外道であるから厳禁。本通信が到着した時点で効力を持ち、妖魔帝国軍から銃砲撃、法撃が途絶えたのならば即刻戦闘行動を停止せよ」
「勅令か……」
「協商連合大統領令布告あり。内容はほぼ、同じ、です……」
「法国より法皇勅令布告。即刻戦闘行動を停止せよと……」
「三カ国の軍最高指揮官からの命令か。ならば従う意外ないな……。――三カ国軍総司令官マーチス・ヨークが命じる。全軍、戦闘行動を停止せよ。これは、各国軍最高司令官からの命令である、とな」
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