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第15章 戦間期編2
第21話 妖魔帝国の脅威とされる新たな人物。その名は。
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・・21・・
沈黙を破ったアカツキの発言。
その前に、そもそも新戦争計画『悠久の栄光』とは一体どのような戦争計画なのだろうか。
ブカレシタ休戦条約発効から暫くして、連合王国軍は将来を見据えて新しい戦争計画の作成に取り掛かっていた。
これらはいくら休戦したとはいえ最低で五年、最長で七年しかない仮初の平和であるという点があったからである。
軍官民問わず休戦期間の中盤から休戦延長の意見が出ていたとはいえ、軍縮を決めた協商連合等と比較すると参謀本部自体は未だに妖魔帝国に対して懐疑的であった。
例えば休戦を延長したとして一度きりでしかなく、いつかは妖魔帝国は再び人類諸国に侵攻してくるだろう。といった意見が多数派だった。それはアカツキやマーチスなどが参謀本部と深く関わっている上に参謀本部自体があらゆる可能性を加味して常に思考を巡らせていたからである。
故に新戦争計画『悠久の栄光』は休戦から一年半が経過した時点で研究と作成がされていっていた。
下記にその概要を記すものとする。なお、抜粋した文献資料は、『アルネシア連合王国軍戦史書』である。
連合王国軍参謀本部作成新戦争計画『悠久の栄光』概要
1,本戦争計画は休戦となった妖魔帝国が休戦期限切れもしくは再延長期限切れとなった際に侵攻を再開するものと想定し作成した。
2,本戦争計画は前戦争計画を概ね引き継いでいるが、当初と比較して変化した分野が複数ある為、いくつかの変更を伴う。
3,本戦争計画による軍動員について。兵器類や運用方法にあたってアカツキ中将が特別教官時に講義で展開した内容を基に参謀本部も共同策定した『B号改革』に沿って開発及び運用方法研究が休戦前をもって概ね完了する為、それに沿って戦時については動員及び運用される。詳細な参照はアカツキ中将特別教官時講義内容及びB号計画概要資料を参考にされたし。
※補足
B号計画はアカツキ中将が特別教官時に発表及び講義展開した内容にほぼ沿っている。
4,妖魔帝国との再戦時においては連合王国軍は単独での展開に限界がある為、連邦と法国と協同して軍を展開する。共和国は後方支援。協商連合は政情不安定につき、当該国の支援及び遠征軍派遣に大きな期待は寄せないものとする。ただし、休戦前程度の派遣はあるものとする。
5,軍動員については現状編成分は条約期限切れより二ヶ月前には完了とする。これに伴い、本国の防衛には戦時動員を発令して穴埋めを行うものとする。担当は軍だけでなくエルフ理事会や『傭兵組合』にも協力を要請するものとする。
6,妖魔帝国との再戦に備えた遠征軍は軍通常時編成の三分の二となる四〇個師団とする。北部ダボロドロブに一五個師団、南部ブカレシタより二〇個師団に分割。中部は山脈越えに適さない為、正規軍五個師団及び現地屯田兵及びエルフ理事会開拓者、『傭兵組合』からの派遣組が担当。
7,作戦発動と同時に、北部は連邦軍及び協商連合軍、また妖魔諸種族連合共和国亡命政府軍とも協同し山脈越えを行う。これは南部でも同様とする。事前段階作戦として山脈越え時点での途上までの制空権を確保するものとする。なお制空権確保については秘匿『K』も運用す。
8,妖魔帝国が休戦前と同様の戦略を取るのであればかの国は我々を本土へ誘引した上で補給線を伸ばし攻勢限界点を迎えた所で反転攻勢を仕掛けてくる可能性が高い。よって、北部及び南部における攻勢では事前に緻密な兵站輸送路及び情報網を形成した上で早期に北部のキャエフや南部攻勢橋頭堡を確保。確保直後に妖魔帝国軍の予想を上回る攻勢速度をもって突出部を形成し順次包囲殲滅を敢行す。
9,8に必要なのは戦闘機による制空権確保と空襲による初期攻勢、続けて快速運用可能な魔法能力者のみで構成される『完全魔法能力者化師団』にて突破し戦術を駆使して二方面同時に早期に妖魔帝国本土最西部を占領する。なお、占領地域の北西部は妖魔諸種族連合共和国が正式に国家を樹立して統治を開始、南西部は連合王国を中心として臨時統治機関にて一時的な統治を開始する。
10,本時点までが戦争計画第一段階とする。最終的には南部はセヴァストゥーポラまで進出。その時点までに人類諸国連合艦隊をもってしてヴォルティック艦隊は撃滅を目標とする。北部については統治開始後抑圧された少数民族による志願兵などにより兵力を増強を行う。これについてはY特務機関の任務の一つとして現在下地の形成を遂行中。北部についてはセヴァストゥーポラ近郊まで進出した時点で主攻を法国軍や協商連合軍に委任し、連合王国軍は軍の過半を北進させ北西部展開の軍と合流。最終的にはレオニブルクへ侵攻し最終目標、妖魔帝国帝都の陥落及び妖魔帝国の降伏を狙うものとする。
11,各項詳細については本項以降の各項詳細頁を参考のこと。
新技術と新戦略によって、最終目標こそ変わらないものの途上までの計画が変わった『悠久の栄光』。
それは壮大な戦争計画ではあるが、内容自体に将官達も連合王国中枢にも大きな驚きは無かった。
しかし、それでも速度を重視されるこの戦争計画において纏まりを欠かす事は悪影響を及ぼしかねない。
だからこそ、アカツキはやや過激な発言をしてでも一致団結させようとしたわけであった。
・・Φ・・
「アカツキ中将、貴官はこれまで条約延長には反対こそしたが平和を望んでいたはず。急にどうした……? 随分と過激な意見だが」
先に結論を述べた僕に対して、サウザン中将はやや驚いた表情で言葉を返す。
「会議の場を見守っていたけれどサウザン中将も知っての通り、妖魔帝国の動きに変化が生じていますよね? 外交だけじゃない、軍にせよ経済にせよ、大きな変革があった可能性があるって」
「例の情報筋から、か……。うむ、それはアカツキ中将の言う通りだ。確か例のからは、以前に比べて経済状況が安定していると。そもそも鉄道が開通していたというのも驚きだった」
「補足事項。Y情報によると、入手可能だった情報から予測して妖魔帝国の経済成長はある時期を境に大きく上昇しています。推測、一八四三年前後から今年に至るまで約八パルセントの経済成長。別紙資料三、六ページより抜粋」
エイジスの補足事項に会議の場にいる殆どが驚きを示していた。
別紙資料にはここ数年間の人類諸国と妖魔帝国の経済成長率が記されている。
妖魔帝国はかなり大雑把な推測値だから多少の前後はあるかもしれないけれど、休戦後からしばらくしての経済成長率が一気に跳ね上がっている。休戦前の年率二パルセントと比較して、ここ二年はずっと七~八パルセントあたりと推測されている。
これは前世の日本における高度経済成長期とほぼ同じ数値だ。ただ、妖魔帝国の経済成長要因は連合王国の内需中心の軍需が加算とは違って、軍需中心で物流改革に伴う民需活発化なんだけどね。
それでもこの数値明らかに何らかの変化があったと言ってもいい。
でも、何らかの変化については真相が辿り着けていなかった。
「アカツキ中将閣下副官、私リイナよりさらなる補足を致します。例の情報筋によると妖魔帝国では現在、『五か年計画』なるものが進行中とのことで、鉄道の敷設が一挙に行われたのも主要兵器類の生産や開発が活発化しているのもこの計画の一環だと思われます。しかし、反面として反政府活動者への検挙が苛烈さを増しておりました。これにより情報筋の活動が難しくなっており機密情報の収集には中々至れない所もありますが、逆に残った反政府活動者を取り込むことも可能でしょう」
「妖魔帝国は以前より飴と鞭の使い方が上手くなっているということか……。経済成長の恩恵を授けさせつつも、体制に反対する者へは以前以上に取り締まる。彼らの末路は語るまでもないな。経済成長一つ取っても我が国すら上回るのは脅威かもしれんし、軍事面や鉄道も然り。だがな、アカツキ中将。妖魔帝国は律儀に自身に不利な条約を守っているではないか。かの国を刺激して良からぬ言質を与えるよりも大人しくしておいた方が余程いい。例の情報筋もこの点では綱渡りではあるわけだからな」
サウザン中将は妖魔帝国に対する懸念は持ちつつも、持論は崩していなかった。
彼の言うことも一理ある。しかし、前世の歴史が物語っているんだ。宥和したところでロクな結末を迎えないと。
例えばとある大国が宥和姿勢を打ち出した事により小国が犠牲となり、最終的には取り返しが付かなくなったかのように。
「ええ、今の所は妖魔帝国は条約を守っています。恐らくは、期限切れまでは守ってくるでしょう。ですがそのあとは? よしんば来年は良しとしてもさらに二年後は? もし妖魔帝国がかつてのような成長速度で軍の改革も遅々として進まないのであれば私も延長も良しとしたでしょう。しかし、Yを送り込み蓋を開けた結果が軍需の活発化だけではありません。些細な事かもしれませんが、道行く帝国軍人の質も向上しているのです。以前のような狼藉も働かない。教育が行き届いているようになっている。兵までは分かりませんが、少なくとも士官クラス程度までは。これは大きな変化です。我々にとっての当たり前を妖魔帝国も当たり前になりつつある。つまり、統率力の大幅な向上です」
「それは常識であろう? 本来ならば防人たる軍人は不法行為に及ばぬ。…………いや、ああ、そうか。彼我の質的差異が縮まると……。兵器だけを高めたハリボテの軍隊ではなくなると……」
「流石は聡明なサウザン中将。仰る通りですよ。たった一つ、我々にとっての常識を妖魔帝国も常識にしたのは進化なんですよ。目に見えている脅威は市民達でもすぐに分かります。ですが、このような我々軍人ですらも感じ取りにくい部分まで進化させている事が、最も妖魔帝国に脅威を感じる部分なんです」
「ふむ……。だからこそ、アカツキ中将が先に述べた妖魔帝国中枢部体制に何かがあったに繋がるわけか」
アプローチを変えて述べていくと、事の重大さに気付く者が増えてきた。ここに気付ける人が多いあたり、連合王国軍人の層の厚さと優秀さが伺えるよね。
「リイナ、中枢部体制についての説明を」
「分かったわ。――別紙資料二の八ページをご覧ください。妖魔帝国の休戦前と休戦後の外交方針や経済動向、インフラ整備や判明している軍の様子を左右の表に纏めたものになります。既に話にあったように妖魔帝国の休戦前と休戦後の全般的な傾向は見違える程に成熟している点が見受けられます。これらは皇帝レオニードによる膿の摘出、つまりは粛清が目処がついたことによるものもあるでしょう。しかし、参謀本部では一つの可能性を導き出しました。それが、皇帝に近しい中枢部体制に動きがあった。です。こちらはまだ先日届いたばかりの新しい情報です」
「情報補足。Yによると妖魔帝国内部では新しく皇帝の側近として『特別相談役』が就任しているとありました。名を、『リシュカ・フィブラ』。ただし、公式に目立った活動歴が無く情報としても皇帝のかつての幼馴染で、博識かつ魔法にも優れるとだけあります。写真も皆無。姿を現す事は得られた情報の範囲ではありませんでした。また、軍関係での情報も南方蛮族地域に一度だけで詳細は不明でした。推測の範囲を越えませんが博識と魔法に優れる点から異国を見聞しにいったのかもしれません。極一部の例外を除き、基本的には皇宮内における皇帝レオニードの政治に助言をする立場であるだけだと思われます」
「エイジス特務官の分析はLによる情報をもとに参謀本部が考察した補足になります。リシュカ・フィブラなる人物は妖魔帝国における新しい人物ですが、外にも出ることはほとんど無く人物像が掴めない部分に不気味さを感じさせはしますが、妖魔帝国において決定権を持つのは結局は皇帝であり、参謀本部の結論としては前皇帝により辛酸を味わった幼馴染を保護していると結論付けました。ただし、この幼馴染が皇帝に対しての何らかの入れ知恵をしている可能性は捨てきれず、妖魔帝国情報機関から仕入れた情報で我が国の軍の真似をさせて追いつこうとしているかもしれない。と予測されます」
リイナが口にした参謀本部の分析には僕も概ね同意していた。というのも、彼女にまつわる情報は余りにも少なくどれも推測の域を越えないあやふやなものだからだ。
リシュカ・フィブラという人物が『特別相談役』に就いているという情報は得られた。皇帝レオニードの政治的な相談役である事までは分かった。
けれど得られた情報がそこまでだったんだ。これはY特務機関が入り込めたのが妖魔帝国西部までであることが大きい。広大な妖魔帝国に人員を配置するには人が足りなかったという事情もあったけれど、妖魔帝国の目を掻い潜るには帝都は監視の目――妖魔帝国諜報機関は勿論のこと憲兵による監視が帝都は西部とは段違い。――が厳しすぎたんだ。
他にも様々な任務で、結果的にY特務機関の活動範囲は妖魔帝国西部に留まっていた。
それでも、この『リシュカ・フィブラ』という正体がほとんど掴めない人物の情報が得られたのは、妖魔帝国の内情入手と併せて大きな収穫だった。
僕の見立てでは、恐らくだけれども彼女こそが妖魔帝国中枢部体制に動きの張本人であり、皇帝レオニードに様々な助言をして妖魔帝国を強化している人物なんだろう。
休戦後に彼女が発見されてからしばらくして発表された『五か年計画』。
以前と比較して著しく上昇した経済成長率。
そして、妖魔帝国軍のハード面だけでなくソフト面での強化。
全て彼女が登場してから起きている出来事だ。
姿形がほとんど分からないし情報も統制されているんじゃないかってくらい少ないっていう掴みどころがなくて不気味なのも、僕にさらなる危機感を抱かせていた。
間違いなく、彼女は再戦後において妖魔帝国を裏から動かす非常に大きな脅威になるだろう。って。
「リイナ准将、エイジス特務官の話のように、直接的には軍に関わっては来ないものの妖魔帝国中枢にて影響を生じさせている『リシュカ・フィブラ』という人物と、粛清を経て膿を取り切った妖魔帝国軍、そして強大な権力を持つ皇帝レオニード。様々な要素を含めて私は先の提唱をしました。会議にお集まりの皆様。今一度妖魔帝国に対する脅威を再認識して頂き、再戦後の長期的視点を持って新戦争計画『悠久の栄光』に賛成してもらいたいと思います。思い出してください。大戦を先に仕掛けてきたのは、妖魔帝国なのです。この脅威を取り除かなければ、永遠に平和は訪れません」
僕がやや長くなった論の展開を終えると、会議室の空気が変わったのを実感した。
「リシュカ・フィブラ、か……。ノーエンロップ中将。貴官が条約延長に反対していたのはこの人物も含めてだったのか?」
「いや、サウザン中将。一個人までは深く認識はしていなかった。だが、考えてみると合点が行くのは間違いない」
「そうか……。しかし辻褄は合うものな……。これは自分も認識を改めなければならないな……」
現状の再認識。危機感の伝達。僕の推測を交えながらも参謀本部やエイジスの考察も含めて話した事で、サウザン中将含めてこの場にいる将官は考えを変えたようだった。
「どうやら貴官等の認識が変化したようだな。ではここで一度賛否を問おう。条約延長に賛成の者は挙手を」
マーチス侯爵が議論に一区切りついたことで早速賛否を取りにかかった。
反対した人はさっきよりかなり減っている。手を挙げているのは今の平和を引き伸ばしたい、先送りしたいという気持ちがあるんだろう。僕はそれを否定はしない。誰だって望んで戦争はしないからだ。
「では、条約延長に反対。新戦争計画『悠久の栄光』を始動した上で再戦後に備える事に賛成の者は挙手を」
挙手をしたのは多数。条約延長に反対へ転じた人は少なからず妖魔帝国に対する脅威を抱いていたんだろう。僕の発言が後押しした形になったんだと思う。
「決まりだな。では、連合王国軍としては条約延長に反対の立場として今後の大臣級会議で伝え、議会にも通した上で陛下に勅命を戴くとしよう」
『はっ!!』
こうして長い時間をかけた会議は幕を閉じた。
後日、大臣級会議でY特務機関による新たな情報が効果を発揮したのか条約延長反対は元の多数からさらに増えて外務省も条約延長せずの方向性で妖魔帝国と会談する事を方針とした。
議会も同様だ。特にエルフ理事会からの支援が効いたようだった。
国王陛下にはこの結果が伝えられる。
「そちらの議論、よう理解した。油断ならぬ妖魔帝国に対して備えよ」
このお言葉をもって正式に連合王国は条約延長をせず、新戦争計画『悠久の栄光』を始動させて各国との外交も事前調整は終えていたから正式な会談へと移っていったのだった。
沈黙を破ったアカツキの発言。
その前に、そもそも新戦争計画『悠久の栄光』とは一体どのような戦争計画なのだろうか。
ブカレシタ休戦条約発効から暫くして、連合王国軍は将来を見据えて新しい戦争計画の作成に取り掛かっていた。
これらはいくら休戦したとはいえ最低で五年、最長で七年しかない仮初の平和であるという点があったからである。
軍官民問わず休戦期間の中盤から休戦延長の意見が出ていたとはいえ、軍縮を決めた協商連合等と比較すると参謀本部自体は未だに妖魔帝国に対して懐疑的であった。
例えば休戦を延長したとして一度きりでしかなく、いつかは妖魔帝国は再び人類諸国に侵攻してくるだろう。といった意見が多数派だった。それはアカツキやマーチスなどが参謀本部と深く関わっている上に参謀本部自体があらゆる可能性を加味して常に思考を巡らせていたからである。
故に新戦争計画『悠久の栄光』は休戦から一年半が経過した時点で研究と作成がされていっていた。
下記にその概要を記すものとする。なお、抜粋した文献資料は、『アルネシア連合王国軍戦史書』である。
連合王国軍参謀本部作成新戦争計画『悠久の栄光』概要
1,本戦争計画は休戦となった妖魔帝国が休戦期限切れもしくは再延長期限切れとなった際に侵攻を再開するものと想定し作成した。
2,本戦争計画は前戦争計画を概ね引き継いでいるが、当初と比較して変化した分野が複数ある為、いくつかの変更を伴う。
3,本戦争計画による軍動員について。兵器類や運用方法にあたってアカツキ中将が特別教官時に講義で展開した内容を基に参謀本部も共同策定した『B号改革』に沿って開発及び運用方法研究が休戦前をもって概ね完了する為、それに沿って戦時については動員及び運用される。詳細な参照はアカツキ中将特別教官時講義内容及びB号計画概要資料を参考にされたし。
※補足
B号計画はアカツキ中将が特別教官時に発表及び講義展開した内容にほぼ沿っている。
4,妖魔帝国との再戦時においては連合王国軍は単独での展開に限界がある為、連邦と法国と協同して軍を展開する。共和国は後方支援。協商連合は政情不安定につき、当該国の支援及び遠征軍派遣に大きな期待は寄せないものとする。ただし、休戦前程度の派遣はあるものとする。
5,軍動員については現状編成分は条約期限切れより二ヶ月前には完了とする。これに伴い、本国の防衛には戦時動員を発令して穴埋めを行うものとする。担当は軍だけでなくエルフ理事会や『傭兵組合』にも協力を要請するものとする。
6,妖魔帝国との再戦に備えた遠征軍は軍通常時編成の三分の二となる四〇個師団とする。北部ダボロドロブに一五個師団、南部ブカレシタより二〇個師団に分割。中部は山脈越えに適さない為、正規軍五個師団及び現地屯田兵及びエルフ理事会開拓者、『傭兵組合』からの派遣組が担当。
7,作戦発動と同時に、北部は連邦軍及び協商連合軍、また妖魔諸種族連合共和国亡命政府軍とも協同し山脈越えを行う。これは南部でも同様とする。事前段階作戦として山脈越え時点での途上までの制空権を確保するものとする。なお制空権確保については秘匿『K』も運用す。
8,妖魔帝国が休戦前と同様の戦略を取るのであればかの国は我々を本土へ誘引した上で補給線を伸ばし攻勢限界点を迎えた所で反転攻勢を仕掛けてくる可能性が高い。よって、北部及び南部における攻勢では事前に緻密な兵站輸送路及び情報網を形成した上で早期に北部のキャエフや南部攻勢橋頭堡を確保。確保直後に妖魔帝国軍の予想を上回る攻勢速度をもって突出部を形成し順次包囲殲滅を敢行す。
9,8に必要なのは戦闘機による制空権確保と空襲による初期攻勢、続けて快速運用可能な魔法能力者のみで構成される『完全魔法能力者化師団』にて突破し戦術を駆使して二方面同時に早期に妖魔帝国本土最西部を占領する。なお、占領地域の北西部は妖魔諸種族連合共和国が正式に国家を樹立して統治を開始、南西部は連合王国を中心として臨時統治機関にて一時的な統治を開始する。
10,本時点までが戦争計画第一段階とする。最終的には南部はセヴァストゥーポラまで進出。その時点までに人類諸国連合艦隊をもってしてヴォルティック艦隊は撃滅を目標とする。北部については統治開始後抑圧された少数民族による志願兵などにより兵力を増強を行う。これについてはY特務機関の任務の一つとして現在下地の形成を遂行中。北部についてはセヴァストゥーポラ近郊まで進出した時点で主攻を法国軍や協商連合軍に委任し、連合王国軍は軍の過半を北進させ北西部展開の軍と合流。最終的にはレオニブルクへ侵攻し最終目標、妖魔帝国帝都の陥落及び妖魔帝国の降伏を狙うものとする。
11,各項詳細については本項以降の各項詳細頁を参考のこと。
新技術と新戦略によって、最終目標こそ変わらないものの途上までの計画が変わった『悠久の栄光』。
それは壮大な戦争計画ではあるが、内容自体に将官達も連合王国中枢にも大きな驚きは無かった。
しかし、それでも速度を重視されるこの戦争計画において纏まりを欠かす事は悪影響を及ぼしかねない。
だからこそ、アカツキはやや過激な発言をしてでも一致団結させようとしたわけであった。
・・Φ・・
「アカツキ中将、貴官はこれまで条約延長には反対こそしたが平和を望んでいたはず。急にどうした……? 随分と過激な意見だが」
先に結論を述べた僕に対して、サウザン中将はやや驚いた表情で言葉を返す。
「会議の場を見守っていたけれどサウザン中将も知っての通り、妖魔帝国の動きに変化が生じていますよね? 外交だけじゃない、軍にせよ経済にせよ、大きな変革があった可能性があるって」
「例の情報筋から、か……。うむ、それはアカツキ中将の言う通りだ。確か例のからは、以前に比べて経済状況が安定していると。そもそも鉄道が開通していたというのも驚きだった」
「補足事項。Y情報によると、入手可能だった情報から予測して妖魔帝国の経済成長はある時期を境に大きく上昇しています。推測、一八四三年前後から今年に至るまで約八パルセントの経済成長。別紙資料三、六ページより抜粋」
エイジスの補足事項に会議の場にいる殆どが驚きを示していた。
別紙資料にはここ数年間の人類諸国と妖魔帝国の経済成長率が記されている。
妖魔帝国はかなり大雑把な推測値だから多少の前後はあるかもしれないけれど、休戦後からしばらくしての経済成長率が一気に跳ね上がっている。休戦前の年率二パルセントと比較して、ここ二年はずっと七~八パルセントあたりと推測されている。
これは前世の日本における高度経済成長期とほぼ同じ数値だ。ただ、妖魔帝国の経済成長要因は連合王国の内需中心の軍需が加算とは違って、軍需中心で物流改革に伴う民需活発化なんだけどね。
それでもこの数値明らかに何らかの変化があったと言ってもいい。
でも、何らかの変化については真相が辿り着けていなかった。
「アカツキ中将閣下副官、私リイナよりさらなる補足を致します。例の情報筋によると妖魔帝国では現在、『五か年計画』なるものが進行中とのことで、鉄道の敷設が一挙に行われたのも主要兵器類の生産や開発が活発化しているのもこの計画の一環だと思われます。しかし、反面として反政府活動者への検挙が苛烈さを増しておりました。これにより情報筋の活動が難しくなっており機密情報の収集には中々至れない所もありますが、逆に残った反政府活動者を取り込むことも可能でしょう」
「妖魔帝国は以前より飴と鞭の使い方が上手くなっているということか……。経済成長の恩恵を授けさせつつも、体制に反対する者へは以前以上に取り締まる。彼らの末路は語るまでもないな。経済成長一つ取っても我が国すら上回るのは脅威かもしれんし、軍事面や鉄道も然り。だがな、アカツキ中将。妖魔帝国は律儀に自身に不利な条約を守っているではないか。かの国を刺激して良からぬ言質を与えるよりも大人しくしておいた方が余程いい。例の情報筋もこの点では綱渡りではあるわけだからな」
サウザン中将は妖魔帝国に対する懸念は持ちつつも、持論は崩していなかった。
彼の言うことも一理ある。しかし、前世の歴史が物語っているんだ。宥和したところでロクな結末を迎えないと。
例えばとある大国が宥和姿勢を打ち出した事により小国が犠牲となり、最終的には取り返しが付かなくなったかのように。
「ええ、今の所は妖魔帝国は条約を守っています。恐らくは、期限切れまでは守ってくるでしょう。ですがそのあとは? よしんば来年は良しとしてもさらに二年後は? もし妖魔帝国がかつてのような成長速度で軍の改革も遅々として進まないのであれば私も延長も良しとしたでしょう。しかし、Yを送り込み蓋を開けた結果が軍需の活発化だけではありません。些細な事かもしれませんが、道行く帝国軍人の質も向上しているのです。以前のような狼藉も働かない。教育が行き届いているようになっている。兵までは分かりませんが、少なくとも士官クラス程度までは。これは大きな変化です。我々にとっての当たり前を妖魔帝国も当たり前になりつつある。つまり、統率力の大幅な向上です」
「それは常識であろう? 本来ならば防人たる軍人は不法行為に及ばぬ。…………いや、ああ、そうか。彼我の質的差異が縮まると……。兵器だけを高めたハリボテの軍隊ではなくなると……」
「流石は聡明なサウザン中将。仰る通りですよ。たった一つ、我々にとっての常識を妖魔帝国も常識にしたのは進化なんですよ。目に見えている脅威は市民達でもすぐに分かります。ですが、このような我々軍人ですらも感じ取りにくい部分まで進化させている事が、最も妖魔帝国に脅威を感じる部分なんです」
「ふむ……。だからこそ、アカツキ中将が先に述べた妖魔帝国中枢部体制に何かがあったに繋がるわけか」
アプローチを変えて述べていくと、事の重大さに気付く者が増えてきた。ここに気付ける人が多いあたり、連合王国軍人の層の厚さと優秀さが伺えるよね。
「リイナ、中枢部体制についての説明を」
「分かったわ。――別紙資料二の八ページをご覧ください。妖魔帝国の休戦前と休戦後の外交方針や経済動向、インフラ整備や判明している軍の様子を左右の表に纏めたものになります。既に話にあったように妖魔帝国の休戦前と休戦後の全般的な傾向は見違える程に成熟している点が見受けられます。これらは皇帝レオニードによる膿の摘出、つまりは粛清が目処がついたことによるものもあるでしょう。しかし、参謀本部では一つの可能性を導き出しました。それが、皇帝に近しい中枢部体制に動きがあった。です。こちらはまだ先日届いたばかりの新しい情報です」
「情報補足。Yによると妖魔帝国内部では新しく皇帝の側近として『特別相談役』が就任しているとありました。名を、『リシュカ・フィブラ』。ただし、公式に目立った活動歴が無く情報としても皇帝のかつての幼馴染で、博識かつ魔法にも優れるとだけあります。写真も皆無。姿を現す事は得られた情報の範囲ではありませんでした。また、軍関係での情報も南方蛮族地域に一度だけで詳細は不明でした。推測の範囲を越えませんが博識と魔法に優れる点から異国を見聞しにいったのかもしれません。極一部の例外を除き、基本的には皇宮内における皇帝レオニードの政治に助言をする立場であるだけだと思われます」
「エイジス特務官の分析はLによる情報をもとに参謀本部が考察した補足になります。リシュカ・フィブラなる人物は妖魔帝国における新しい人物ですが、外にも出ることはほとんど無く人物像が掴めない部分に不気味さを感じさせはしますが、妖魔帝国において決定権を持つのは結局は皇帝であり、参謀本部の結論としては前皇帝により辛酸を味わった幼馴染を保護していると結論付けました。ただし、この幼馴染が皇帝に対しての何らかの入れ知恵をしている可能性は捨てきれず、妖魔帝国情報機関から仕入れた情報で我が国の軍の真似をさせて追いつこうとしているかもしれない。と予測されます」
リイナが口にした参謀本部の分析には僕も概ね同意していた。というのも、彼女にまつわる情報は余りにも少なくどれも推測の域を越えないあやふやなものだからだ。
リシュカ・フィブラという人物が『特別相談役』に就いているという情報は得られた。皇帝レオニードの政治的な相談役である事までは分かった。
けれど得られた情報がそこまでだったんだ。これはY特務機関が入り込めたのが妖魔帝国西部までであることが大きい。広大な妖魔帝国に人員を配置するには人が足りなかったという事情もあったけれど、妖魔帝国の目を掻い潜るには帝都は監視の目――妖魔帝国諜報機関は勿論のこと憲兵による監視が帝都は西部とは段違い。――が厳しすぎたんだ。
他にも様々な任務で、結果的にY特務機関の活動範囲は妖魔帝国西部に留まっていた。
それでも、この『リシュカ・フィブラ』という正体がほとんど掴めない人物の情報が得られたのは、妖魔帝国の内情入手と併せて大きな収穫だった。
僕の見立てでは、恐らくだけれども彼女こそが妖魔帝国中枢部体制に動きの張本人であり、皇帝レオニードに様々な助言をして妖魔帝国を強化している人物なんだろう。
休戦後に彼女が発見されてからしばらくして発表された『五か年計画』。
以前と比較して著しく上昇した経済成長率。
そして、妖魔帝国軍のハード面だけでなくソフト面での強化。
全て彼女が登場してから起きている出来事だ。
姿形がほとんど分からないし情報も統制されているんじゃないかってくらい少ないっていう掴みどころがなくて不気味なのも、僕にさらなる危機感を抱かせていた。
間違いなく、彼女は再戦後において妖魔帝国を裏から動かす非常に大きな脅威になるだろう。って。
「リイナ准将、エイジス特務官の話のように、直接的には軍に関わっては来ないものの妖魔帝国中枢にて影響を生じさせている『リシュカ・フィブラ』という人物と、粛清を経て膿を取り切った妖魔帝国軍、そして強大な権力を持つ皇帝レオニード。様々な要素を含めて私は先の提唱をしました。会議にお集まりの皆様。今一度妖魔帝国に対する脅威を再認識して頂き、再戦後の長期的視点を持って新戦争計画『悠久の栄光』に賛成してもらいたいと思います。思い出してください。大戦を先に仕掛けてきたのは、妖魔帝国なのです。この脅威を取り除かなければ、永遠に平和は訪れません」
僕がやや長くなった論の展開を終えると、会議室の空気が変わったのを実感した。
「リシュカ・フィブラ、か……。ノーエンロップ中将。貴官が条約延長に反対していたのはこの人物も含めてだったのか?」
「いや、サウザン中将。一個人までは深く認識はしていなかった。だが、考えてみると合点が行くのは間違いない」
「そうか……。しかし辻褄は合うものな……。これは自分も認識を改めなければならないな……」
現状の再認識。危機感の伝達。僕の推測を交えながらも参謀本部やエイジスの考察も含めて話した事で、サウザン中将含めてこの場にいる将官は考えを変えたようだった。
「どうやら貴官等の認識が変化したようだな。ではここで一度賛否を問おう。条約延長に賛成の者は挙手を」
マーチス侯爵が議論に一区切りついたことで早速賛否を取りにかかった。
反対した人はさっきよりかなり減っている。手を挙げているのは今の平和を引き伸ばしたい、先送りしたいという気持ちがあるんだろう。僕はそれを否定はしない。誰だって望んで戦争はしないからだ。
「では、条約延長に反対。新戦争計画『悠久の栄光』を始動した上で再戦後に備える事に賛成の者は挙手を」
挙手をしたのは多数。条約延長に反対へ転じた人は少なからず妖魔帝国に対する脅威を抱いていたんだろう。僕の発言が後押しした形になったんだと思う。
「決まりだな。では、連合王国軍としては条約延長に反対の立場として今後の大臣級会議で伝え、議会にも通した上で陛下に勅命を戴くとしよう」
『はっ!!』
こうして長い時間をかけた会議は幕を閉じた。
後日、大臣級会議でY特務機関による新たな情報が効果を発揮したのか条約延長反対は元の多数からさらに増えて外務省も条約延長せずの方向性で妖魔帝国と会談する事を方針とした。
議会も同様だ。特にエルフ理事会からの支援が効いたようだった。
国王陛下にはこの結果が伝えられる。
「そちらの議論、よう理解した。油断ならぬ妖魔帝国に対して備えよ」
このお言葉をもって正式に連合王国は条約延長をせず、新戦争計画『悠久の栄光』を始動させて各国との外交も事前調整は終えていたから正式な会談へと移っていったのだった。
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