異世界妖魔大戦〜転生者は戦争に備え改革を実行し、戦勝の為に身を投ずる〜

金華高乃

文字の大きさ
381 / 390
終章 人類諸国の英雄と終焉の堕天戦乙女

第3話 生物兵器の自爆攻撃

しおりを挟む
・・3・・
5の月8の日
午後2時半過ぎ
ホルソフから約三〇キーラ地点
統合軍野戦司令部

 反乱軍との直接的な攻防が始まった翌日。前日と同じようにそれなりの進軍スピードを維持しつつ半包囲を狭めていたけれど、昼になってとんでもない報告がいくつも飛んできた。

「反乱軍の反撃が強まるとは思っていたけれど、まさかこんな方法でほぼ足止め状態になるとは思わなかったな……」

「全くよ。進退窮まった状況での末ならともかく、積極的にソズダーニアを自爆させるだなんてね。やや先で爆発したのを目にした時は、とんでもない威力だと感じたわ。目の前じゃないのに、衝撃波を少し感じたもの」

「推測。ソズダーニアが魔力暴走による自爆をした事で生じた爆発力は、おおよそ二〇〇ミーラクラスの砲威力と同程度。かなりのものになります。それらが各戦域にて合計約七〇が自爆。前進が止まるのも致し方ないかと」

「直接的な被害がかなり大きいものね……。小隊規模が壊滅したなんて報告もあるわ。あの威力じゃ納得だけれども……」

 今まで何度か予想外の局面があったけれど、今回はとびきりだった。最後の戦いだからってこんなことがあるとは思わなかったけれど。
 反乱軍の取った戦法はとてもシンプルだ。歩兵同士の乱戦や白兵戦において、強力な兵器となるソズダーニアを投入。ここまではいい。ヤツらが登場してからはよく見る光景だ。
 ところがソズダーニアはある程度戦ってこれ以上は厳しいとなると、突如として突進。そしてドカン。とソズダーニア自身が大爆発。
 僕も目撃したけど、リイナの言うように相当な威力だった。上級魔法クラスは確実だろう。
 まさに自爆攻撃。前世ではテロ等でお馴染みの手段だった。
 問題はその威力。ソズダーニアが自爆した際の威力はエイジスが言ったように大口径艦砲クラス。前世であっても洒落にならない威力だ。しかもそいつが計約七〇箇所で起きたともなれば僕達統合軍側は局地的にかなりの被害を受けても仕方がなかった。
 こんなことになれば当然兵士の士気に悪影響を及ぼす。これまでソズダーニアそのものにも悩まされてきたというのに、挙句自爆だ。下士官以下は恐怖し、士官クラス以上は今から対策に悩まされることになっているわけだ。

「リシュカらしいというべきか……、僕以上に人が嫌がることをこれでもかとやってくる……。いきなり自爆って手段を取ってきたってことは追い込まれてるのかもしれないけど……、いや……、でも貴重なはずのソズダーニアをまだ郊外地で戦ってる時点で自爆させてるってことは……」

「もしかしたら、まだソズダーニアのストックは十分にあるってことかしら?   私達が見立てていた、最低数よりずっと多い……?」

「間違いないだろうね。まず全体で約二〇〇は有り得ない。終盤で極限まで追い詰められていたのならともかく、いきなり全体の三割以上を爆発させない」

「勿体ないものね。コストと釣り合わないわ」

「そう。てことは理性的かつ意図的に使ってきてる。となると、ソズダーニアの総数は少なく見積もっても約一〇〇〇かそれ以上も有りうるね」

「マスターの推測に肯定。約一〇〇〇いてもおかしくありません。ソズダーニアの製造方法は捕虜に対する聴取によれば、予め薬剤を注入しておき発動魔法を詠唱すれば化け物になります。直前まで真の姿を隠せる点はここにあり、今日に至るまでワタクシ達が苦しめられた大きな理由の一つです」

「ソズダーニア自体を察知するのは困難。戦闘力は一型でも厄介なのに二型、三型とありおまけに自爆もする。その自爆も比較的短時間で行われるとなると……」

「自爆までの短い時間で倒しきるしかないわね……」

「エイジス、君の火力ならやれる?」

「一部肯定。集中投射であれば可能です。しかし、周囲からの妨害を受けるとなるとモードディフェンスによる防御の方が効率的かと。また、五体程度までならともかく、それ以上となると撃ち漏らしも有り得ます。特に二型や三型であればなおさらに」

「厳しいなあ……。前線部隊の火力ではもっと難しい……。やっぱりタダじゃ進ませてもらえないか……」

 結論は、現状打つ手に乏しい。だった。
 野砲やロケット砲による直撃、上級魔法以上による大火力投入。他にはエイジスによる直接対処などいくつかやれないことはない。
けれど野砲やロケット砲は無誘導だし、上級魔法も他の敵歩兵や砲兵も相手にすることを考えると現実的ではない。エイジスは一人しかいないからこの手が使えるのは自分がいるところだけ。第一解放までならある程度の時間稼働は出来るけど、後の反動もあるし……。
あとは毒ガスという手もあるっちゃあるけど、アレはソズダーニアに対して効き目が薄いんだよね……。まさに化け物だよ。

「相手がソズダーニアを出し尽くすまで、とにかく自爆を防ぎきるように対処するしかないか……」

「釈然としないけれど、それしかないわね。ソズダーニア発動を握る能力者を狙ったとしても化け物になってしまえばあとは好き勝手させてるだけで狙う意味もないし、アレゼル大将閣下がされているゴーレムを向かわせて一か八かで発動前に討伐するかゴーレムを壁にするのもアレゼル大将閣下だからこそやれるだけ。ゴーレム搭乗能力者兵でやるのは得策じゃないわ。後が困るもの」

「そういうこと。とはいえ放置する訳にはいかないから、現場から応急策でもいいから何かあればすぐ共有するように伝えよう」

「サー、マスター。即時全体へ通達します」

「よろしく。あと前線司令部へ連絡。予備兵力の用意をって連絡しておいて」

「サー」

 エイジスに伝えると、僕は戦場の正面に視線を移す。
 数十キーラ先にはあの人がいる。あの手この手を使い最後の悪あがきでもするつもりなのだろう。間違いなくこの後も僕は予想にしない方法か、前世ならば非人道的で行われない作戦も平気で実行してくるだろう。
 最後だし友軍優勢だから長くはかからないだろうと思われていたこの戦い。
 でも、僕はそんな悠長な予測なんてこの時点で頭から消え去っていた。
 次は何をやらかしてくる。と。

 案の定、あの人はすぐに次の手を使ってきた。
 ソズダーニアの自爆攻撃に対しては奴等が発現した地点へ優先的に砲火力やロケット砲を向けたり、可能であれば戦闘機による航空攻撃かココノエ陛下達による航空攻撃を行う。といった現時点で取れるベターな手段で対処していた三日後のことだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

処理中です...