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第十六話 初めての宮殿

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ミソラーメンとチャーハンと餃子が、皆の心に一瞬で刻まれた。
皆の中で世界一の食べ物と印象づけられてしまったようだ。
うん、結構庶民の食べ物なんだけどね。



食事が終わり、お別れの時間が来た。

「私は泊ります。ホベルトは帰って下さい」

ヒュアちゃんが我が儘をいってゆずらない。

「しかし、護衛無しでは国王陛下が許すはずがありません。先日事件があったばかりですし……」

「じゃあ、あなたも泊ればいいわ」

「それは、出来ません。女性ばかりのところに男が一人というのは、常識的に考えて無理があります」

「い、いや僕は……」

僕が男といおうとしたら、ローズとユーリさんとアクエラさんに肩をつかまれた。
そして、三人は首を振っている。
この三人はヒュアちゃんの宿泊を妨害することで結託している様だ。

「ノコ様は、すごく強いのです。だから護衛はいりません」

なおも反撃するヒュアちゃん。

「ははは、それならばそれを陛下に、証明していただかないといけません」

ん、なんか厄介ごとが起きそうな予感。

「ヒュアちゃん、今日は帰りましょう。その代わりお城までノコ様が送って下さいますから」

ローズの言葉で、ヒュアちゃんの顔がパッと明るくなった。

「わ、分かりました。今日の所は帰ります」

「では、ノコ様、ヒュアちゃん、ホベルトさん、行きますよ」

「まって、わちきもいくでありんす」
「私も行くのじゃ」

一瞬で王城の正門前に移動した。

「ローズ様、酷いです。わーーん」

ヒュアちゃんが泣き出した。
ヒュアちゃんはきっと、のんびりお話しながら、歩いて帰るつもりだったのだろう。
一瞬で移動してしまって泣き出してしまったのだ。

「あ、あらあら」

ローズが少しおろおろしている。
やり過ぎたと感じているのかもしれない。
まあローズとしても危険を回避する為にこうしたのだろうけど、ヒュアちゃんにしてみれば詐欺のようなものだ。

「どうでしょう、皆さんが泊っていかれては?」

ホベルトさんが主人の気持ちをくんで提案した。

「お許しがでるのであれば」

ローズが罪悪感からかすぐに了解した。
許可は王族が一緒なのですぐに下りた。
城の門をくぐると、護衛が女性の騎士に変わった。
宮殿に入ると何だか様子がおかしい。

んー、女性が多い。
と言うか、女しかいない。
まてまて、これやばい奴なんじゃ無いかー。

僕が驚いて、ローズの顔を見た。
目を決して合わせない。
ユーリさんとアクエラさんを見たら二人とも天井を見ている。
こ、こいつら気が付いてやーがる。
しかも面白がっている。

僕が完全に女扱いになっている。

「ヒュアちゃん、いいかな」

「何ですか」

「僕男だよ」

「大丈夫です。気にしないで下さい。はー楽しみです。ノコ様と一緒に私の部屋で寝られるなんて」

あーー、だめだーこの人達―。
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