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第二十三話 戦いの中へ

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「待ちなさい!」
「待つのじゃ!」
「まちなんし!」

あーうちの、美女三人衆がお怒りモードです。

「なんだてめー、サービスでもしようってのか」

うわーー、すごい下品です。

「おい、集まれ、すげー美人がサービスしてくれるってよ。くそ馬鹿が!」

「隊長どうしたんですか」

兵士が集まってきた。

「この女どもが、喧嘩を売ってきたのさ」

「そうですか、冒険者ごときが身の程もわきまえず」

はーー、こうなってくると街のごろつきと変わらないですね。
あんまり騒ぎを大きくしたくないですし、まじ困った。

「どけー、道をあけろーー」

「お前達何をしている。じゃまだー」

おーー、勇者ヒロ様のご登場だー。
回りが雑然としてきた。

「ローズ、ユーリさん、アクエラさん行きますよ」

この人混みに紛れて何とか脱出に成功することが出来た。

「あのね、皆さん、僕は目立ちたくないのです。この程度のことでいちいち切れないで下さい。いいですね」

「しかし、あれはひどいです」
「そうじゃ」
「そうでありんす」

「僕が指示するまで暴れるのは禁止ですいいですね」

「はーーーい」

うん、分かっていない時の返事だ。魂が入っていない。
兵士がいらだっているので、そこから離れ、この街のギルドにむかった。

ギルドには建物に入りきらないほど冒険者がいて、ここも殺気立っていた。

「なんだてめーF級冒険者かよー。何しに来た」

偉そうなベテランのC級冒険者が声をかけてくれた。

「はい、荷物運びに来ましたー」

「ふん、こっちに来い丁度今出発する部隊がある」

「はい」

「あれだ、あれに付いていけ」

「はい」

丁度街の門を出て行く部隊がいるので、そこについて行く事になった。

「みんな、あの荷車を押そうか」

僕は手の足りなそうな荷車を見つけてそれを押すことにした。

「はーーノコ様が押しても何の助けにもなりませんね」

ローズが笑っている。
僕は大魔女の悪戯魔法で超非力なのだ。
うちの三人衆が加わると、山盛りの荷車が急に軽く動き出した。

少し歩いていると、兵士の部隊が横を通過した。
そこに勇者ヒロがいる。
特別待遇なのであろう、馬車に乗っている。

「勇者ヒロ様!」

僕は声をかけた、少し知りたいことがあるのだ。

「おお、お前達かー」

「えーー、憶えて居てくれたのですか」

「当たり前だ、この世界に来てから、お前達以上の美女は、ヒュア姫しか見たことが無い。まさかあのちびに相手をさせるわけにもいかんだろー。があーはっはっはー」

さ、最低やろーだ。

「で、何の用だ」

「一つ教えて下さい。ヒロ様はドラゴンと戦うのですか」

「ふふ、あたりまえだ。そのためにこの世界に来たのだからな」

「すごいです。どうやって倒すのですか」

「ふふふ、俺には滅龍魔法という魔法がある。これでいちころだ」

「す、すごいです。では、僕は仕事がありますので」

「うむ、僕っこかー、いいなー」

勇者が何をつぶやいたのか聞こえなかったけど、僕は背筋が寒くなった。
勇者ヒロ案外すごい奴なのかもしれない、ドラゴンと戦うつもりなのだから。
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