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第五十七話 上下関係

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翌朝
メグさんと食事を済ませ、教室へ行く準備をしている所に、エリサ先生ことローズが来た。

「うわあ、エリサ先生!」

メグさんが芸能人を見た人の様に飛び跳ねて喜んでいる。

「ノノコさん準備が終ったら、一緒に行きましょう。メグさんも一緒にどうですか?」

エリサ先生は、部屋の中を一瞬見て、マリーの姿を見つけると薄ら笑顔になった。
黒猫マリーも小さくうなずいた。

「はい、是非。すぐに準備しまーす。先生、ノノコさんとはどんな関係なのですか」

そう言ってメグさんは急いで準備を始めた。

「はい、遠い親戚です」

僕はというと相変わらず女生徒用の制服を着ている。
準備が終ると三人で宿舎を出た。
異変は宿舎を出たときに感じた。

「誰かに付けられていますね」

エリサ先生が小さな声で言った。
メグさんが振り向きそうになったので。

「メグさん、振り向かないで下さい。気が付いていない振りをして下さい」

エリサ先生が小声で注意をする。

「一体誰なのでしょうか」

メグさんが心配そうな顔をしています。

「ふふふ、すぐにわかるでしょう」

僕とエリサ先生は笑顔をメグさんに見せました。
でも、その笑顔が恐かったのか、メグさんの顔が引きつっています。
F組の教室の前に着くと、二人と別れ教室の中に入った。



自分の席につくと、横で何かもめているようです。
体の大きなゴリラのような男とその取り巻き二人に、痩せた虚弱体質のような男が詰め寄られている。
ふふふ、日本にいた頃のノコのような男が、ゴリラの様な男にいじめられているように見えます。
僕がその様子をじっと見ていたら、とばっちりがこっちに飛んできた。

「おい、新入り何見ているんだ!」

ぐはっ、どうしたらいいものだろうか。
と、考えている間に僕の胸ぐらを掴んで来た。
視線を動かして誰か助けをしたそうな人を探して見たが、全員下を向いてこちらを見向きもしない。

「はーーっ、女の子にこんなことをするかなー」

「てめー、俺を恐れていねーな、おもしれーじゃねえか。きっちり上下関係ってものを教えてやろうじゃねえか」

まあ、ノノコさんの実力がどんなものか、知りたいですし、一丁このゴリさんで試し打ちをしてみましょうか。
僕はゴリさんの胸を手の平で叩いてみた。

ペチリ

「がーーはっはっはっ、なんじゃそら、痛くもかゆくも無いぞ」

「くすくす、本当にちょっぴりですね。これは」

「はーっ、てめー何を笑ってやーがる」

僕の力はほとんど戻されていなかった。
元々の僕の力なら、魔王四人と戦ってやや劣る位の実力だから、本来なら今の攻撃で十分ゴリさんを消し飛ばせるはずだ。
昨日メグちゃんにタオルを取られたので、たいして力は戻ってないとは思ったけどこれほどとは。
マリーは本当に、ほんのちょっとだけ僕の力を戻したのだ。
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