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第八十四話 予選観戦

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ヒュアちゃんは強制退場で我が家のお風呂へ転送となり、僕はサビアさんとシロイさんにがっちり手をつながれて大通りを歩いています。
エルフの国での誘拐の事を聞いているのでしょうか。
あれは、わざとさらわれたのですけどね。

大通りを歩き街の中央に着くと、右手に王城と闘技場が見えてきました。
二人の目的地は闘技場のようです。



「こちらです。選手控え室は関係者以外立ち入り禁止なのですよ」

サビアさんは自慢そうです。

「ノノコちゃん!!」

どこかで聞いた声です。
声の方を見ると、ゴリ君でした。

「予選の最終日まで残っていたのですね」

「まあな!!」

何だか格好をつけています。
でも、まあ控えめに見ても頑張っています。
少し感心しましたが、全身打ち身で青あざだらけです。
選手の中には、ケガ一つしてない人もちらほらいて、その人達が実力上位とすぐにわかります。
ここは、一つゴリ君に気合いを注入しましょうか。

「頑張ってください。応援しています」

僕は、ギュッとハグをしました。
ヒュアちゃんの真似をして上目遣いで見つめてあげました。

「……」

あっ、やばいゴリ君が白目をむいています。
とっさにサビアさんが体を支えてくれました。

「どっか、痛めているところがあったのでしょうか」

「ノコ様は、馬鹿なのですか。ノコ様が抱きつけば、大抵の男の人はそうなります。私がやったとしてもそうなります。私がやってならないのはノコ様だけです」

ヒュアちゃんがお風呂を終って合流してきました。
そして怒っています。
ヒュアちゃんの真似をしたのがバレたみたいです。

「この、らくだ顔野郎ーー!!」
「うらやましすぎるー!」
「次あたったらぜってー、許さねー!!」

なんだか、まわりにいる選手の方に気合いが入ってしまったようです。
良く見ると奥にティコーさんの姿があります。
ティコーさんは、今の様子を見て僕に近づくのをやめたようです。

「ティコー、お前、ノコ様にあいさつもしねーとは、どういう了見だー!」

あー、サビアさんがご立腹です。

「ティコーさんも残っているのですね」

「ええまあ」

僕は、ゴリ君にやったみたいにティコーさんにも闘魂注入しました。主にまわりの人に。

「ノコ様、では客席へ行きましょう。試合が行われていると思います」

シロイさんが部屋を出ようとします。
僕はせっかくなので、スカートの後ろをつまんでぴらっと上に上げました。

「うおおおおーーー」

聞いたことも無いような雄叫びが上がりました。
まさか、ノーパンかと思って、見てみましたが、ちゃんとピンクの可愛いひらひらでした。

「ノコ様、何てことをするのですか」

シロイさんに、たしなめられてしまいました。
真面目な人です。

「だってー、こんなスカートを履かせるからですよー。誰がこんなの履かせる事に賛成したのですか?」

そしたら、サビアさんと、ヒュアちゃんが手を上げました。
そしてシロイさんまで上げています。
肩を見たら、黒猫まで上げています。

「まさか、全員賛成だったとは!」



観客席は、予選ですが結構な人が観戦しています。
僕たちが椅子に座ると、近くにこの大会の説明が書いてありました。

「えーっと、本戦では、予選勝ち抜けの十二人足す、四人の招待選手の十六人で一試合対戦する」

四人の招待選手が僕の所の、高校生四天王ですね。

「そして、残った八人と、国王招待選手でトーナメントを行い、優勝者を決める。国王招待選手は、勇者ヒロ、ゼルバン大将軍、ホベルト将軍、五人のS級冒険者です」

五人のS級冒険者の中に、僕の家族のサビアさんとシロイさんが入っているというわけですね。
これは、なかなか誰が優勝するかわかりませんね。

「上位入賞者は、国軍の上級士官に採用するということですか、なかなか好条件ですね」

説明を読んでいたら、ゴリ君が登場してきました。
ゴリ君の対戦相手は、闘志がみなぎっています。
一撃で勝負が終りました。
当然ゴリ君が負けてしまいました。
なかなかに強い人がそろっているようですね。

僕たちはその後のティコーさんの勝利を確認して、闘技場を後にしました。
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