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第八十九話 決勝戦
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ヒュナちゃんとツェシュちゃんが舞台の中央で開始の合図を待ちます。
会場は応援の声も無くなり、緊張に鎮まりかえった。
「はじめー」
開始の合図とともにヒュナちゃんが飛び込んだ、それを軽く体さばきで避けると、ツェシュちゃんは素早くヒュナちゃんの背後に回り込みました。
そして、その背中をトンと押した。
まるで力を入れていないように見えました。
たったそれだけで、ヒュナちゃんの体はトンと場外へ落ちました。
ヒュナちゃんがすごく驚いた顔をしています。
僕も驚いています。決勝戦が一番盛り上がらない試合でした。
何なんですかこの試合はー。
「わあはははー、勝ったのじゃーー」
師匠のユーリさんが大喜びしています。
驚いたことに決勝はツェシュちゃんの圧勝で終わりました。
「うそでありんすー。何か不正があったはずでありんすー。私の弟子がこんなに簡単に、負けるわけがないでありんすー」
アクエラさんが涙目で僕に訴えかけます。
僕が見た感じでは、強さの桁が違うように感じました。
もともとバンパイアのツェシュちゃんは人間より、はるかに強いのはわかります。
でも力の差はそれだけではない気がします。
「ふふふ、私は青龍王、又の名を海王というのじゃ。海の魔獣を独り占めして狩っておいたのじゃー。私の作戦勝ちなのじゃーー」
ユーリさんが自分の口で答えを言いました。
「師匠勝ちましたーー」
ユーリさんが答えを言い終わると、ツェシュちゃんが入ってきました。
ツェシュちゃんが笑顔でユーリさんに抱きついた。
「良くやったのじゃ。弱い演技うまく出来ていたのじゃー。これで、ノコ様は私のものになったのじゃーー」
「えっ」
「これで、ノコ様は私のものなのじゃー」
「あの、ユーリさん何を言っているのですか。二回言ってもだめですよ。そんな約束はしていません」
どうやら、ユーリさんは森の魔獣を狩れるだけ狩ると、海に行き海の魔獣を狩りまくったようです。
海の底にさぞかし大量の魔石が落ちていることでしょう。
これは別に不正ではありません。
「ふふふ、ユーリさん、ツェシュちゃん師弟の圧勝です。でもいいのですか、賞品は一緒に海へ行くですよ」
「ふふふ、ノコ様と二人で行けるのじゃから、ご褒美なのじゃ」
「違いますよ、ツェシュちゃんも一緒ですからね」
「ツェシュ、辞退するのじゃー。師匠命令なのじゃー」
「こればかりは、師匠の命令でも聞き入れられません」
こうして、武闘会はユーリさんとツェシュちゃんの師弟の優勝で幕を閉じました。
「ふー、やっと武闘会が終わりました。はぁ、次はエルフですか。僕はいつになったら普通の暮らしが出来るようになるのでしょうか」
「えーーっ」
僕のつぶやきをきいて、居酒屋貴賓席の中に大きな驚きの声が上がった。
―第一部 完―
会場は応援の声も無くなり、緊張に鎮まりかえった。
「はじめー」
開始の合図とともにヒュナちゃんが飛び込んだ、それを軽く体さばきで避けると、ツェシュちゃんは素早くヒュナちゃんの背後に回り込みました。
そして、その背中をトンと押した。
まるで力を入れていないように見えました。
たったそれだけで、ヒュナちゃんの体はトンと場外へ落ちました。
ヒュナちゃんがすごく驚いた顔をしています。
僕も驚いています。決勝戦が一番盛り上がらない試合でした。
何なんですかこの試合はー。
「わあはははー、勝ったのじゃーー」
師匠のユーリさんが大喜びしています。
驚いたことに決勝はツェシュちゃんの圧勝で終わりました。
「うそでありんすー。何か不正があったはずでありんすー。私の弟子がこんなに簡単に、負けるわけがないでありんすー」
アクエラさんが涙目で僕に訴えかけます。
僕が見た感じでは、強さの桁が違うように感じました。
もともとバンパイアのツェシュちゃんは人間より、はるかに強いのはわかります。
でも力の差はそれだけではない気がします。
「ふふふ、私は青龍王、又の名を海王というのじゃ。海の魔獣を独り占めして狩っておいたのじゃー。私の作戦勝ちなのじゃーー」
ユーリさんが自分の口で答えを言いました。
「師匠勝ちましたーー」
ユーリさんが答えを言い終わると、ツェシュちゃんが入ってきました。
ツェシュちゃんが笑顔でユーリさんに抱きついた。
「良くやったのじゃ。弱い演技うまく出来ていたのじゃー。これで、ノコ様は私のものになったのじゃーー」
「えっ」
「これで、ノコ様は私のものなのじゃー」
「あの、ユーリさん何を言っているのですか。二回言ってもだめですよ。そんな約束はしていません」
どうやら、ユーリさんは森の魔獣を狩れるだけ狩ると、海に行き海の魔獣を狩りまくったようです。
海の底にさぞかし大量の魔石が落ちていることでしょう。
これは別に不正ではありません。
「ふふふ、ユーリさん、ツェシュちゃん師弟の圧勝です。でもいいのですか、賞品は一緒に海へ行くですよ」
「ふふふ、ノコ様と二人で行けるのじゃから、ご褒美なのじゃ」
「違いますよ、ツェシュちゃんも一緒ですからね」
「ツェシュ、辞退するのじゃー。師匠命令なのじゃー」
「こればかりは、師匠の命令でも聞き入れられません」
こうして、武闘会はユーリさんとツェシュちゃんの師弟の優勝で幕を閉じました。
「ふー、やっと武闘会が終わりました。はぁ、次はエルフですか。僕はいつになったら普通の暮らしが出来るようになるのでしょうか」
「えーーっ」
僕のつぶやきをきいて、居酒屋貴賓席の中に大きな驚きの声が上がった。
―第一部 完―
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